全世界株式型の東証ETF特集!オルカンへの投資はETFと投資信託のどっちがおすすめ?

「全世界株式型のETFとは?」「東証ETFでオルカンに投資するには?」「新NISAでは世界株ETFと世界株投信のどっちがおすすめ?」など、全世界株式型の世界株ETFについて疑問を持っていませんか?

オルカンこと世界株ETF・世界株投信は、新NISAを使ったインデックス投資でも人気の銘柄となっています。

東証ETFでは【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信が代表的な世界株ETFとなっており、当サイトでもおすすめの銘柄です。

この記事では、オルカンこと世界株ETFの概要について解説した上で、全世界株式(オルカン)とS&P500指数の違いや、新NISAでは世界株ETFと世界株投信のどちらがおすすめかについても考察しています。

 

全世界株式ことオルカン(世界株ETF・世界株投信)とは?

全世界株式ETF(世界株ETF)や全世界株式投信(世界株投信)とは、世界中の株式で構成されるETFや投資信託です。

「オールカントリー」を略称して「オルカン」と呼ばれることが増えており、新NISAやiDeCoでも人気の銘柄となっています。

オルカンは、世界中の企業の中でも時価総額が大きい銘柄で構成されるため、世界時価総額ランキング上位の銘柄が構成銘柄比率の上位に来やすくなっていることが特徴です。

ここで2024年1月22日時点の世界時価総額ランキングを見てみましょう。
※出典:Trading View「世界最大の時価総額を持つ企業」

順位 銘柄名 国(取引所) 時価総額(米ドル)
1 【MSFT】Microsoft Corporation 米国株(NASDAQ) 2.963T
2 【AAPL】Apple Inc. 米国株(NASDAQ) 2.962T
3 【2222】SAUDI ARABIAN OIL CO. サウジアラビア株(TADAWUL) 2.054T
4 【GOOG】Alphabet Inc. 米国株(NASDAQ) 1.841T
5 【AMZN】Amazon.com, Inc. 米国株(NASDAQ) 1.605T
6 【NVDA】NVIDIA Corporation 米国株(NASDAQ) 1.469T
7 【META】Meta Platforms, Inc. 米国株(NASDAQ) 985.414B
8 【BRK.A】Berkshire Hathaway Inc. 米国株(NYSE) 798.461B
9 【TSLA】Tesla, Inc. 米国株(NASDAQ) 674.535B
10 【LLY】Eli Lilly and Company 米国株(NYSE) 596.716B
11 【AVGO】Broadcom Inc. 米国株(NASDAQ) 567.012B
12 【V】Visa Inc. 米国株(NYSE) 544.533B
13 【2330】TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFACTURING 台湾株(TWSE) 516.419B
14 【JPM】JP Morgan Chase & Co. 米国株(NYSE) 492.368B
15 【NOVO_B】NOVO NORDISK B A/S デンマーク株(OMXCOP) 479.211B
16 【UNH】UnitedHealth Group Incorporated 米国株(NYSE) 465.755B
17 【WMT】Walmart Inc. 米国株(NYSE) 437.165B
18 【MA】Mastercard Incorporated 米国株(NYSE) 409.602B
19 【JNJ】Johnson & Johnson 米国株(NYSE) 389.209B
20 【XOM】Exxon Mobil Corporation 米国株(NYSE) 387.487B

3位のサウジアラムコ、13位のTSMC、15位のノボ・ノルディスク以外は、全て米国株となっています。

まずオルカンについて押さえておくべきこととしては、その5割~6割程度は米国株が占めているということです。

 

全世界株式(オルカン)の2つの主要指数

全世界株式(オルカン)に連動するETFやインデックス投信は、インデックス投資において基本銘柄となっています。

全世界株式に連動する指数としては、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)」と「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(FTSE GACI)」の2つが代表的な指数となっています。

この2つの世界株指数の違いは次の通りです。

世界株指数 対象銘柄数 企業規模 算出方法
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス 約2,900銘柄 大型株・中型株 時価総額加重平均
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス 約9,500銘柄 大型株・中型株・小型株 時価総額加重平均

「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(FTSE GACI)」は対象銘柄数が6,500銘柄ほど多く小型株も対象ですが、そもそも時価総額加重平均型のため、株価に与える影響はほとんどありません(両指数ともに時価総額が大きい銘柄で指数の動きの大半が決まってしまうため)。

