「ETFで新興国株にインデックス投資してみたいけど、どの銘柄を選べばいいんだろう?どういうリスクがあるんだろう?」と、疑問に思っていませんか?
先進国が長期停滞する中で、新興国は確実に経済成長して豊かになりつつあります。ただ、新興国は経済成長しているものの、新興国株にはリスクがあるのも確かです。
今回は、南アフリカ・ロシア・ブラジルなどの新興国株指数に連動する新興国株ETF全6銘柄の違いについて徹底解説していきます。
新興国株指数に連動する新興国株ETFとは?
今回は、新興国株指数の値動きに連動する新興国株ETFについて見ていきます。
新興国とは、日米欧などの先進国に比べて、経済水準は低いものの、高い成長可能性を秘めた国のことです。「エマージングカントリー」とも呼ばれ、新興国株は「エマージング株」とも呼ばれます。
具体的には、南アフリカやロシア、ブラジル、中国や東南アジアが新興国に含まれます。
この記事では、南アフリカやロシア、ブラジルの株価指数に連動するETF、新興国全体のETFについて取り上げています。中国株ETF、アジア株ETFについてはこちらのページを参照ください。


新興国は先進国を凌駕する経済成長が期待できるため、新興国株には高い利回りが期待できます。しかし、その一方で、先進国に比べて経済や市場が未熟であるリスクもあるため、先進国株にはない高いリスクもあります。
新興国株ETFは、日本株・米国株・欧州株ETFに比べてハイリスク・ハイリターンであると認識しておきましょう。
また、リスクだけが高く、リターンはそうでもない銘柄も多いため、新興国株ETFを選ぶには注意が必要です。中級者~上級者向けのETFとなっています。
新興国株指数に連動する新興国株ETFの注目ポイント
新興国株指数に連動する新興国株ETFの注目ポイントを抑えておきましょう。
※信託報酬・分配金については、日本取引所のETF一覧ページにあるパンフレットの情報を参照しています。また、月足チャート画像や値動きについては、マネックス証券の「マーケットライダープレミアム」で当該銘柄を参照したデータを記載しています。
・手数料である「信託報酬」を要チェック!
ETFの手数料には、証券会社で購入する際の売買手数料と、運用会社に支払う信託報酬の2つがあります。ETFの銘柄選びで重要なのは信託報酬です。信託報酬は年率で示され、1日ごとに引かれていきます。
新興国株指数に連動する新興国株ETF選びにおいても、信託報酬が低いことは重要なポイントです。
なお、SBI証券や楽天証券などの手数料が無料になる証券会社を選ぶことで、売買手数料は問題にならなくなります。ETF投資をする際には、一定の代金以下で手数料が無料になる証券会社で行うようにすることがおすすめです。
・ETFの「分配金」と「分配金利回り」を抑えておこう
ETFを保有していると、株の配当金のような形で「分配金」を受け取ることができます。
ただ、株の配当金と同じように、分配金を受け取る際には権利確定日にETFを保有しておく必要があることには注意が必要です。
分配金が年に何回・合計いくら分配されるのかは銘柄によって異なりますが、分配金の目安となる「分配金利回り」は必ずチェックしておきましょう。
分配金利回りは、過去1年間に支払った分配金をある時点の基準価額で割って算出されるものです。例えば、過去1年間の分配金が合計300円、ETFの基準価額が1万円の場合には、分配金利回りは3.00%となります。
新興国株ETF選びにおいても、分配金利回りは信託報酬と並んで重要なポイントとなります。
※分配金利回りは、過去1年間の分配金実績を2020年3月12日時点の終値で割った値で算出しています。
なお、ETFの分配金は投資信託とは違って再投資されないことには注意が必要です。ETFで積立・分散投資をする際には、分配金を手動でETFに再投資するようにしましょう。
・「直近3年間の値動き」はどうなっていたか?
