新NISAで全世界株式(オールカントリー)への投資を始めよう!オルカン1本のみのシミュレーションも解説!

「新NISAで人気のオルカンって?」「新NISAでオルカンに投資するにはどうすればいいの?」「新NISAでオルカンのみに投資した場合にはどうなる?」など、新NISAのオルカン投資についてお困りではありませんか?

新NISAで人気のオルカン(全世界株式、オールカントリー)には、成長投資枠で投資できる「東証の世界株ETF」「米国市場の世界株ETF」、つみたて投資枠で投資できる「世界株投信」があります。

オルカンは、米国株を始め世界中の株式に投資されているため、新NISAではオルカン1本のみで資産形成しても何ら問題ありません。

この記事では、オルカンの概要や新NISAでオルカンに投資する3つの方法について解説した上で、おすすめ銘柄やオルカン1本のみでのシミュレーションについても紹介しています。

 

新NISAで人気のオルカン(オールカントリー、全世界株式)とは?

新NISAで人気の「オルカン」の基本や「S&P500指数」との違いについて押さえておきましょう。

 

オルカンとは?

オルカンとは「オールカントリー」の略称で、時価総額が大きい世界中のグローバル企業で構成される、全世界株式ETF(世界株ETF)や全世界株式投信(世界株投信)のことです。

オルカンは、時価総額が大きい世界のグローバル企業で構成されるため、GAFAM(Google(Alphabet)、Amazon、Facebook(Meta)、Apple、Microsoft)やNVIDIAといった米国株が構成銘柄上位に来やすいことが特徴です。

つまり、世界株とは言っても、5~6割ほどは米国株となっており、米国株(S&P500指数)の動向に大きく左右される点は米国株投信(S&P500指数)と変わりません。

オルカンは、新NISAやiDeCoでは、米国株投信(S&P500指数)と並ぶ人気商品となっています。

オルカンが連動する世界株指数としては、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)」と「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(FTSE GACI)」の2つが代表的です。

この2つの世界株指数の違いは次の通りです。

世界株指数 対象銘柄数 企業規模 算出方法
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス 約2,900銘柄 大型株・中型株 時価総額加重平均
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス 約9,500銘柄 大型株・中型株・小型株 時価総額加重平均

「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(FTSE GACI)」は対象銘柄数が6,500銘柄ほど多く小型株も対象ですが、そもそも時価総額加重平均型のため、成績に与える影響の違いはほとんどありません(両指数ともに時価総額が大きい銘柄で指数の動きの大半が決まってしまうため)。

この2つの指数については、細かい違いはあるものの、インデックス投資においては、ほぼ同じものであると認識して問題ありません。

米国株(S&P500指数)が上がればオルカンも上昇し、米国株(S&P500指数)が下落すればオルカンも下落するという点では変わりません。

 

オルカンとS&P500指数の違いとは?

新NISAでたびたび話題となるのが、「オルカンとS&P500指数のどちらに投資すべきか?」というものです。

ズバリ、オルカンとS&P500指数の違いは、「米国株比率」および「ドル比率」となります。

オルカンが連動する世界株指数は、全世界株の時価総額加重平均型で算出されるため、5~6割を占める米国株の部分は、米国株の時価総額加重平均型で算出される「S&P500指数」と同じです。

つまり、オルカンが占める5~6割の米国株の部分は「S&P500指数」と同じで、残りを日本株や欧州株、新興国株といった他の国の株式が埋めています。

東証の世界株ETFと米国株ETFについて、国別構成比率は次の通りです。

順位 【2559】世界株ETF 構成比率 順位 【2558】米国株ETF(S&P500指数) 構成比率
1 アメリカ 62.0% 1 アメリカ 100%
2 日本 5.6%
3 イギリス 3.3%
4 フランス 2.7%
5 カナダ 2.7%
6 スイス 2.1%
7 ドイツ 2.0%
8 インド 1.7%
9 台湾 1.6%
10 オーストラリア 1.6%

※世界株ETFの出典:三菱UFJアセットマネジメント「MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信」の「最新の月報 2024年3月」
※米国株ETFの出典:三菱UFJアセットマネジメント「MAXIS米国株式(S&P500)上場投信」の「最新の月報 2024年3月」

