「iDeCoを始めてみたいけど、どの金融機関で口座開設するのがおすすめなんだろう?」と、疑問に思っていませんか?
税制優遇を受けた上で老後の資産形成ができるiDeCoは、人生100年時代における最有力の資産運用として始める人が増えています。
iDeCo口座は1人につき1つの金融機関にしか開設できませんが、iDeCo口座開設をする上で重要なことは口座手数料が最安値となっていることと、優良商品を取り扱っていることです。
今回は、iDeCo口座手数料が最安値となっている主要金融機関13社の特徴やメリットについて徹底解説していきます。
iDeCoを始めるメリットとは?
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)は、自分の手で老後資産を形成する私的年金制度です。
iDeCoでは、60歳になるまで掛け金を拠出し、60歳以降に一時金もしくは年金として受け取ることが可能となっています(ただし、原則として60歳になるまで資産を引き出すことはできません)。
iDeCoの最大のメリットは、次の3つの税制優遇を受けられることです。
①iDeCoへの拠出金は、確定申告の際に「小規模企業共済等掛金控除」の対象となるため、全額所得控除されます。
②iDeCoで運用した商品の運用益は非課税となるため、非課税分も再投資でき、運用による複利効果をより大きくすることができます。
③60歳以上の受給年齢に達したときに、一時金で受け取る場合には「退職所得控除」、年金で受給する場合は「公的年金等控除」の対象となります。
ただ、iDeCoへの月々の拠出金には制限があります。自営業者やフリーランサーなどの国民年金受給者は月額6.8万円(年額81.6万円)まで、会社員は企業年金によって月額1.2~2.3万円(年額14.4万円~27.6万円)まで、公務員は月額1.2万円(年額14.4万円)までとなっています。いずれの場合も最低掛け金は月々5,000円からの1,000円単位です。
また、iDeCo口座は1人につき1つの金融機関にしか開設することができません。iDeCoの運用は金融機関ごとに用意されている運用商品で行い、運用商品の配分は1%単位で調整することが可能です。
iDeCo口座を選ぶポイントは、手数料が最安であること(※)に加えて、優良な運用商品が揃っていることが重要です。
※iDeCoの手数料は、初回時には国民年金基金連合会へ加入するときに支払う初回手数料2,829円(税込)が発生します。その後、掛け金を拠出する度に105円、信託銀行に66円の合計171円が発生します(拠出しない月は信託銀行に66円のみ)(いずれも税込)。ここまでの手数料はどの金融機関を選んでも共通で発生するものであり、拠出する際に金融機関に払う手数料が0円となる金融機関が手数料最安となります。
今回は、iDeCo手数料が最安となる主要金融機関13社(※)について徹底比較していきます。
※SBI証券セレクトプラン、SBI証券オリジナルプラン、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券、野村證券、大和証券、イオン銀行、三井住友銀行みらいプロジェクトコース、みずほ銀行、第一生命保険、SOMPOアセットマネジメント。
iDeCo口座開設におすすめの金融機関13選!
iDeCo口座開設におすすめの金融機関13社についてランキング形式で見ていきましょう。
第13位 SOMPOアセットマネジメント
金融機関手数料 | 無料 ※掛け金月2万円以上か資産残高200万円以上 |
取扱商品 | 16銘柄 |
SOMPOアセットマネジメントのiDeCoは、月々の掛け金が2万円以上か資産残高が200万円以上で手数料が最安値となります。資産残高が200万円以上になるまでは、月々2万円以上拠出し続ければ手数料は発生しません。
SOMPOアセットマネジメントのiDeCoで扱っている商品のほとんどはSOMPOアセットマネジメントが運用している投資信託となりますが、いずれの銘柄も信託報酬が高く、かといって圧倒的な成績を残している銘柄はほとんどありません。
条件を満たせばiDeCo手数料無料とはなりますが、手数料無料の他の金融機関に比べると、商品の質では劣っていると言わざるを得ません。
SOMPOアセットマネジメントのiDeCoで取り扱っている商品について詳しくはこちらの記事を参照ください。
第12位 第一生命保険
金融機関手数料 | 無料 ※資産残高150万円以上 |