新興国株ETFは値動きリスクが高くなっているため、リスクをはかる指標として「直近3年間の値動き」については必ずチェックしておきましょう。
※今回は、2017年3月1日始値から2020年3月12日終値までの値動き率について記載しています。
・「必要投資金額」はいくらか?
そのETFに投資する際の「必要投資金額」についても抑えておきましょう。
ETFは銘柄ごとに単元口数が異なっており、新興国株ETFも銘柄によって1口~100口となっています。
必要投資金額が大きくなってしまうと、取引口数によってはSBI証券や楽天証券の1日定額取引で手数料を無料にすることができなくなってしまう場合もあるため注意しておきましょう。
新興国株指数に連動する新興国株ETF全6銘柄について徹底解説!
新興国株指数に連動する新興国株ETF全6銘柄について詳しく見ていきましょう。
【1323】NEXT FUNDS 南アフリカ株式指数・FTSE/JSE Africa Top40連動型上場投信
信託報酬(税込) | 1.045% |
分配金 | 0円(年1回) |
分配金利回り | 0% |
直近3年間の値動き | -15.71%(350円→295円) |
必要投資金額 | 29,500円(100口) |
【1323】NEXT FUNDS 南アフリカ株式指数・FTSE/JSE Africa Top40連動型上場投信は、野村アセットマネジメントが運用する、「FTSE/JSE Africa Top40指数」の円換算値に連動する南アフリカ株ETFです。
「FTSE/JSE Africa Top40指数」は、南アフリカの時価総額上位40銘柄で構成されている時価総額加重平均型の指数です。構成銘柄上位は、世界的なインターネット企業:NASPERS LTD-N SHS(17.65%)、世界最大の鉱業会社:BHP GROUP PLC(11.35%)、世界的ジュエリー会社:FINANCIERE RICHEMONT-DEP REC(9.31%)、鉱業資源投資会社:ANGLO AMERICAN PLC(8.06%)、南アフリカの金融サービスグループ:STANDARD BANK GROUP LTD(3.45%)となっています。
信託報酬がアクティブ投資信託並みに高く、分配金利回りがゼロで、直近3年間では-15%値下がりしています。構成銘柄のポートフォリオを見ても上位4銘柄で半分近くを占めており、リスク分散に難を抱えます。
長期投資におすすめできる銘柄ではありません。南アフリカに投資するなら、高金利通貨である南アフリカランドをFX口座で保有してスワップポイントを狙った方がマシです。
【1324】NEXT FUNDS ロシア株式指数・RTS連動型上場投信
信託報酬(税込) | 1.045% |
分配金 | 6.99円(年1回) |
分配金利回り | 5.50% |
直近3年間の値動き | +2.41%(124円→127円) |
必要投資金額 | 12,700円(100口) |
【1324】NEXT FUNDS ロシア株式指数・RTS連動型上場投信は、野村アセットマネジメントが運用する、「RTS指数」の円換算値に連動するロシア株ETFです。
「RTS指数」は、モスクワ取引所に上場する銘柄から構成される浮動株調整済時価総額加重平均型の指数です。構成銘柄上位は、ロシア最大の商業銀行:SBERBANK OF RUSSIA PJSC(13.69%)、ロシア最大の石油会社:LUKOIL PJSC(13.36%)、世界最大の天然ガス会社:GAZPROM PJSC(12.17%)、ニッケル・パラジウム世界最大手:MMC NORILSK NICKEL PJSC(6.75%)、世界的なアルミニウム製造メーカー:UNITED CO RUSAL PLC(5.31%)となっています。
信託報酬はアクティブ投資信託並みに高いものの、分配金利回りの高さはそれを大きく補って余るほどです。ただ、構成銘柄は資源・エネルギー関係が多く、上位5銘柄で51%に達しているためややリスクがあるポートフォリオです。また、流動性もやや低くなっています。
なんといっても分配金利回りの高さが魅力的なETFです。リスクを認識した上で長期投資してもよいでしょう。
【1325】NEXT FUNDS ブラジル株式指数・ボベスパ連動型上場投信
信託報酬(税込) | 1.045% |
分配金 | 0円(年1回) |
分配金利回り | 0% |
直近3年間の値動き | -30.61%(196円→136円) |
必要投資金額 | 13,600円(100口) |