続いて、構成銘柄上位を見ると次のようになっています。

順位 【2559】世界株ETF 構成比率 順位 【2558】米国株ETF(S&P500指数) 構成比率
1 MICROSOFT CORP 4.0% 1 MICROSOFT CORP 6.9%
2 APPLE INC 3.4% 2 APPLE INC 5.5%
3 NVIDIA CORP 3.0% 3 NVIDIA CORP 5.0%
4 AMAZON.COM INC 2.3% 4 AMAZON.COM INC 3.7%
5 META PLATFORMS INC-CLASS A 1.4% 5 META PLATFORMS INC-CLASS A 2.4%
6 ALPHABET INC-CL A 1.2% 6 ALPHABET INC-CL A 2.0%
7 ALPHABET INC-CL C 1.1% 7 BERKSHIRE HATHAWAY INC-CL B 1.7%
8 ELI LILLY & CO 0.8% 8 ALPHABET INC-CL C 1.7%
9 BROADCOM INC 0.8% 9 ELI LILLY & CO 1.4%
10 TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFAC 0.8% 10 BROADCOM INC 1.3%

※世界株ETFの出典:三菱UFJアセットマネジメント「MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信」の「最新の月報 2024年3月」
※米国株ETFの出典:三菱UFJアセットマネジメント「MAXIS米国株式(S&P500)上場投信」の「最新の月報 2024年3月」

オルカンとS&P500指数は、上位銘柄の顔ぶれ自体は変わりませんが、個々の構成比率については、オルカンの方がS&P500指数より小さくなっていることが分かります。

この米国株比率の違いこそがオルカンとS&P500指数の最大の違いであり、米国株の上昇によって受ける寄与分が、オルカンはS&P500指数の6割程度であると認識しておくようにしましょう(逆に言えば、米国株の下落による寄与分も同様に小さくなります)。

さらに、S&P500指数はドル比率が100%のドル建て商品ですが、オルカンのドル比率は米国株比率と同じ50~60%程度となっているため、円安ドル高になった場合の為替差益はS&P500指数の方が大きくなっています(逆に言えば、円高ドル安になった場合の為替差損もS&P500指数の方が大きいということです)。

東証の世界株ETFと米国株ETFについて、通貨比率の違いは次の通りです。
※なお、通貨比率は、三菱UFJアセットマネジメントの最新の月報には載っていないため、「交付目論見書(2024年3月8日)」を参照しています。このため、世界株ETFについては前見出しの「国別銘柄比率(2024年3月)」とはわずかにズレています。

順位 【2559】世界株ETF 構成比率 順位 【2558】米国株ETF(S&P500指数) 構成比率
1 アメリカドル 63.5% 1 アメリカドル 100%
2 ユーロ 8.0%
3 5.7%
4 イギリスポンド 3.5%
5 カナダドル 2.8%
6 香港ドル 2.4%
7 スイスフラン 2.4%
8 オーストラリアドル 1.8%
9 インドルピー 1.7%
10 ニュー台湾ドル 1.6%

※世界株ETFの出典:三菱UFJアセットマネジメント「MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信」の「交付目論見書(2024年3月8日)」
※米国株ETFの出典:三菱UFJアセットマネジメント「MAXIS米国株式(S&P500)上場投信」の「交付目論見書(2024年3月8日)」

つまり、円安ドル高になった場合には、S&P500指数は100%の割合で為替差益となりますが、オルカンは約50%前後(円比率5%の部分は相殺される)の影響となります。

最後に、オルカンとS&P500指数の成績について、代表的な投資信託で比較すると次の通りです(2024年3月末時点)。

種類 銘柄名 1年 3年 5年
世界株投信 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 41.10% +67.96% +131.06%
米国株投信(S&P500指数) eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) +49.00% +88.61% +172.41%

※世界株投信の出典:日本経済新聞「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
※米国株投信の出典:日本経済新聞「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」

直近5年間では、S&P500指数の方がオルカンよりもリターンが大きくなっていたことが分かります。

これは、米国株の上昇と円安ドル高の影響で説明可能です。

逆に言えば、米国株以外の4割の部分でヘッジされているオルカンの方が、米国株下落やドル安といったリスクには強いということです。

例えば、米国株が大きな下落となった2022年について、世界株ETFと米国株ETF(S&P500指数)は次のようになっていました。

2022年1~3月 2022年11月~1月
【2559】世界株 -12.82%(14,420円→12,570円) -11.66%(15,000円→13,250円)
【2558】S&P500指数 -14.95%(15,945円→13,560円) -13.87%(16,650円→14,340円)

