ETF投資のリスクとは?時間分散によるリスクヘッジについても解説!

「ETF投資のリスクって?」「新NISAで世界株ETFや米国株ETFに投資することにリスクはないの?」「ETF投資のリスクを分散する方法って?」など、ETF投資のリスクについて疑問に思っていませんか?

ETF投資などのインデックス投資は合理的な資産形成ですが、リターンがあるということは、リスクも当然あるということです。

新NISAを使った世界株ETFや米国株ETFへの投資は人気となりつつありますが、値下がりリスクや為替変動リスク、流動性リスクなどがあります。

ただ、「新NISA枠で毎月5万円の積み立てを30年間する」といった長期・積立・分散投資を徹底することによって、ETF投資のリスクは大きく軽減可能です。

この記事では、新NISAで世界株ETF・米国株ETFにETF投資した場合のリスクについて解説し、リスクを軽減するリスクヘッジの方法についても紹介していきます。

 

ETF投資のリスクとは?~新NISAによる世界株ETF・米国株ETF投資で解説~

ETF投資などのインデックス投資は、長期的には最も合理的な資産形成の方法と言われますが、リターンがある投資行為である以上はリスクも存在します。

まずは、ETF投資の代表的なリスクについて解説していきますが、その題材としては当サイトでおすすめしている新NISAによる世界株ETF・米国株ETF投資で解説したいと思います。

当サイトでは、ETF投資について次のような投資方法を推奨しています。

○銘柄とポートフォリオ
◇リスク重視
・100% 世界株ETF:【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信

◇基本
・100% 米国株ETF(S&P500指数):【2558】MAXIS米国株式(S&P500)上場投信

◇リターン重視
・100% 米国株ETF(NASDAQ100指数):【2631】MAXISナスダック100上場投信

◇バランス(3分割)
・33% 世界株ETF:【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信
・33% 米国株ETF(S&P500指数):【2558】MAXIS米国株式(S&P500)上場投信
・33% 米国株ETF(NASDAQ100指数):【2631】MAXISナスダック100上場投信

これらのおすすめ銘柄でETF投資をする上で、どのようなリスクがあるのかについて解説し、次の見出しではリスク軽減するためのリスクヘッジの方法について紹介していきます。

 

値下がりリスク(価格変動リスク)

値下がりリスク(価格変動リスク)とは、その銘柄の価格が下落して、資産評価額が下がってしまうことです。

米国株ETF(S&P500指数、NASDAQ100指数)や世界株ETF(オルカン)に投資する最大の理由は、長期的なリターン(値上がり益)を得られる期待が高いためです。

ただ、米国株ETFや世界株ETFであっても、一時的に大きな値下がりになることがあります。

次のチャートは、米国株ETF【1547】上場インデックスファンド米国株式(S&P500)の月足チャートです。
※なお、おすすめ銘柄の【2558】ではなく【1547】の画像を使っているのは、上場期間が長くチャートが長期間表示できるためです。

2011年から2024年1月までの期間に、直近高値から3ヶ月で-10%以上の下落が12回あったことが分かります。

特に、中国経済不振に円高が加わった2016年1~2月には-21%、米中貿易摩擦ショックの2018年10~12月には-23%、コロナショックの2020年2~3月には-34%まで一時下げました。

インデックス投資において重要なことは、これは一時的な下落であり、その後に戻ったということです。

ただ、長期的な成長が期待できる米国株ETFや世界株ETFであっても、この程度の一時的な下落はあるということを知っておくことは非常に重要です。

また、2018年9~10月のリーマンショックの際には、S&P500指数は次のようになっていました。

リーマンショックのとき、S&P500指数は2007年10月に付けた高値1576.09から2009年2月には666.79まで-57.69%下落しました。

また、S&P500指数は、2007年10月の高値を回復したのは2013年4月と、5年6ヶ月掛かっています。

投資用語で言うと、最大ドローダウン率-57.69%、最大ドローダウン期間5年6ヶ月です。

米国株ETFや世界株ETFで運用している場合には、最悪の場合にはこの程度の下落もあり得ると認識しておくようにしましょう。

 