この2つの指数について、実際に連動する具体的なETFや投信も含めて詳しく見ていきましょう。

 

MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス

「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)」は、代表的な世界株指数です。

全世界の大型株・中型株約2,900銘柄を対象にしており、時価総額加重平均で算出されます。

全世界の時価総額が大きい銘柄が対象となるため、指数の6割程度は米国株が占めており、その分はほぼ「S&P500指数」と同じです。

「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」に連動する世界株ETFや世界株投信としては次のような銘柄があります。

種別 MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス連動型 信託報酬
ETF 【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信 0.0858%
インデックス投信 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 0.05775%

「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、新NISAのつみたて投資枠(旧・つみたてNISA)の対象銘柄となっており、マネックス証券のiDeCoでも採用銘柄です。

なお、三菱UFJアセットマネジメントは、2023年9月8日から「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬を年0.11330%から年0.05775%に引き下げており、ETFと投信で信託報酬の逆転現象が起こっています。

ただ、だからといって、信託報酬が安い世界株投信の方が、必ずしもお得かというと、これはトータルリターンを数年間見てみないことには分かりません。

ETFやインデックス投信は、信託報酬を下げた分を、裏で分配金を下げることなどによってコスト回収している場合があるためです。

 

FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス

「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」は、先進国・新興国47ヶ国の大型・中型・小型株約9,500銘柄で構成されている世界株指数です。

東証ETFには、この指数に連動する世界株ETFはありませんが、米国ETFでは【VT】バンガード トータル ワールド ストックETFが知られています。

種別 FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス連動型 信託報酬
米国ETF 【VT】バンガード トータル ワールド ストックETF (経費率)0.07%
インデックス投信 SBI・全世界株式インデックス・ファンド 0.1102%
インデックス投信 楽天・全世界株式インデックス・ファンド 0.192%

「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」はSBI証券のiDeCo採用銘柄、「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」は楽天証券のiDeCo採用銘柄となっています。

 

全世界株式(オルカン)とS&P500指数の違い

ETF投資などのインデックス投資、新NISAやiDeCoでは、「オルカンとS&P500指数のどちらに投資すべきか?」がたびたび論争となります。

オルカンとS&P500指数の違いは、ズバリ、米国株比率およびドル比率です。

オルカンで米国株が占める6割程度の部分は、S&P500指数と同じと考えて問題ありません。

オルカンは、残り4割の部分を日本株や欧州株、新興国株といった他の国の株式が埋めており、この部分がS&P500指数との違いになります。

また、S&P500指数はドル比率が100%のドル建て商品ですが、オルカンのドル比率は50~60%程度となっているため、円安ドル高になった場合の為替差益はS&P500指数の方が大きくなっています(逆に言えば、円高ドル安になった場合の為替差損もS&P500指数の方が大きいということです)。

リスク・リターンで考えると、全世界株式の方がS&P500指数よりもリスク・リターンともにやや低いと言えます。

全世界株式(オルカン)とS&P500指数の違いについて、より具体的に見ていきましょう。

 

全世界株式とS&P500指数の構成銘柄の違い

当サイトでもおすすめしている次の2銘柄から、全世界株式とS&P500指数の構成銘柄の違いを見ていきましょう。
-世界株ETF:【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信
-米国株ETF:【2558】MAXIS米国株式(S&P500)上場投信

まずは、それぞれの国別銘柄比率は次の通りです(2023年12月時点)。

順位 【2559】世界株ETF 構成比率 順位 【2558】米国株ETF(S&P500指数) 構成比率
1 アメリカ 59.2% 1 アメリカ 100%
2 日本 5.3%
3 イギリス 3.3%
4 フランス 2.7%
5 カナダ 2.7%
6 スイス 2.2%
7 ドイツ 1.9%
8 オーストラリア 1.7%
9 インド 1.7%
10 台湾 1.5%

※世界株ETFの出典:三菱UFJアセットマネジメント「MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信」の「最新の月報 2023年12月」
※米国株ETFの出典:三菱UFJアセットマネジメント「MAXIS米国株式(S&P500)上場投信」の「最新の月報 2023年12月」