取扱商品 | 24銘柄 |
第一生命保険のiDeCo(Vプランα)は、iDeCoの資産残高が150万円以上になるまでは口座管理手数料が月額321円発生してしまいますが、資産残高が150万円以上になれば無料となり最安値となります。
毎月5万円拠出するとしても、手数料無料になるまでは2年半掛かってしまうため、最初から手数料無料となる他の金融機関のiDeCoに比べると不利である点は否めません。
第一生命保険のiDeCoでは、信託報酬が低いたわらノーロードシリーズを始め、債券やバランス投信でも優良銘柄を取り扱っています。
問題なくポートフォリオは組めるものの、特に大きな強みや特徴もありません。第一生命保険のiDeCoでしか運用できない銘柄やポートフォリオというのは特にないというのが実態です。
第一生命保険のiDeCoで取り扱っている商品について詳しくはこちらの記事を参照ください。
第11位 みずほ銀行
金融機関手数料 | 無料 ※掛け金が月1万円以上か資産残高50万円以上 |
取扱商品 | 15銘柄 |
みずほ銀行のiDeCoは、掛け金が月1万円以上か資産残高50万円以上で口座手数料が無料となり、全15銘柄を取り扱っています。
低リスクのたわらノーロードシリーズを取り扱っており、問題なくポートフォリオを組むことが可能です。
ただ、リターンが期待できる銘柄がなく、面白みに欠ける面があることは否めません。銘柄ラインナップは楽天証券のほぼ下位互換となっており、特に国内株は弱いと言わざるを得ません。
基本的なiDeCo運用はできるため問題はありませんが、もう少しリターン重視のポートフォリオを組みたい場合には、他の金融機関でiDeCo口座を開設することをおすすめします。
みずほ銀行のiDeCoで取り扱っている商品について詳しくはこちらの記事を参照ください。
第10位 松井証券
金融機関手数料 | 無料 |
取扱商品 | 12銘柄 |
松井証券のiDeCoは、口座手数料が無料で、全12銘柄を取り扱っています。
日本株の「ひふみ年金」や金(ゴールド)投信の「ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)」を始め、債券でも優良銘柄が揃っています。
ただ、取扱銘柄数が少なく、銘柄ラインナップはマネックス証券のほぼ下位互換となっており、特に先進国株は弱いと言わざるを得ません。
基本的なiDeCo運用はできるため問題はありませんが、もう少しリターン重視のポートフォリオを組みたい場合には、他の金融機関でiDeCo口座を開設することをおすすめします。
松井証券のiDeCoで取り扱っている商品について詳しくはこちらの記事を参照ください。
第9位 SBI証券オリジナルプラン
金融機関手数料 | 無料 |
取扱商品 | 38銘柄 |
SBI証券のiDeCoでは、セレクトプランとオリジナルプランという2種類のプランが用意されています。どちらのプランも口座手数料は無料となっており、オリジナルプランでは全38銘柄を取り扱っています。
日本株の「ひふみ年金」、米国株の「iFree NYダウ・インデックス」、世界株の「キャピタル世界株式ファンド(DC年金用)」など優良銘柄が揃っており、債券やバランス投信でも優れた銘柄が並びます。
SBI証券セレクトプランに比べると、「キャピタル世界株式ファンド(DC年金用)」を扱っていることが、メリットです。
SBI証券オリジナルプランのiDeCoで取り扱っている商品について詳しくはこちらの記事を参照ください。
第8位 三井住友銀行みらいプロジェクトコース
金融機関手数料 | 無料 |
取扱商品 | 18銘柄 |
三井住友銀行のiDeCoには、みらいプロジェクトコースと標準コースの2プランが用意されていますが、みらいプロジェクトコースなら手数料が最安値となります。
三井住友銀行みらいプロジェクトコースでは全18銘柄を取り扱っており、信託報酬が高いだけの外れ銘柄も多い一方で、テーマ別世界株が充実している点は他の主要金融機関のiDeCoにはない強みとなっています。
AIに強いアメリカのハイテク企業で構成される「イノベーション・インデックス・AI」、フィンテックに強いアメリカ企業で構成される「イノベーション・インデックス・フィンテック」、同じくシェアリングエコノミー企業で構成される「イノベーション・インデックス・シェアリングエコノミー」、世界のヘルスサイエンス企業で構成される「ブラックロック・ヘルスサイエンス・DCファンド」は成長が期待できる銘柄です。