減配リスク

減配リスクとは、株の配当金やETFの分配金が減らされてしまうことです。

株の場合には、かつて高配当株として知られていた【7201】日産自動車が、2019年に業績不振を背景に減配を発表して大暴落となり、あれから5年経っても株価を戻していません。

減配リスクは、特に高配当株や高配当ETFにおいては、配当金・分配金を目的に保有している投資家も多いため、減配や無配が発表されると、売り圧力にもなるため二重のリスクとなります。

ただ、当サイトでおすすめしている世界株ETFは約1.5%程度、S&P500指数は約1.0%程度の分配金利回りとなっており、減配になったとしても、ほとんど大きな影響はありません。

そもそも、ETFは複数銘柄に分散投資されているため、単一銘柄の減配や無配がETFに与える影響は軽微です。

高配当ETFにしても、同様に多くの高配当株に分散投資されているため同様です。

また、ETF投資において気を付けるべきこととして、「ステルス減配」(当サイトが命名)があります。

ETFを定点観測していると、優良銘柄であっても人気がない銘柄は、知らず知らずの内に分配金が減らされることがあります。

具体的には、【1311】TOPIX Core 30 連動型上場投資信託や【1546】NEXT FUNDS ダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価(為替ヘッジなし)連動型上場投信で、信託報酬の引き下げと分配金利回りの引き下げが行われました。

詳しくは、下記記事のアーカイブを参照ください。

ETF投資におすすめの銘柄11選!【2024年最新版】
・当サイトでおすすめのETF銘柄について、最新情報を記載しています。 ・当サイトでおすすめするETF投資の具体的な方法についてはこちらの記事を参照ください。 ・「信託報酬」「分配金」については、日本取引所のETF一覧ページにある銘柄詳細の情...
銘柄名 信託報酬(2021年→2023年) 分配金(2021年→2023年) 分配金利回り(2021年→2023年)
【1311】TOPIX Core 30 連動型上場投資信託 0.242%→0.209% 26.8円→14.1円 3.12%→1.53%
【1546】NEXT FUNDS ダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価(為替ヘッジなし)連動型上場投信 0.495%→0.33% 1,015円→744円 3.22%→1.73%

分配金利回りが下がっただけなら株価上昇で説明できる場合もありますが、分配金そのものが減らされてしまっているため、信託報酬を削った分以上の分配金を……という穿った見方をしてしまいます。
※これはあくまで管理人の仮説であり、実際はどうか分かりません。ただ、信託報酬が下がると同時に、分配金が減らされたということは事実です。

 

為替変動リスク

為替変動リスクとは、為替相場の変動によって、資産価格が変化するリスクです。

東証ETFの価格は、全銘柄が円建て表示されて取引されていますが、米国株ETFや世界株ETF、商品先物ETFといった外貨建て資産は、資産価格の変動に加えて、為替相場の影響も受けます。

米国株ETFと商品先物ETFはドル比率が100%、世界株ETFはドル比率が50~60%程度(円比率が5%程度で残りが外貨)となっているためです。

例えば、1ドル140円のときに、ドル建て資産である米国株ETFに投資した場合、米国株が横ばいであっても、1ドル154円まで円安ドル高になった場合には、10%ドル高が進んだ分だけ為替差益が生じます。

逆に、1ドル140円のときに米国株ETFに投資した場合、米国株が横ばいであっても、1ドル126円まで円高ドル安になった場合には、10%ドル安が進んだ分だけ為替差損が生じるということです。

つまり、米国株ETFや世界株ETFに投資する場合には、円安プレミアム及び円高リスクがあるということです。

ただ、外貨建て資産は、円安リスクのヘッジになるというメリットもあるため、これはそのメリットの裏返しとも言えます。

 