世界株ETF(オルカン)はアメリカ株が約6割となっており、残りは他の国・地域の株式が占めています。

一方、S&P500指数に限らず、米国株ETFはアメリカ株100%で構成されています。

次に、全世界株式とS&P500指数の構成銘柄上位銘柄を見ていきましょう(2023年12月時点)。

順位 【2559】世界株ETF 構成比率 順位 【2558】米国株ETF(S&P500指数) 構成比率
1 APPLE INC 4.2% 1 APPLE INC 6.7%
2 MICROSOFT CORP 3.7% 2 MICROSOFT CORP 6.6%
3 AMAZON.COM INC 2.0% 3 AMAZON.COM INC 3.3%
4 NVIDIA CORP 1.7% 4 NVIDIA CORP 2.9%
5 ALPHABET INC-CL A 1.5% 5 ALPHABET INC-CL A 2.3%
6 META PLATFORMS INC-CLASS A 1.1% 6 META PLATFORMS INC-CLASS A 1.9%
7 TESLA INC 1.0% 7 TESLA INC 1.7%
8 ALPHABET INC-CL C 0.7% 8 BERKSHIRE HATHAWAY INC-CL B 1.6%
9 BROADCOM INC 0.7% 9 ALPHABET INC-CL C 1.4%
10 JPMORGAN CHASE & CO 0.7% 10 BROADCOM INC 1.2%

※世界株ETFの出典:三菱UFJアセットマネジメント「MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信」の「最新の月報 2023年12月」
※米国株ETFの出典:三菱UFJアセットマネジメント「MAXIS米国株式(S&P500)上場投信」の「最新の月報 2023年12月」

世界株ETFと米国株ETF(S&P500指数)は、上位銘柄自体は変わりませんが、個々の構成比率については、世界株ETFの方が米国株ETFより小さくなっていることが分かります。

この米国株比率の違いこそが、世界株ETFと米国株ETF(S&P500指数)の大きな違いです。

米国株の上昇によって受ける寄与分が、世界株ETFは米国株ETF(S&P500指数)の6割程度であると認識しておくようにしましょう(逆に言えば、米国株の下落による寄与分も小さくなります)。

 

全世界株式とS&P500指数のドル比率の違い

世界株ETF【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信と、米国株ETF(S&P500指数)【2558】MAXIS米国株式(S&P500)上場投信のドル比率の違いは、次の通りです。
※なお、ドル比率は、三菱UFJアセットマネジメントの最新の月報には載っていないため、「交付目論見書(2023年9月8日)」を参照しています。このため、世界株ETFについては前見出しの「国別銘柄比率(2023年12月)」とはわずかにズレています。

順位 【2559】世界株ETF 構成比率 順位 【2558】米国株ETF(S&P500指数) 構成比率
1 アメリカドル 62.4% 1 アメリカドル 100%
2 ユーロ 8.3%
3 5.9%
4 イギリスポンド 3.6%
5 香港ドル 2.9%
6 カナダドル 2.9%
7 スイスフラン 2.4%
8 オーストラリアドル 1.8%
9 ニュー台湾ドル 1.7%
10 インドルピー 1.5%

※世界株ETFの出典:三菱UFJアセットマネジメント「MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信」の「交付目論見書(2023年9月8日)」
※米国株ETFの出典:三菱UFJアセットマネジメント「MAXIS米国株式(S&P500)上場投信」の「交付目論見書(2023年9月8日)」

米国株ETFはドル100%のドル建て資産ですが、世界株ETFはドルが約60%の外貨建て資産となっています。

円安ドル高になった場合には、米国株ETFは100%の割合で為替差益となりますが、世界株ETFは約50%(円5%の部分は相殺される)の影響となります。

逆もまた然りで、円高ドル安になった場合には、米国株ETFは100%の割合で為替差損となりますが、世界株ETFは約50%(円5%の部分は相殺される)の影響になるということです。

 

全世界株式とS&P500指数の成績の違い

全世界株式とS&P500指数のインデックス投資の成績を見ていきましょう。

ただ、世界株ETF【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信と米国株ETF【2558】MAXIS米国株式(S&P500)上場投信は上場日が2020年とまだ浅いため、ここでは次の投資信託を参考にしたいと思います。
-世界株投信:「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
-米国株投信:「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」

それぞれの直近5年間の成績は次の通りです(2023年12月時点)。

種類 銘柄名 1年 3年 5年
世界株投信 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) +30.42% +63.43% +125.84%
米国株投信(S&P500指数) eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) +34.63% +82.73% +163.04%