【1325】NEXT FUNDS ブラジル株式指数・ボベスパ連動型上場投信は、野村アセットマネジメントが運用する、「ボベスパ指数」の円換算値に連動するブラジル株ETFです。
「ボベスパ指数」は、ブラジル・サンパウロ証券取引所に上場している流動性指標(売買回数・売買代金)が高い銘柄から算出される加重平均指数です。配当込みのトータル・リターン指数となっています。構成銘柄上位は、総合資源開発企業:VALE SA(7.97%)、ブラジル最大の銀行グループ:ITAU UNIBANCO HOLDING S-PREF(7.77%)、石油会社:PETROBRAS – PETROLEO BRAS-PR(6.41%)、ブラジル4大銀行の一角:BANCO BRADESCO SA-PREF(6.35%)、ブラジルの証券取引所:B3 SA-BRASIL BOLSA BALCAO(4.89%)となっています。
信託報酬は高く、配当込みのトータル・リターン指数であるため分配金はありません。にも関わらず、直近3年間では-30%を超える大きな下落となっています。
新型コロナウイルスによる世界株安の影響で下げた影響が大きいですが、それ以前の状況でも大きく上げていたわけでもなく、長期投資におすすめできる銘柄ではありません。
【1681】上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)
信託報酬(税込) | 0.264% |
分配金 | 7.4円(年1回) |
分配金利回り | 0.62% |
直近3年間の値動き | -12.33%(1,346円→1,180円) |
必要投資金額 | 11,800円(10口) |
【1681】上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)は、日興アセットマネジメントが運用する、「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」の円換算値と連動する新興国株ETFです。
「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」は、新興国株式の総合投資収益を各市場の時価総額比率で加重平均して指数化したものです。構成銘柄上位は、中国の企業間オンライン取引大手:ALIBABA GROUP HOLDING-SP ADR(4.55%)、中国のゲーム・SNS大手:TENCENT HOLDINGS LTD(4.31%)、台湾の半導体製造大手:TAIWAN SEMICONDUCTOR(3.69%)、韓国の世界的電子メーカー:SAMSUNG ELECTRONICS(3.19%)となっています。
ポートフォリオはアジアのグローバル企業で構成されていて悪くありません。信託報酬は低めですが、分配金利回りは低く、直近3年間では大きく値下がりしています。
【2520】NEXT FUNDS新興国株式・MSCIエマージング・マーケット・インデックス(為替ヘッジなし)連動型上場投信
信託報酬(税込) | 0.209% |
分配金 | 18.8円(年2回) |
分配金利回り | 2.33% |
直近3年間の値動き | -22.76%(1,041円→804円) |
必要投資金額 | 8,040円(10口) |
【2520】NEXT FUNDS新興国株式・MSCIエマージング・マーケット・インデックス(為替ヘッジなし)連動型上場投信は、野村アセットマネジメントが運用する、「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」の円換算値に連動する新興国株ETFです。
分配金利回りは悪くありませんが、直近3年間で大きく値下がりしています。長期投資するにはリスクがある銘柄です。
【1658】iシェアーズ・コア MSCI 新興国株 ETF
信託報酬(税込) | 0.253% |
分配金 | 40円(年2回) |
分配金利回り | 2.67% |
直近3年間の値動き | -27.12%(2,050円→1,494円) |
必要投資金額 | 1,494円(1口) |
【1658】iシェアーズ・コア MSCI 新興国株 ETFは、ブラックロック・ジャパンが運用する、「MSCIエマージング・マーケッツIMI指数(国内投信用 円建て)」に連動する新興国株ETFです。
「MSCIエマージング・マーケッツIMI指数(国内投信用 円建て)」は、新興国の大型株・中型株・小型株の総合投資収益を各市場の時価総額比率で加重平均し、日本円に換算した指数です。