このように、米国株の下落時にはオルカンの方がリスクは小さいものの、米国株は上昇期間の方が長いため、長期の成績はS&P500指数の方が良くなっていると言えます。

 

新NISAでオルカンに投資する方法

新NISAでオルカンに投資する方法について見ていきましょう。

まず、新NISAでオルカンに投資できる商品は次の3つに大別されます。

  • 世界株投信(「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」など)
  • 東証の世界株ETF(【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信など)
  • 米国市場の世界株ETF(【VT】バンガード トータル ワールド ストックETFなど)

成長投資枠(1,200万円)では、このいずれにも投資可能です(米国市場の世界株ETFは、証券会社が米国ETFを取り扱っている必要あり)。

つみたて投資枠では、世界株投信にしか投資できません。

新NISAでオルカン1本のみに投資したい場合には、次の3通りの方法が考えられます。

  • 成長投資枠で東証の世界株ETFに投資し、枠を使い切ったら、つみたて投資枠で世界株投信に投資する。
  • 成長投資枠で米国市場の世界株ETFに投資し、枠を使い切ったら、つみたて投資枠で世界株投信に投資する。
  • 最初から最後まで、つみたて投資枠で世界株投信に投資する。

世界株投信、東証の世界株ETF、米国市場の世界株ETFは、どれも信託報酬(経費率)はほとんど変わらないため、どれを選択してもほとんど差は出ません。

自分の手で分配金再投資もしたいなら、成長投資枠で世界株ETFに投資することがおすすめです。

手間を省きたい場合には、最初から最後まで、つみたて投資枠で世界株投信の自動積立設定をしておくことをおすすめします。

 

新NISAでオルカンに投資するメリット

新NISAでオルカンに投資するメリットを見ていきましょう。

 

低リスクで長期的なリターンが期待できる

新NISAを使ったオルカン投資は、低リスクで長期的なリターンが期待できる方法です。

個別株投資では、成功すれば大きなリターンが得られるものの、将来的な株価動向予測は非常に難しいということが実態です。

オルカンやS&P500指数などのインデックス投資なら、個別株の爆発力には及ばないものの、勝率やリターンの期待値は、個別株に比べて非常に高いです。

そもそも、新NISAはあくまで非課税投資枠に過ぎず、利益が出ないことには、そのメリットも享受できません。

新NISAを使って、長期的な成長が期待できるインデックスに長期・積立・分散投資をするからこそ、より大きなメリットが得られるようになります。

オルカンが長期的な成長が期待できる理由としては、数千銘柄以上に分散投資された、時価総額加重平均型の指数であることが挙げられます。

数千銘柄以上に分散投資されているためリスクが分散されており、それでいて時価総額加重平均型のため、株価の変動による構成銘柄比率を通して産業構造の変化が反映されます。

今後も世界経済が成長していくとすると、控えめに見ても、年率5%程度の成長は期待できると言えるでしょう(オルカンの直近5年間の実績は年率+18%)。

 

外貨建て資産になるため円安リスクをヘッジできる

オルカンは、ドル比率が約5~6割で、円が約5%、残りはユーロやポンドなどの外貨で構成されている外貨建て資産です。

円安になることで、オルカンには為替差益が生じるため、円安リスクをヘッジできます。

新NISAでは、米国株や世界株に投資する日本人が増加傾向にあり、今後も「キャピタルフライト」によって円安になる可能性が考えられます。

また、日本の人口動態は、少子高齢化の影響により、今後は高齢者人口が横ばいで労働力人口が激減していくという最悪の形での人口減少となるため、国力低下が懸念されることも長期的な円安要因です。

もちろん、将来の為替相場はどのようになるのかは分からないため、円高になって為替差損が生じる可能性もあります。

ただ、日本円で給料を受け取り、普通預金や日本株などの円資産に資産が偏っていると、円安リスクをモロに受けてしまうため、世界株や米国株などの外貨建て資産でヘッジしておくことは保険になると考えられます。

 

新NISAでオルカンに投資するデメリット

新NISAでオルカンに投資するデメリットについて見ていきましょう。

 

S&P500指数・NASDAQ100指数に比べると米国株から得られるリターンが小さい

オルカンは、S&P500指数・NASDAQ100指数に比べるとリターンが小さい傾向にあります。

米国株の上昇とドル高から受ける影響が小さくなるためですが、オルカンはこれらの米国株指数に比べるとリスクも小さい点と表裏一体のことです。

米国株の上昇からより大きなリターンを得たい場合には、オルカンではなく、S&P500指数やNASDAQ100指数に連動する銘柄に投資するようにしましょう(この3指数に分散投資もアリです)。