※世界株投信の出典:日本経済新聞「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
※米国株投信の出典:日本経済新聞「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」

直近5年間では、S&P500指数の方が全世界株式よりもリターンが大きくなっていたことが分かります。

これは、米国株の上昇と円安ドル高の影響で説明可能です。

 

全世界株式とS&P500指数のリスクの違い

全世界株式とS&P500指数のリスクについては、一般論で考えると、米国株以外を他の国の株式でヘッジしている全世界株式の方がリスクは小さい(米国株暴落やドル暴落の影響が小さい)と言えます。

全世界株式とS&P500指数のリスクについて、当サイトでは、ETFの月足チャートで見て直近高値からの最大下落率(直近3ヶ月の最大ドローダウン率)をリスクとして計測してみたいと思います。
※日経新聞の投信サイトでは、リスクは基準価格のブレ幅の大きさで示していますが、あまり有用ではないと考えています。

米国株が大きな下落となった2022年について、世界株ETF・米国株ETF(S&P500指数)・米国株ETF(NASDAQ100指数)は次のようになっていました。

2022年1~3月 2022年11月~1月
【2559】世界株 -12.82%(14,420円→12,570円) -11.66%(15,000円→13,250円)
【2558】S&P500指数 -14.95%(15,945円→13,560円) -13.87%(16,650円→14,340円)
【2631】NASDAQ100指数 -21.49%(13,770円→10,810円) -16.72%(12,255円→10,205円)

より詳しくはそれぞれの銘柄の月足チャートを見て確認してもらえたらと思うのですが、世界株>S&P500指数>NASDAQ100指数の順に下落率が大きかったことが分かります。

リスク・リターン順となっていることが確認できるかと思います。

 

全世界株式とS&P500指数の分配金利回りの違い

三菱UFJアセットマネジメントが運用している世界株ETF・米国株ETF(S&P500指数)・米国株ETF(NASDAQ100指数)の、直近の分配金利回りは次のようになっています(2024年1月23日時点)。

分配金利回り 分配金 株価 決算日
【2559】世界株 1.54% 274円 17,685円 6月8日、12月8日(年2回)
【2558】S&P500指数 1.19% 247円 20,610円 6月8日、12月8日(年2回)
【2631】NASDAQ100指数 0.44% 82円 18,410円 6月8日、12月8日(年2回)

分配金利回りについては、NASDAQ100指数<S&P500指数<世界株の順に大きくなっています。

世界株ETFは、S&P500指数に比べるとリスク・リターンは小さく、分配金利回りは大きくなっているということで、リスクを小さくしたい場合にはS&P500指数よりも世界株ETFの方がおすすめであると言えるでしょう。

なお、管理人は上記3銘柄について3分割して、新NISAで長期・積立・分散投資しています。

 

世界株ETFに投資するメリット

オルカンこと世界株ETFに投資するメリットについて見ていきましょう。

 

低リスクで世界経済・米国経済の成長の恩恵を受けられる

日本経済は人口減少や国際競争力の低下などもあり、潜在成長率は1%弱にまで低下していますが、世界経済および米国経済は成長を続けています。

もちろん、全世界的な少子化による人口減少は懸念されるものの、少なくとも日本経済よりは世界経済の成長率が上回っていくことはほぼ間違いないでしょう。

世界株ETFは、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」に連動する銘柄なら、約2,900銘柄に分散投資されており、時価総額加重平均型であるため成長によって構成比率が変動するというインデックス投資の恩恵を受けることが可能です。

直近の実績では、世界株ETFは年率10%以上の成績となっていますが、やや控えめに年率5%(値上がり4%、分配金1%)と見積もっておくことが賢明かと思われます。

 

外貨建て資産になるため円安リスクをヘッジできる

世界株ETFは、ドル比率が約5~6割で、円が約5%、残りはユーロやポンドなどの外貨で構成されている外貨建て資産です。

円安になることで、為替差益を得られるため、円安リスクをヘッジできます。

新NISAでは、米国株や世界株に投資する日本人が増加傾向にあり、今後も「キャピタルフライト」によって円安になる可能性が考えられます。

また、日本の人口動態は、少子高齢化の影響により、今後は高齢者人口が横ばいで労働力人口が激減していくという最悪の形となるため、国力低下が懸念されることも長期的な円安要因になり得てきます。