流動性リスク

流動性リスクとは、取引量が極端に少ない銘柄を取引する際に、不利な価格で取引せざるを得なくなってしまうことです。

特に、トレード(短期投資)においては、売りたいときに売れなくなってしまうため注意が必要なリスクです。

新NISAによる米国株ETF・世界株ETFへの投資においては、売ることはないものの、買う際にも流動性リスクで不利になってしまうことがある点に注意が必要です。

流動性リスクについて、具体的な例で見ていきましょう。

次の銘柄は、中国株ETF【2553】One ETF 南方 中国A株 CSI500の2024年1月18日終値時点での板情報です。

なお、この日の売買代金は13万円、出来高は100株となっており、1日でわずか10単元しか取引がありませんでした。

現在価格は1,368円ですが、売り板が1,375円にしか出ておらず、次の板は1,450円です。

1,000株買おうとすると、210株分は1,450円で買わなければいけなくなってしまい、流動性リスクで約6%分を余分に払うことになってしまいます。

一方、当サイトでもおすすめしている世界株ETF【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信の板は次のようになっていました。

この日の売買代金は2億9,600万円となっており、短期投資には厳しいものの、取引量が多くなる寄り付きや大引けでは余裕で取引可能となっていました。

現在価格17,310円に対して、上下に売り板と買い板が出ているため、売り買いいずれも可能であることが分かるかと思います。

なお、買い板・売り板・現在価格はズレていますが、寄り付きで買えば始値、大引けで買えば終値で買えるためズレません。

 

ETF投資のリスクヘッジの方法

前述したETF投資のリスクを軽減するリスクヘッジの方法を見ていきましょう。

 

値下がりリスクのリスクヘッジ→長期・積立・分散投資、資金管理

ETF投資の値下がりリスクに対するリスクヘッジは、「長期・積立・分散投資」と「資金管理」によって軽減できます。

長期・積立・分散投資とは、「毎月5万円ずつ30年間に渡って積み立てていく」といった投資方法です。

新NISAの枠は、成長投資枠とつみたて投資枠で合計1,800万円となっていますが、毎月5万円の積み立てをすればちょうど30年間で埋まります。

ETFの値下がりに対して長期・積立・分散投資が有効な理由について、これは具体例を出して説明した方が分かりやすいと思うので、総資産が1,000万円の事例で説明したいと思います。

「新NISA枠を早く埋めなければいけない!」と思って、毎年1月に米国株ETF・米国株投信にマックス360万円投資すると、3年間で総資産分を埋めることが可能です。

ただ、この直後に、リーマンショック級の経済ショックが起きて、その最大ドローダウンが-50%となり、元の株価に戻るまでに5年間掛かるとしたら、その精神的負荷は大きいものとなり、日常や仕事にも支障をきたしかねません。

さらに、集中投資が問題となることがあります。

長期・積立・分散投資をしていれば、株価が下がった場合には、平均取得単価を下げられるという利点があります。

総資産の全てを新NISAに充ててしまうと、暴落後に株価が安くなった所で買える余裕資金がないため、平均取得単価を有利にできません。

リーマンショックでも、2007年10月に付けた高値を回復したのは2013年4月と、5年6ヶ月掛かったわけですが、この期間中にも長期・積立・分散投資をしていれば、リーマンショック後で安くなっているときに投資することで平均取得単価を安くできたため、資産価値自体はもっと早く回復しています(分配金も含めればトータルリターンでの回復はさらに早くなっています)。

また、新NISAにおける「資金管理」についても解説します。

これはズバリ、「新NISAに費やしてよいのは、総資産の半分まで」が一つの目安になるかと思います。

仮に、リーマンショック級のショックが起こった場合に、新NISAの資産価値が半分になったとして耐えられるでしょうか?

新NISAが半分になったとしても、新NISAに充てるのは総資産の半分までとして、長期・積立・分散投資をしていれば、経済的にも心理的にもダメージを軽減できます。

例えば、総資産1,000万円だとしたら、新NISAに充てるのは最大500万円までと決めておき、毎月5万円程度の長期・積立・分散投資をすれば、リーマンショック級の暴落が来て半値になったとしても、最大-250万円の含み損にしかなりません。