 

新NISA(成長投資枠)におすすめの世界株ETF

新NISAの成長投資枠で投資できるおすすめの世界株ETFについて、東証の世界株ETF、米国市場の世界株ETFのそれぞれを見ていきましょう。

 

東証の世界株ETF!【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信

まずは、日本株の延長で投資できる東証の世界株ETFについて見ていきましょう。

【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信は、三菱UFJアセットマネジメントが運用する、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」に連動する世界株ETFです。

信託報酬(税込) 0.0858%
分配金 274円(年2回)
分配金利回り 1.38%
直近5年間の値動き +93.72%(10,200円→19,760円)
必要投資金額 19,760円(1口)
上場日 2020年1月9日
長期投資おすすめ度 ★★★★★
流動性 ★★

※参照:東証マネ部「MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信(2559)」

ETF投資の代名詞とも言える銘柄で、新NISAの成長投資枠の基本となる銘柄です。

東証に上場している唯一の世界株ETFとなっており、東証の世界株ETFと言えば、この銘柄を指します。

 

米国市場の世界株ETF!【VT】バンガード トータル ワールド ストックETF

続いて、米国市場に上場している代表的な世界株ETFを見ていきましょう。

【VT】バンガード トータル ワールド ストックETFは、バンガードが運用する、「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」に連動する世界株ETFです。

経費率 0.07%
分配金 2.2779ドル(年4回)
分配金利回り 2.10%
直近5年間の値動き +42.52%(75.91ドル→108.19ドル)
必要投資金額 108.19ドル(1口)
上場日 2008年6月26日
長期投資おすすめ度 ★★★★★
流動性 ★★

※データ参照:Bloomberg「VT:US」、チャート参照:Trading View「Vanguard Total World Stock ETF」

東証ETFのオルカンに比べると、分配金利回りはやや高くなっており、経費率も小さくなっています。

ただ、米国ETFの分配金は10%が源泉徴収され、ドル円への為替手数料が発生する点に注意が必要です。

また、直近5年間の値動きは+42%となっていますが、これはドル建てで換算した場合のためです。

円換算にすると、次のようになります。

円換算すると、円安ドル高による為替差益が加わるため、直近5年間の値上がり率は+102.47%(8,458円→17,125円)となります。

円換算してみると、世界株投信の直近5年間リターンに、分配金再投資分を加味した値に近くなることが分かるかと思います。

 

新NISA(つみたて投資枠)におすすめの世界株投信

新NISA(つみたて投資枠)におすすめの世界株投信を見ていきましょう。

 

世界株投信!eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、三菱UFJアセットマネジメントが運用する、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」に連動する世界株投信です。

種類 世界株投信(インデックス)
連動指数 MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス
信託報酬(税込) 0.05775%
直近5年間リターン +131.06%
設定日 2018年10月31日
おすすめ度 ★★★★★

※参照:日本経済新聞「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」

「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、オルカンの代名詞とも言える銘柄となっており、新NISAの基本銘柄と言っても過言ではありません。

新NISAで困ったら、こちらをおすすめします。

なお、信託報酬最安値帯の下記銘柄で代替しても問題ありません。

銘柄名 信託報酬(税込) 設定日 おすすめ度
楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド 0.0561% 2023年10月27日 ★★★★★
Tracers MSCI オール・カントリー・インデックス(全世界株式) 0.05775% 2023年4月26日 ★★★★★
はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー) 0.05775% 2023年7月10日 ★★★★★

信託報酬最安値の「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド」は楽天証券のつみたて投資枠限定銘柄となっていますが、ほとんど変わりません。

 

新NISAではどの方法でオルカンに投資すべき?