もちろん、為替相場はどのようになるのかは分からないため、円高になって為替差損が生じる可能性もあります。

ただ、日本円で給料を受け取り、普通預金や日本株などの円資産に資産が偏っていると、円安リスクをモロに受けてしまうため、世界株や米国株などの外貨建て資産でヘッジしておくことは保険になると考えてはどうでしょうか。

 

米国株ETFに比べるとリスクヘッジされており分配金利回りが大きい

上述した“全世界株式(オルカン)とS&P500指数の違い”で見てきたように、世界株ETFとS&P500指数の違いは、米国株およびドル比率の違いにあります。

米国株やドルの上昇が(他の先進国株や新興国株、他の外貨に比べて)大きければ大きいほど、世界株ETFも上昇しますが、S&P500指数の方が上昇幅が大きくなります。

ただ、これは逆に言えば、米国株やドルの下落から受ける影響は、世界株ETFの方がS&P500指数よりも小さいということです。

現に、米国株が大きな下落となった2022年の実績で見てみると、世界株ETFはS&P500指数よりも下落率が小さくなっていました。

また、分配金利回りで見ても、世界株ETFは約1.5%、米国株ETF(S&P500指数)は約1.0%と、世界株ETFの方がわずかに大きくなっています。

当サイトでは、ETF投資では、世界株ETF(オルカン)、米国株ETF(S&P500指数)、米国株ETF(NASDAQ100指数)の3種類をおすすめしていますが、リスク重視なら世界株ETFが最もおすすめです。

 

世界株ETFに投資するデメリット

世界株ETFに投資するデメリットについて見ていきましょう。

 

S&P500指数・NASDAQ100指数に比べると米国株から得られるリターンが小さい

世界株ETFは、S&P500指数・NASDAQ100指数に比べるとリターンが小さい傾向にあります。

米国株の上昇とドル高から受ける影響が小さくなるためですが、これは世界株ETFはこの2つに比べるとリスクも小さい点と表裏一体のことです。

米国株の上昇からより大きなリターンを得たい場合には、世界株ETFではなく、S&P500指数・NASDAQ100指数に連動する銘柄に投資するようにしましょう(分散投資もアリです)。

 

全世界株式型の東証ETF一覧

東証に上場している世界株ETFに分類できる銘柄は次の通りとなっています。

銘柄名 連動指数 信託報酬(税込) 権利確定日 分配金 分配金利回り 長期投資 流動性 パンフレット
【1554】上場インデックスファンド世界株式(MSCI ACWI)除く日本 MSCI ACWI EX JAPANインデックス 0.264% 1月20日(年1回) 50.5円 1.37% ★★★★★ リンク
【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信 MSCI ACWIインデックス 0.0858% 6月8日、12月8日(年2回) 259円 1.60% ★★★★★ ★★ リンク
【2522】iシェアーズ オートメーション & ロボット ETF iSTOXX ファクトセットオートメーション アンド ロボティクス インデックス(TTM、円換算) 0.528% 2月9日、8月9日(年2回) 12円 0.26% ★★★★ リンク

この中で最もおすすめの銘柄は、日本を含む世界株ETFの【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信です。

それでは、これらの銘柄について見ていきましょう。

※データは2024年1月24日時点の値。

 

【1554】上場インデックスファンド世界株式(MSCI ACWI)除く日本

【1554】上場インデックスファンド世界株式(MSCI ACWI)除く日本は、日興アセットマネジメントが運用する、「MSCI ACWI EX JAPANインデックス」に連動する世界株ETFです。

「MSCI ACWI ex Japanインデックス」は、日本を除く世界の先進国・新興国の株式の総合投資収益を各市場の時価総額比率で加重平均した指数です。

信託報酬(税込) 0.264%
分配金 59.4円(年1回)
分配金利回り 1.48%
直近5年間の値動き +126.65%(1,767円→4,005円)
必要投資金額 40,050円(10口)
上場日 2011年3月8日
長期投資おすすめ度 ★★★★★
流動性

「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」から、日本株を除いた指数となっています。

世界株ETFの本体は米国株であるため、約5%の日本株を除いてもほとんど影響はありませんが、信託報酬も安いため日本株も入った【2559】の方をおすすめします。

 