そして、とにかく長期・積立・分散投資を継続することです。

世界経済や米国経済の成長やテクノロジーの発展は、今後も高確率で続くであろうため、暴落ショックで売らずに投資を継続することです。

新NISAにおいては「S&P500指数かオルカンか?」といったことが論争になりますが、長期・積立・分散投資と資金管理に比べたらどうでもいいことです。

当サイトは、新NISAを使ったETF投資のコンテンツを多数作っていますが、ユーザーの方々に最も知って欲しい点、持って帰って欲しい知識はここにあります。

 

減配リスク→人気銘柄を選ぶ

減配リスク自体は、ほぼ避けようがないものであり、かつての日産自動車のように業績不振になってしまっては仕方ありません。

ただ、個別株投資に比べると、ETFの減配リスクは小さいと言えます。

当サイトでおすすめしている世界株ETFや米国株ETFは、分配金は年1~1.5%前後とおまけ程度でしかないため、0.数%の減配となったとしても特に気にすることはありません。

ただ、特に理由もなく減配されてしまうETFの「ステルス減配」を避ける上では、人気銘柄や競合銘柄に投資することは有用な方法と考えられます。

当サイトで「ステルス減配」を観測した、TOPIX Core30連動型ETFやダウ連動型ETFは、競合銘柄がないことが、「ステルス減配」が行われてしまった原因の一つじゃないかと思います。

TOPIXや日経平均株価、S&P500指数、NASDAQ100指数といった競合銘柄が多い人気ETFでは、このような「ステルス減配」は特に見られません。

米国株ETFと世界株ETFは人気銘柄となっており、仮にステルス減配されたら、SNSなどで話題になるであろうことから、そう簡単にはできません。

米国株ETFや世界株ETFに投資している場合には、減配リスクに関しては、特に気にすることはないでしょう。

 

為替変動リスク→円安への保険料のようなもの、「為替ヘッジあり」は為替ヘッジコストで×

米国株ETFや世界株ETFは、円高になった場合には為替差損が生じる為替変動リスクがありますが、これも避けようがありません。

そもそも、米国株ETFや世界株ETFに投資するメリットの一つとして、円安になった場合に為替差益を得られる外貨建て資産という側面があります。

日本円で給料を受け取っている場合には、米国株ETFや世界株ETFの為替差益は円安ヘッジにもなります。

逆に言えば、円高になれば、日本で受け取っている給料についてはドル建てでは上昇することになるため、円高による為替差損は保険料のようなものだと認識すべきでしょう。

なお、為替変動リスクを避ける上では、「為替ヘッジあり」の銘柄に投資するという選択肢もありますが、これは絶対におすすめできません。

なぜかというと、為替ヘッジコストが発生するためです。

ドル円の為替ヘッジコストは、「米ドルの短期金利-日本円の短期金利」となっており、2024年1月時点では約5%と非常に高くなっています。

為替変動リスクを避けるために、年5%の保険料は余りにも高過ぎます。

為替ヘッジや為替ヘッジコストについて詳しくは、下記記事を参照ください。

ETFの為替ヘッジとは?為替ヘッジあり・なしの違いや仕組み、為替相場の影響、コストについて押さえておこう。
「ETFの為替ヘッジとは?」「為替ヘッジあり・なしの違いとは?」「為替ヘッジの仕組みは?」「為替ヘッジのコストって?」など、疑問に思っていませんか? 米国株ETFなど外貨建て資産に連動するETFには、為替ヘッジありの銘柄が上場していることも...

 