債券は取り扱っていないためリスク重視のポートフォリオは組めませんが、テーマ別世界株投信でリターン重視のポートフォリオを組みたい場合にはおすすめのiDeCo口座です。
三井住友銀行みらいプロジェクトコースのiDeCoで取り扱っている商品について詳しくはこちらの記事を参照ください。
第7位 イオン銀行
金融機関手数料 | 無料 |
取扱商品 | 24銘柄 |
イオン銀行のiDeCoは、口座手数料が無料で、全24銘柄を取り扱っています。
日本株の「ひふみ年金」、先進国株の「たわらノーロード先進国株式」の他、欧州株の「フィデリティ・欧州株・ファンド」などを取り揃えており、債券やバランス投信、金(ゴールド)投信でも優良銘柄が並びます。
特に、主要金融機関のiDeCoで欧州株ファンドを取り扱っているのはイオン銀行だけです。
イオン銀行のiDeCoで取り扱っている商品について詳しくはこちらの記事を参照ください。
第6位 大和証券
金融機関手数料 | 無料 |
取扱商品 | 22銘柄 |
大和証券のiDeCoは、口座手数料が無条件で無料となり、全22銘柄を取り扱っています。
日本株の「ひふみ年金」、世界株の「大和住銀DC外国株式ファンド」、中国株の「UBS中国株式ファンド」といった優良銘柄を取り扱っており、債券でも優良銘柄が並びます。
特に、中国株投信やインド株投信など、他の主要金融機関のiDeCoにはない新興国株投信を取り扱っていることが最大の強みです。
大和証券のiDeCoで取り扱っている商品について詳しくはこちらの記事を参照ください。
第5位 野村證券
金融機関手数料 | 無料 ※掛け金が月1万円以上か資産残高100万円以上 |
取扱商品 | 27銘柄 |
野村證券のiDeCoは、月々の掛け金が1万円以上か残高100万円以上で手数料が最安値となり、全27銘柄を取り扱っています。
日本株の「ひふみ年金」、先進国株の「野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI」、世界株の「キャピタル世界株式ファンド(DC年金用)」など優良銘柄が揃っており、債券やバランス投信、ターゲットイヤーファンドでも優良銘柄が並びます。
iDeCoでどのような運用をするにしても、問題なくポートフォリオを組めるでしょう。
野村證券のiDeCoで取り扱っている商品について詳しくはこちらの記事を参照ください。
第4位 auカブコム証券
金融機関手数料 | 無料 |
取扱商品 | 27銘柄 |
auカブコム証券のiDeCoは、口座手数料が無料で、全27銘柄を取り扱っています。
世界株投信の「iTrust」シリーズを扱っていることが、auカブコム証券iDeCoの最大の強みです。アクティブ型世界株投信「iTrust世界株式」を軸に、世界のバイオ企業に投資する「iTrustバイオ」、世界のロボティクス企業に投資する「iTrustロボ」を取り扱っており、世界株投信においてはiDeCoで最もおすすめの金融機関となっています。
また、初心者におすすめのターゲットイヤーファンドでは信託報酬が低い「三菱UFJ ターゲット・イヤー・ファンド(確定拠出年金)」シリーズを扱っており、日本株投信では代表的なアクティブ型日本株投信「ひふみ年金」を取り扱っています。
株式の品揃えにおいては何の問題もありませんが、債券やREITではやや弱く、リスク重視のポートフォリオは組みにくくなっています。
auカブコム証券のiDeCoで取り扱っている商品について詳しくはこちらの記事を参照ください。
第3位 マネックス証券
金融機関手数料 | 無料 |
取扱商品 | 26銘柄 |
マネックス証券のiDeCoは、口座手数料が無料で、全26銘柄を取り扱っています。
「スパークス・新・国際優良日本株ファンド」「ひふみ年金」など日本株投信が充実していることが強みで、米国株や債券でも優良商品が揃っています。
また、金(ゴールド)価格に連動する「ゴールド・ファンド(為替ヘッジあり)」は、iDeCoで扱っている金(ゴールド)商品としては信託報酬が低く、iDeCoのポートフォリオに金(ゴールド)を組み込みたい場合にはおすすめです。
マネックス証券のiDeCoで取り扱っている商品について詳しくはこちらの記事を参照ください。
第2位 楽天証券
金融機関手数料 | 無料 |
取扱商品 | 32銘柄 |
楽天証券のiDeCoは、口座手数料が無料で、全32銘柄を取り扱っています。