【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信

【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信は、三菱UFJアセットマネジメントが運用する、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」に連動する世界株ETFです。

「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」は、全世界の大型株・中型株約2,900銘柄を対象に時価総額加重平均で算出される、代表的な世界株指数です。

信託報酬(税込) 0.0858%
分配金 274円(年2回)
分配金利回り 1.54%
直近5年間の値動き +74.01%(10,200円→17,750円)
必要投資金額 17,750円(1口)
上場日 2020年1月9日
長期投資おすすめ度 ★★★★★
流動性 ★★
ドル比率 62.4%

ETF投資の代名詞とも言える、おなじみの銘柄です。

東証の世界株ETFとは、この銘柄のことであり、この記事で解説してきたことは、ほぼ全てこの銘柄の解説となっています。

 

【2522】iシェアーズ オートメーション & ロボット ETF

【2522】iシェアーズ オートメーション & ロボット ETFは、ブラックロック・ジャパンが運用する、「iSTOXX ファクトセットオートメーション アンド ロボティクス インデックス(TTM、円換算)」に連動する世界株ETFです。

「iSTOXX ファクトセットオートメーション アンド ロボティクス インデックス(TTM、円換算)」は、日本を含む全世界のロボティクス・オートメーション関連事業を手掛けている銘柄で構成される株価指数です。

信託報酬(税込) 0.528%
分配金 13円(年2回)
分配金利回り 0.25%
直近5年間の値動き +185.94%(1,794円→5,130円)
必要投資金額 5,130円(1口)
上場日 2018年11月15日
長期投資おすすめ度 ★★★★
流動性

この銘柄は、分類上は世界株ETFにしてありますが、正確には世界株のテーマ株ETFです。

直近5年間では、NASDAQ100指数を超える上昇率となっていますが、信託報酬が高く、リスクも大きいため、積極的にはおすすめはできません。

実質的にアクティブ投信となっています。

ただ、リターンは大きい銘柄であるため、新NISAのポートフォリオの10%程度には入れておいても問題はないでしょう。

 

全世界株式型の投資信託(iDeCo、新NISA・つみたて投資枠)

全世界株式型のインデックス投信としては、iDeCoや新NISA・つみたて投資枠の採用銘柄を中心に次のような銘柄があります。

種別 銘柄名 連動指数 信託報酬 直近5年間の成績 iDeCo 新NISA・つみたて投資枠(旧・つみたてNISA)
インデックス投信 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス 0.05775% +125.84% マネックス証券
インデックス投信 SBI・全世界株式インデックス・ファンド FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス 0.1102% +119.75% SBI証券
インデックス投信 楽天・全世界株式インデックス・ファンド FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス 0.192% +120.26% 楽天証券

※直近5年間の成績は2023年12月末時点。
※出典:日本経済新聞「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」日本経済新聞「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」日本経済新聞「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」

直近5年間では、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」に連動する銘柄の方が、「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」に連動する銘柄よりも成績が良くなっていますが、これは後者は小型株が入っている分だけ米国株・大型株の上昇の恩恵が小さくなったためかと思われます。

ただ、ほぼ誤差のようなものであるため、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」と「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」の違いは気にする必要はないかと思います。

iDeCoで世界株投信に投資したい場合には、SBI証券は「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」、楽天証券は「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」、マネックス証券は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」となります。

SBI証券と楽天証券のiDeCo銘柄は自社ファンドへの誘導ですが、ビジネスである以上は仕方ありませんし、信託報酬が高いと言っても微々たる差でしかなく、両銘柄ともに優良銘柄である点は変わりません(「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が優良銘柄過ぎるだけです)。

新NISAのつみたて投資枠では、3銘柄ともに投資可能ですが、信託報酬が最も低い世界株投信「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」をおすすめします。

 

新NISAでは世界株ETFと世界株投信のどっちがおすすめ?