流動性リスク→人気銘柄を選ぶ、大引けか寄り付きに取得する

流動性リスクを避けるためには、取引量が多い人気銘柄を選んで投資することが重要です。

米国株ETF(S&P500指数、NASDAQ100指数)、世界株ETFは人気銘柄であるため、特に問題はありません。

また、流動性がある銘柄選びに加えて、投資タイミングにも注意することが必要です。

次のチャートは、米国株ETF(S&P500指数)【2558】MAXIS米国株式(S&P500)上場投信の2024年1月19日の5分足チャートとなります。

出来高を見ると、9時の寄り付きに最も取引量が多くなっており、大引けに掛けても取引量が出てきていることが分かるかと思います。

ETFに限らず、銘柄の取引量(流動性)が多くなるのは、9時00分の寄り付きか、15時00分の大引けの2つです。

米国株ETFと世界株ETFは人気銘柄ではありますが、日中のいつでも自由に取引できるかというと、やや厳しくなってきます。

例えば、取引量が小さい11時台や13時台には、流動性リスクが恐らく発生しています。

このため、流動性リスクを限りなくゼロに近付けるためにも、取引量が多くなる寄り付きか大引けに取得するようにしてください。

具体的には、大引けで買う場合には成行の「引成注文」を出しておき、寄り付きで買う場合には成行の「寄成注文」を出しておきます。

なお、SBI証券と楽天証券では、「引成注文」は前場終了後(11:30~)に出さないと前場引け(11:30)で買ってしまうため注意が必要です(これでも問題ありませんが、チャート上の終値で確認できなくなるため、管理人的には嫌な感じがします)。

同様に、「寄成注文」も後場寄り後(前日12:30~)に出さないと、後場寄り(12:30)で買ってしまうため注意が必要です。

なお、寄り付きと大引けのどちらで買った方が得かというのはないため、好きな方を選んでください(管理人は終値で売買ルールを作る習慣があるため、大引けで取得するようにしています。寄り付きの方が流動性は大きいため寄り付きでも構いません)。

この項目での目的は、流動性リスクをできる限りゼロにすることにあります。

 

ETFの信用リスクは保全されている

投資においては、「信用リスク」があります。

信用リスクとは、有価証券の発行体(国や企業、ファンドなど)が財政難、経営不振などの理由により、債務不履行が起こるリスクのことです。

信用リスクが発生した場合には、発行体の有価証券の価格は下落し、倒産した場合には投資元本が償還されない可能性もあります。

ETFに投資している場合にも、ETFの構成銘柄である個別銘柄が上場廃止となるリスクはありますが、S&P500指数や日経平均株価に採用されている銘柄がそのような事態になることはほとんどありません。

仮にあったとしても、そもそもETFは分散投資されているため、その影響は軽微です。

ETF投資における信用リスクとしては、ファンドが破綻してしまうケースが挙げられるかと思います(これもまず起こりませんが)。

ただ、ETFは、ファンドが裏付けとなる現物資産を保有し、その資産は信託銀行に保管されているため、万一ファンドが破綻したとしても、投資家の資産は保全されます。

資産が保管してある信託銀行が破綻したとしても、投資家のETF資産と信託銀行の資産は分別管理することが法律で義務付けられているため、投資家の資産は保全されます。

現物の裏付資産を保有していなくても、金融機関が信用力をもとに発行できるETN(Exchange Traded Note、上場投資証券)の場合には信用リスクがありますが、ETFは信用リスクがほとんどないと言ってよいでしょう。

ETFは信用リスクがないため、新NISAで安心して長期投資してください。

 

ETFのその他のリスク

ETF投資を実践する上での具体的なリスクは上述した通りですが、ETFのその他のリスクについて解説していきます。

※参考:日本取引所「投資のリスク」

 

株価指数・基準価額・市場価格の乖離リスク

ETFは、ETFの基準価額の値動きを、対象となる株価指数の値動き(※)に一致させるように、管理会社が運用している商品です。
※あくまで株価指数の“値動き”に一致するのであり、株価そのものと基準価額そのものの“数値”がイコールになるわけではないことには注意してください。チャートの値動きが一致するように運用します。

例えば、日経平均株価連動型ETFの場合には、運用会社は日経平均株価を構成する225銘柄を構成して、実際の日経平均株価の値動きに近付けるように運用します。

ETFの構成資産の純資産額から算出される価格は「基準価額」と呼ばれます。

投資信託の場合には「基準価額」しかないのですが、ETFは上場投資信託のため市場で付けている「市場価格」があり、市場価格が基準価額から乖離することがあります。
※再三になりますが、株価指数については、基準価額・市場価格と必ずしも値自体が一致するわけではないので、価格のズレ自体は気にする必要はありません。ただ、数値は異なっていても、同じ値動きをして連動することが重要です。