日本株の「iTrust日本株式」、先進国株の「たわらノーロード先進国株式」、世界株の「iTrust世界株式」など優良商品が揃っており、債券やバランス投信でも優れた銘柄が並びます。
iDeCoでどのような運用をするにしても、問題なくポートフォリオを組むことができます。
楽天証券のiDeCoで取り扱っている商品について詳しくはこちらの記事を参照ください。
第1位 SBI証券セレクトプラン
金融機関手数料 | 無料 |
取扱商品 | 37銘柄 |
SBI証券セレクトプランは、iDeCo口座手数料が無料であることはもちろん、オリジナルプランに比べると信託報酬が低く多様性に富んだ全37銘柄を取り扱っています。
日本株の「ひふみ年金」、米国株の「iFree NYダウ・インデックス」、バランス投信の「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」など優良商品が揃っており、債券でも優れた銘柄が並びます。
リターン重視のポートフォリオから、リスク重視のポートフォリオまで、どのような投資目的で運用するにしても希望を満たしてくれることでしょう。
SBI証券セレクトプランのiDeCoで取り扱っている商品について詳しくはこちらの記事を参照ください。
iDeCo口座開設におすすめの金融機関比較一覧表
金融機関 | メリット | デメリット | 金融機関手数料 | 取扱商品 |
SBI証券セレクトプラン | 優良銘柄が揃っている | 特になし | 無料 | 37銘柄 |
楽天証券 | 優良銘柄が揃っている | 特になし | 無料 | 31銘柄 |
マネックス証券 | 日本株や金(ゴールド)など優良銘柄が揃っている | 特になし | 無料 | 26銘柄 |
auカブコム証券 | 世界株投信に強い | リスク重視のポートフォリオは組みにくい | 無料 | 27銘柄 |
野村證券 | 優良銘柄が揃っている | 特になし | 条件付き無料 | 27銘柄 |
大和証券 | 中国株投信やインド株投信を取り扱っている | 特になし | 無料 | 22銘柄 |
イオン銀行 | 欧州株投信を取り扱っている | 特になし | 無料 | 24銘柄 |
三井住友銀行みらいプロジェクトコース | テーマ別世界株投信を取り扱っている | リスク重視のポートフォリオは組めない | 無料 | 18銘柄 |
SBI証券オリジナルプラン | 優良銘柄が揃っている | 特になし | 無料 | 37銘柄 |
松井証券 | 低リスク銘柄が揃っている | リターン重視の銘柄に欠ける | 無料 | 12銘柄 |
みずほ銀行 | 低リスク銘柄が揃っている | リターン重視の銘柄に欠ける | 条件付き無料 | 15銘柄 |
第一生命保険 | 特になし | 2~3年は手数料が発生してしまう | 条件付き無料 | 24銘柄 |
SOMPOアセットマネジメント | 特になし | 信託報酬が高い銘柄が多い | 条件付き無料 | 16銘柄 |
結論:iDeCo口座開設におすすめの金融機関はここに決まり!
今回は、iDeCo口座手数料が無料となる金融機関13社をランキング形式で見てきましたが、最後にiDeCo口座開設におすすめの金融機関についてまとめておきましょう。
他の投資をする上でも便利なネット証券としての利便性も加味すると、第4位のauカブコム証券、第3位のマネックス証券、第2位の楽天証券、第1位のSBI証券セレクトプランの4社は甲乙付けられません。
口座開設に迷ったら、上記の大手ネット証券4社のいずれかにiDeCo口座を開設しておけば間違いありません。
auカブコム証券は、世界株投信が最も充実しており、リスク重視のポートフォリオを組みたい場合には最もおすすめです。また、ターゲットイヤーファンドも信託報酬が低い優良銘柄を揃えています。
マネックス証券は、日本株投信が充実しており、信託報酬が低い金(ゴールド)連動型のコモディティー投信においてもおすすめです。
楽天証券は、日本株や世界株、債券、バランス投信まで優れた銘柄を揃えており、どのようなポートフォリオを組むことも可能です。
SBI証券セレクトプランも、どのようなポートフォリオを組めるほど各商品が充実しており、特にダウに連動する米国株投信「iFree NYダウ・インデックス」は、非課税で複利効果を享受できるiDeCoの強みを最大限に生かすことができます。
各金融機関の強みを認識した上で、自分自身の運用スタイルに合わせてiDeCo口座を開設する金融機関を選ぶようにしましょう!