新NISAでオルカンに投資する場合の選択肢は次の通りです。

  • 成長投資枠(1,200万円)で世界株ETF【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信に投資してから、つみたて投資枠(残り600万円)で世界株投信「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」に投資する。
  • つみたて投資枠(1,800万円)で世界株投信「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」に投資する。

これはどちらにすべきかというと、好みで決めてくださいとしか言いようがありません。

当サイトでは、前者の世界株ETF(成長投資枠1,200万円)→世界株投信(つみたて投資枠600万円)をおすすめします。

ETFだと分配金が入ってきて再投資できる楽しみもあります。

信託報酬で見ると「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の方が低く、ETF>インデックス投信となる逆転現象が起きているのですが、信託報酬を減らした裏で分配金が減らされているといったことがあるので、5年程度は見てからトータルリターンを比較しないと分からない部分があるためです。

ただ、ETF投資は流動性リスクを避けるために株と同様に市場から取得してくる必要があるため、この辺に不安を感じる場合には、最初からつみたて投資枠で「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」に投資することをおすすめします。

新NISAでのポートフォリオについては、下記記事などを参照してみてください。

ETF投資の運用シミュレーションをポートフォリオごとに解説!米国株ETFや高配当ETFの新NISA積立の効果は?
「新NISAでETF投資した場合のシミュレーションが知りたい!」「ETF投資のポートフォリオによるシミュレーションの違いとは?」など気になっていませんか?新NISAを使ったETF投資などのインデックス投資は、最も合理的な資産形成方法の一つで...

 

全世界株式型の米国ETF

米国市場に上場している米国ETFで人気の世界株ETFとしては【VT】バンガード トータル ワールド ストックETFが挙げられます。

【VT】バンガード トータル ワールド ストックETFは、「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」に連動する世界株ETFです。

米国ETFの【VT】バンガード トータル ワールド ストックETFと、東証ETFの【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信を比較すると次の通りです。

ETF 市場 インデックス 手数料 分配金利回り
【VT】バンガード トータル ワールド ストックETF NYSE FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス (経費率)0.07% 3.11%
【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信 東証 MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス (信託報酬) 0.0858% 1.54%

※出典:Bloomberg「【VT】バンガード トータル ワールド ストックETF」

手数料と分配金利回りで、【VT】バンガード トータル ワールド ストックETFの方が数値上は優れています。

ただ、米国ETFは分配金の10%は新NISAを使っていても源泉徴収され、為替スプレットが生じる点などに注意が必要です。

当サイトでは、取引のしやすさやチャートの見やすさ、日本語での情報収集のしやすさなどから東証ETFの方をおすすめしています。

 

まとめ

この記事では、オルカンこと世界株ETFの概要について解説した上で、全世界株式(オルカン)とS&P500指数の違いや、新NISAでは世界株ETFと世界株投信のどちらがおすすめかについても考察してきました。

オルカンこと世界株ETF・世界株投信は、新NISAでのインデックス投資でも人気の銘柄となっています。

たびたび論争となる、オルカンとS&P500指数の違いは、米国株比率およびドル比率にあります。

オルカンは、S&P500指数と比べると米国株の上昇から受ける影響が小さい反面リスクも小さくなっており、世界株ETFの分配金利回りでも大きくなっています。

新NISAを使ってオルカンに投資する場合には、成長投資枠(1,200万円)で世界株ETF【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信に投資してから、つみたて投資枠(残り600万円)で世界株投信「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」に投資することがおすすめです。

 

ETF投資を始めるならマネックス証券がおすすめ!

新NISAを使ったETF投資を始めるなら、マネックス証券がおすすめです。

マネックス証券は、新NISAの取引手数料が完全無料となっており、成長投資枠を使って世界株ETFや米国株ETFを手数料無料で長期・積立・分散投資できます。

マネックスカードでクレカ投信積立すると還元率1.1%となっており、つみたて投資枠で世界株投信や米国株投信に投資するとAmazonギフト券やdポイントと交換できるマネックスポイントが貯まります。

また、マネックス証券のiDeCoは、NASDAQ100指数「iFreeNEXT NASDAQ100 インデックス」、米国株投信「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、世界株投信「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と揃っているため、新NISAとiDeCoを同時に始めたい場合には特におすすめです。

マネックス証券

マネックス証券のETF投資について、より詳しく知りたい場合には下記記事も参照してみてください。

マネックス証券のETF投資を解説!新NISAや人気ランキング、買い方についても紹介!
「マネックス証券で新NISAを使ったETF投資はおすすめ?」「マネックス証券でETFを買う方法とは?」など、お困りではありませんか?マネックス証券では、新NISAの取引手数料が完全無料となっており、マネックスカードのクレカ投信積立の還元率が...

 

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