例えば、日経平均株価連動型ETFである【1321】NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信について、2024年1月18日では次の表のようになっています。

株価指数 基準価額 市場価格
概要 ETFが連動を目指す指数 ETFの構成資産の純資産額から算出される価格 東証で付けている価格
(例)日経平均株価連動型ETF【1321】NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信 日経平均株価 【1321】の基準価額 【1321】の市場価格
(参考)2024年1月18日終値 35,466.17円 36,782.2円 36,770円

※基準価額の参考:東証マネ部「【1321】NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信」

東証で付けていた市場価格(36,770円)は、ETFの基準価額(36,782.2円)からズレていたことが分かります。

ETFの基準価額と市場価格のズレは常に発生しているため、特に気にする必要はありません(例えば、市場価格が基準価額より大きくズレているときに買うといった方法もあるかもしれませんが、ほとんど軽微の差であり、アービトラージですぐに修正されてしまいます)。

また、ETFの価格が対象とする指数と余りにもズレてしまう場合には、東証は上場廃止条件に指定しているため、運用会社には指数に合わせるインセンティブがあります。

・ETFの一口あたりの純資産額と特定の指標の相関係数が0.9未満となった場合において、1年以内に0.9以上とならないとき
※参考:日本取引所「上場制度」

配当落ちによる乖離や、分配金の希薄化・濃縮化による乖離などが起こることもありますが、あくまで一時的なものであるため、同様に気にする必要はありません。

 

償還リスク

ETFが償還となり、上場廃止になるケースもあり、「償還リスク」とも呼ばれます。

ETFは償還が決まると、「整理銘柄」に指定され、約1ヶ月後に上場廃止となり、そのまま保有していると償還金を受け取るために手続きが必要になります(証券口座では償還金を受け取れません)。

ETFが償還となるケースとしては、受益権口数が基準を下回り、運用会社にとって運用するメリットがなくなる場合が多く、取引量(流動性)が小さい不人気銘柄は償還リスクに注意が必要です。

償還リスクや上場廃止のリスクについて、詳しくは次の記事を参照ください。

ETFは償還・上場廃止でどうなる?償還金の受け取り方法や税金、VIX指数の償還についても解説!
「保有ETFが償還で上場廃止になったらどうなる?」「償還になるETFの受け取り方法や税金(NISA)は?」「償還リスクがある銘柄って?」「VIX指数が上場廃止になるって本当?」など、ETFの償還について疑問に思っていませんか? ETFは償還...

償還リスクが高い銘柄としては、「取引量が少なく流動性リスクがある銘柄」や「マイナーな指数に連動する銘柄」といった不人気銘柄が該当してきます。

米国株ETF(S&P500指数・NASDAQ100指数)や世界株ETF(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)はいずれも人気銘柄のため、償還リスクはないと考えて問題ありません。

 

カントリーリスク

カントリーリスクとは、投資した国や地域で政治や経済に混乱が生じて、当該国・地域の株や為替、国債に大きな影響が出るリスクのことです。

特に、新興国株や新興国国債に投資する場合には注意が必要なリスクとなります。

東証ETFでは、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、ロシア株ETF【1324】NEXT FUNDS ロシア株式指数・RTS連動型上場投信は2022年3月17日以降、取引停止状態となっています。

米国株や日本株、欧州株といった先進国株では、カントリーリスクはほぼゼロに近いと認識して問題はないかと思います。

世界株ETFにしても、個別の新興国株は割合が1%だったとしてロシア株のようになったとしても、損害は1%にしかならないため、特に気にする必要はないでしょう。

 

ETFの種類ごとのリスク

ETFの種類ごとのリスクについて、それぞれのETFに特徴的なリスクを見ていきましょう(ここまで解説してきた価格変動リスクや流動性リスクは、全ETFに共通のため省略します。また、米国株ETF・世界株ETF・先進国株ETFについても省略します)。

 