新NISAでオルカンに投資する方法には、東証の世界株ETF、米国市場の世界株ETF、世界株投信とありますが、実績を見てみるとほとんど変わりません。

信託報酬(経費率)や分配金利回りのわずかな差はあるものの、本当に微々たる差であり、さらに信託報酬や分配金利回りは変動するため、どれが一番良いとは必ずしも言い切れません。
※現に、2023年9月までは、世界株ETFの方が信託報酬が低かったものの、2023年10月の世界株投信の信託報酬一斉引き下げで逆転してしまいました。

オルカンに投資するそれぞれの方法について、メリット・デメリットは次のようになっています。

東証の世界株ETF 米国市場の世界株ETF 世界株投信
代表的な銘柄 【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信 【VT】バンガード トータル ワールド ストックETF eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
新NISA 成長投資枠のみ 成長投資枠のみ つみたて投資枠も可
メリット チャートが見やすい 分配金利回りが高い 信託報酬が低い、つみたて投資枠で投資できる
デメリット 競争が少なく、信託報酬がわずかに高い 分配金が源泉徴収される、ドル円の為替手数料が発生する

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

 

東証の世界株ETFでオルカンに投資するメリット・デメリット

東証の世界株ETF【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信に投資するメリットは、チャートが見やすく、インデックス投資のルールを作りやすいことが挙げられます。

一方、デメリットとしては、東証ETFでは唯一の世界株ETFのため競争がなく、信託報酬が米国の世界株ETF、世界株投信に比べてわずかに高くなっていることが挙げられます。

例えば、S&P500指数に連動する米国株ETFは東証にも続々と上場しており、信託報酬の引き下げ競争が行われていますが、オルカンは1銘柄だけのため、このような動きが出てきていません。

2023年10月には、世界株投信の信託報酬が相次いで引き下げとなりましたが、これによって信託報酬では世界株ETFと世界株投信で逆転しています。

 

米国市場の世界株ETFでオルカンに投資するメリット・デメリット

米国市場の世界株ETF【VT】バンガード トータル ワールド ストックETFに投資するメリットは、経費率が低く、分配金利回りが高い点が挙げられます。

ただ、米国ETFの分配金は10%が源泉徴収され、これは新NISAでも控除できません。

また、米国ETFに投資する際には、ドル円の為替手数料が発生する点にも注意が必要です。

 

世界株投信でオルカンに投資するメリット・デメリット

「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」などの世界株投信でオルカンに投資するメリットは、最初から最後まで、つみたて投資枠で完結できる点が挙げられます。

また、新NISAを前にした2023年10月には、世界株投信の信託報酬が一斉引き下げとなったことで、世界株ETFを逆転しています。
※一般的には、ETFの方が投資信託よりも信託報酬は低くなり、これがETFのメリットでもあります。

新NISAが始まった2024年時点では、特にデメリットも見当たらないですが、信託報酬や経費率は変動するため、この状態が今後も継続するかどうかは分かりません。

 

新NISAでオルカン1本のみに投資するポートフォリオとシミュレーション

新NISAでオルカン1本のみに投資する場合のポートフォリオと運用シミュレーションについて考えてみましょう。

新NISAでオルカン1本のみに投資する方法は、次の3通りの方法があります。

  • 成長投資枠で東証の世界株ETF「【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信」に投資し、枠を使い切ったら、つみたて投資枠で世界株投信「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」に投資する。
  • 成長投資枠で米国市場の世界株ETF「【VT】バンガード トータル ワールド ストックETF」に投資し、枠を使い切ったら、つみたて投資枠で世界株投信「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」に投資する。
  • 最初から最後までつみたて投資枠で世界株投信「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」に投資する。

どの方法でも、成績自体は特に大きくは変わりません。

直近5年間の実績で見ると、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は+131.06%(年率+18.23%)となっています。

シミュレーションとしては、厳し目に年率8%として、毎月5万円の積立投資を30年間継続した場合に次のようになります。
※当サイトでは、シミュレーションは厳し目に設定しています。過度の期待を持ってしまうと、下落時などに継続できなくなる場合があるためです。

30年間で、7,451万円(元本1,800万円)となりました。

オルカン1本のみの投資で、厳し目に見ても、この程度の資産形成は可能です。

 

まとめ

この記事では、オルカンの概要や新NISAでオルカンに投資する3つの方法について解説した上で、おすすめ銘柄やオルカン1本のみでのシミュレーションについても紹介してきました。

新NISAでオルカンに投資する方法は、次の3通りがあります。

  • 世界株投信(「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」など)
  • 東証の世界株ETF(【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信など)
  • 米国市場の世界株ETF(【VT】バンガード トータル ワールド ストックETFなど)

細かい違いはあるものの成績的には大きな違いはなく、また信託報酬(経費率)や分配金利回りは変動するため、どれが必ずしも合理的とは言い切れません。

投資初心者の方は、最初から最後まで、つみたて投資枠で世界株投信を積み立て続けることをおすすめします。