分配金利回りは悪くありませんが、直近3年間で-30%近く暴落しています。これだけリスクがあると、分配金利回りが5%程度はないと割に合いません。
新興国株指数に連動する新興国株ETF比較一覧表
新興国株指数連動ETF | メリット | デメリット | 信託報酬(税込) | 分配金利回り | 直近3年間の値動き | 必要投資金額 |
【1323】NEXT FUNDS 南アフリカ株式指数・FTSE/JSE Africa Top40連動型上場投信 | 特になし | 信託報酬が高い、分配金が出ない、値下がりリスクが大きい | 1.045% | 0% | -15.71% | 29,500円 |
【1324】NEXT FUNDS ロシア株式指数・RTS連動型上場投信 | 分配金利回りが高い | 信託報酬が高い | 1.045% | 5.50% | +2.41% | 12,700円 |
【1325】NEXT FUNDS ブラジル株式指数・ボベスパ連動型上場投信 | 特になし | 信託報酬が高い、分配金が出ない、値下がりリスクが大きい | 1.045% | 0% | -30.61% | 13,600円 |
【1681】上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング) | アジアのグローバル企業で構成されている | 値下がりリスクが大きい、分配金利回りが低い | 0.264% | 0.62% | -12.33% | 11,800円 |
【2520】NEXT FUNDS新興国株式・MSCIエマージング・マーケット・インデックス(為替ヘッジなし)連動型上場投信 | アジアのグローバル企業で構成されている | 値下がりリスクが大きい | 0.209% | 2.33% | -22.76% | 8,040円 |
【1658】iシェアーズ・コア MSCI 新興国株 ETF | 特になし | 値下がりリスクが大きい | 0.253% | 2.67% | -27.12% | 1,494円 |
結論:新興国株指数に連動する新興国株ETFでおすすめはこの銘柄!
最後に、新興国株指数に連動する新興国株ETFでおすすめの銘柄についてまとめていきましょう。
新興国株ETFは、いずれの銘柄も値下がりリスクばかりが目立ち、長期投資には大きなリスクが伴います。
ただ、ロシア株に連動する【1324】NEXT FUNDS ロシア株式指数・RTS連動型上場投信は分配金利回りが5%超となっており、リスクを認識した上で分配金利回りに期待して投資するのはアリです。とはいえ、石油に依存するロシア株は、2020年3月のサウジアラビアの原油増産による原油価格下落で先行きは不透明であり、リスクが高まっています。
また、アリババやテンセント、サムスン電子などアジアのグローバル企業で構成されている【1681】上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)や【2520】NEXT FUNDS新興国株式・MSCIエマージング・マーケット・インデックス(為替ヘッジなし)連動型上場投信は、直近3年間では値下がりしているものの、長期的な成長に期待して投資するのも悪くはありません。
リスクが高い新興国株ETFよりは、米国株や欧州株のような先進国株ETFや、新興国の中でも中国株ETFに長期投資する方がおすすめです。
ETF投資を始めるならマネックス証券がおすすめ!
新NISAを使ったETF投資を始めるなら、マネックス証券がおすすめです。
マネックス証券は、新NISAの取引手数料が完全無料となっており、成長投資枠を使って世界株ETFや米国株ETFを手数料無料で長期・積立・分散投資できます。
マネックスカードでクレカ投信積立すると還元率1.1%となっており、つみたて投資枠で世界株投信や米国株投信に投資するとAmazonギフト券やdポイントと交換できるマネックスポイントが貯まります。
また、マネックス証券のiDeCoは、NASDAQ100指数「iFreeNEXT NASDAQ100 インデックス」、米国株投信「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、世界株投信「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と揃っているため、新NISAとiDeCoを同時に始めたい場合には特におすすめです。
マネックス証券のETF投資について、より詳しく知りたい場合には下記記事も参照してみてください。