日本株ETFのリスク

日本株ETFのリスクは、株式連動型のETFであるため価格変動リスクや減配リスク、流動性リスクといった点で米国株ETFや世界株ETFと共通です。

東証ETFの中では数が多いだけに、不人気銘柄も多く、流動性リスクが高い銘柄が多くなっています。

基本的には、TOPIX連動型ETFと日経平均株価連動型ETFさえ押さえておけば問題なく、それ以外の日本株ETFはほぼ全て、信託報酬が高いだけでこの2種類の亜種だと認識して構いません。

日本株ETFについて、米国株ETFや世界株ETFと比較した場合には、為替変動リスクについて逆に捉える必要がある点が挙げられるかと思います(日本株の成長性については、今回は触れません)。

日本株やETFなど、東証に上場している銘柄は円建てで表示されていますが、円安になると、ドル建てで見た株価は下がっていることになります。

次のチャートは、円建て表示でお馴染みの日経平均株価の月足チャートです。

2024年中にもバブル高値を超えることは時間の問題となりつつありますが、ドル建ての日経平均株価は次のようになっています。

ドル建ての日経平均株価は、実は2021年2月にバブル期に付けていた270ドルを超えて、291ドルまで行っていました。

2024年1月20日時点では、円建ての日経平均株価は35,963円ですが、ドル建てでは242.68ドルとなっており、2021年2月水準から見ると16%ほど低くなっています。

仮に、1ドル145円としたら、2021年2月水準になるには、日経平均株価は42,195円(=291ドル×145円)となります。

それだけ、2022年以降の急激な円安は影響しているということです。

為替変動は、直接的には額面上の日経平均株価やTOPIXには影響しませんが、株価が横ばいでも円安になると、実質的に日本株の価値は下がることになる点は押さえておきたい所です。

 

高配当ETFのリスク

分配金利回りが大きい高配当ETFは、分配金再投資にも有効な銘柄です。

2024年1月20日時点では、【1489】NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信や【2564】グローバルX MSCIスーパーディビィデンド-日本株式 ETFは、TOPIX連動型ETFや日経平均株価連動型ETFを直近5年間のトータルリターンでも上回っています。

ただ、それでも当サイトは、高配当ETFはおすすめしません。

インデックス投資の一般論として、ファンドが裁量的に銘柄選択したとしても、より長期的にはTOPIXや日経平均株価といったインデックスの成績に収束するというものがあります。

そのため、高配当ETFは信託報酬が高い分だけ、TOPIXや日経平均株価に連動するETFよりも不利になるということが一般論です。

また、分配金利回りの計算式は、「1株当たり分配金÷株価」となっており、分母に株価があることに注意が必要です。

分配金利回りは、分配金が増配になることでも上がりますが、株価が下がることでも上がる性質があるため、配当金が少ない成長株が除外されてしまうことがあります。

ただ、これらのリスクを考慮した上で、高配当ETFを使って分配金再投資をするなら問題ありません。

高配当ETFのリスクについて、より詳しくは下記記事などを参照ください。

ETFの高配当ランキング!分配金利回りが高いおすすめ銘柄についてご紹介!
「高配当ETFにはどのような銘柄があるだろう?」「ETFの分配金利回りランキングって?」「高配当ETFでおすすめの銘柄は?」といった疑問を持っていませんか? ETFの分配金は、株の配当金に相当し、長期・積立・分散投資をする上では、分配金を再...

 

債券型ETFのリスク

債券型ETFは、日本国債や米国国債といった低リスク銘柄から、ハイイールド債や新興国国債などハイリスク銘柄まで上場しています。

当サイトでは、債券型ETFはリターンが小さいため、新NISA枠を使うことはおすすめしていません。

債券型ETFは、基本的には株式型ETFと同様のリスクがあるものの、価格変動リスクは小さくなっています。

また、取引量が少ない不人気銘柄も多く、流動性リスクがある銘柄も多くなっています。

「為替ヘッジあり」の海外債券ETFも上場していますが、日米金利差が開いている現状では、債券型ETFで約5%の為替ヘッジコストを賄えるだけのリターンを得ることは難しいため、手を出してはいけない銘柄です。

では、為替ヘッジありの債券型ETFを空売りすればいいのではないかと考えるかもしれませんが、1年間空売りしたとして信用売りの売方金利(貸株料)は1%ほどあるため、市場にフリーランチはないと言えます。

 

レバレッジ型ETFのリスク

日経平均株価やTOPIXなどの前日比2倍の値動きをするレバレッジ型ETFのリスクは、価格変動リスクが2倍程度となるため、リターンも大きくなる一方でリスクも大きくなる点になります。

ETF投資の一般論としては、レバレッジ型ETFは長期的には逓減していき、信託報酬が高く、分配金が出ないため、長期的には適していません。

ただ、2024年1月時点では、日経平均株価連動型のレバレッジ型ETFは、通常の日経平均株価連動型ETFのトータルリターンの2倍よりも大きな値上がり益となっている銘柄があります。

これは一般論からは外れる現象ですが、直近5年間で日経平均株価は横ばいや下落になっていた期間が少なかったからと説明可能です。

レバレッジ型ETFは、短期投資に強い銘柄であり、長期投資には適していないということが一般論であることは変わりません。

 

インバース型ETFのリスク

日経平均株価やTOPIXなどの前日比-1倍の値動きをするインバース型ETF、また-2倍の値動きをするダブルインバース型ETFは、長期投資には向いていないETFとなっています。

インデックスは長期的には成長していく傾向があることの逆数となっており、信託報酬が高く、分配金が出ないためです。

また、ダブルインバース型ETFは、レバレッジ型ETFと同様に長期的に逓減していく性質があります。

では、「ダブルインバース型ETFを、長期的に空売りすればいいのではないか?」と思うかもしれませんが、2020年2~3月コロナショックのような相場が来たら数倍になることもあるため、空売りでは一発退場になりかねません(やはり、市場にフリーランチはありません)。

 

金や原油などの商品先物型ETFのリスク

金(ゴールド)や原油などの商品先物型ETFのリスクは、価格変動リスクや流動性リスクに加えて、商品価格はドル建て資産であるため為替変動リスクの影響も受けます。

金(ゴールド)も原油も、米国株ETFと同様に100%ドル建て資産となっています。

また、商品先物型ETFは、保有していても分配金が出ないこともネックと言えるでしょう。

さらに、商品先物型ETFの多くは不人気銘柄となっており、金(ゴールド)・原油以外の銘柄は、いずれも流動性リスクの塊となっています。

先物価格は限月の違いによって、その価格が異なることがありますが、この点については東証の次のページを参照ください。
※参照:日本取引所「先物型ETFのリスク」

とはいえ、ほとんどの商品先物ETFは流動性がないため、上述ページの内容は特に気にするようなこともなく、流動性リスクの方が上回っている状況と言えます。

 

まとめ

この記事では、新NISAで世界株ETF・米国株ETFにETF投資した場合のリスクについて解説し、リスクを軽減するリスクヘッジの方法についても紹介してきました。

SNSなどでは、「新NISAでS&P500指数やオルカンに投資しておけば無敵だ!」といった風潮があるように感じられますが、危険だと言わざるを得ません。

長期・積立・分散投資するならよいですが、「早く新NISA枠を使い切らないと乗り遅れてしまう!」といった風潮は危険です。

ETF投資のリスク自体は、長期・積立・分散投資をすることで軽減できますが、近年の米国株ETFや世界株ETFへの無敵論自体が、同調圧力に弱い日本人にとってはリスクかもしれません。

当サイトでは、30年間掛けて年率平均5%以上を達成する確率を少しでも上げるための方法を提供していけたらと思っています。

ズバリ、次の2点を徹底してください。

  • 新NISAを使って、世界株ETFや米国株ETFに毎月5万円の積み立てを継続し続ける(※毎月5万円は一例)。
  • 新NISAに回すのは総資産の半分までとする。

リーマンショックでは、最大ドローダウン率-57.69%、最大ドローダウン期間5年6ヶ月となりましたが、資金管理に気を付けて長期・積立・分散投資をしていれば、問題なかったということを留意しておいてください。

 

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マネックス証券

マネックス証券のETF投資について、より詳しく知りたい場合には下記記事も参照してみてください。

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