新NISAでS&P500指数一本に投資する組み合わせについて解説!オルカン・NASDAQ100指数との違いも押さえておこう。

「新NISAでS&P500指数に投資する方法とは?」「新NISAでS&P500指数一本に投資するおすすめ銘柄は?」など、新NISAとS&P500指数について疑問はありませんか?

S&P500指数に連動する米国株ETF・米国株投信は、オルカンよりもリターンが高く、NASDAQ100指数よりもリスクが低い、インデックス投資において標準的な銘柄です。

新NISAでは、成長投資枠でS&P500指数に連動する米国株ETF(東証ETF・米国ETF)、つみたて投資枠でS&P500指数に連動する米国株投信に投資できます。

この記事では、S&P500指数について解説した上で、新NISAでS&P500指数に投資する方法とおすすめ銘柄について紹介しています。

 

S&P500指数とは?

「S&P500指数」は、米国市場を代表する500銘柄で構成され、時価総額ベースで算出される米国株指数です。

米国市場の時価総額の約75%を占めており、30銘柄で構成される「ダウ工業平均株価(NYダウ)」よりも米国市場全体の状態を表す株価指数となっています。

S&P500指数は時価総額加重平均型のため、時価総額が大きいGAFAM(Google、Amazon、Facebook(Meta)、Apple、Microsoft)やNVIDIAといった銘柄の構成比率が高い点が特徴です。

S&P500指数の構成銘柄の動向については、米国株サイト「finviz」のマップを見ると、一目で分かるため便利です。

※画像出典:finviz

 

S&P500指数と他の指数の違いについて

S&P500指数はインデックス投資の基本となる米国株指数で、S&P500指数に連動する米国株投信や米国株ETFは新NISAの基本銘柄となっています。

S&P500指数がインデックス投資において比較されやすい、オルカン(世界株投信・世界株ETF)やNASDAQ100指数との違いについて押さえておきましょう。

 

S&P500指数とオルカンの違いとは?

オルカンとは「オールカントリー」の略称で、時価総額が大きいグローバル企業で構成される世界株ETF・世界株投信のことです。

新NISAでたびたび話題となるのが、「S&P500指数とオルカンのどちらに投資すべきか?」というものです。

S&P500指数とオルカンの違いは、「米国株比率」および「ドル比率」にあります。

オルカンが連動する「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)」や「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(FTSE GACI)」といった世界株指数は、世界株の時価総額加重平均型で算出されます。

世界株の時価総額の半分以上は米国株であるため、オルカンの5~6割は、米国株の時価総額加重平均型で算出されるS&P500指数と同じです。

オルカンが占める5~6割の米国株の部分は「S&P500指数」と同じで、残りを日本株や欧州株、新興国株といった他の国の株式が埋めています。

東証の米国株ETF(S&P500指数)と世界株ETFについて、国別構成比率は次の通りです。

順位 【2558】米国株ETF(S&P500指数) 構成比率 順位 【2559】世界株ETF 構成比率
1 アメリカ 100% 1 アメリカ 61.3%
2 日本 5.3%
3 イギリス 3.4%
4 フランス 2.7%
5 カナダ 2.6%
6 スイス 2.1%
7 ドイツ 1.9%
8 インド 1.8%
9 台湾 1.7%
10 オーストラリア 1.6%

※米国株ETFの出典:三菱UFJアセットマネジメント「MAXIS米国株式(S&P500)上場投信」の「最新の月報 2024年5月」
※世界株ETFの出典:三菱UFJアセットマネジメント「MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信」の「最新の月報 2024年5月」

 

続いて、構成銘柄上位を見ると次のようになっています。

順位 【2558】米国株ETF(S&P500指数) 構成比率 順位 【2559】世界株ETF 構成比率
1 MICROSOFT CORP 6.9% 1 MICROSOFT CORP 3.9%
2 APPLE INC 6.2% 2 APPLE INC 3.7%
3 NVIDIA CORP 6.1% 3 NVIDIA CORP 3.6%
4 AMAZON.COM INC 3.7% 4 AMAZON.COM INC 2.2%
5 META PLATFORMS INC-CLASS A 2.3% 5 META PLATFORMS INC-CLASS A 1.4%
6 ALPHABET INC-CL A 2.3% 6 ALPHABET INC-CL A 1.4%
7 ALPHABET INC-CL C 1.9% 7 ALPHABET INC-CL C 1.2%
8 BERKSHIRE HATHAWAY INC-CL B 1.7% 8 ELI LILLY & CO 0.9%
9 ELI LILLY & CO 1.5% 9 TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFAC 0.9%
10 BROADCOM INC 1.3% 10 BROADCOM INC 0.8%

※米国株ETFの出典:三菱UFJアセットマネジメント「MAXIS米国株式(S&P500)上場投信」の「最新の月報 2024年5月」
※世界株ETFの出典:三菱UFJアセットマネジメント「MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信」の「最新の月報 2024年5月」

S&P500指数とオルカンは、上位銘柄の顔ぶれ自体は変わりませんが、米国株の構成比率については、S&P500指数がオルカンより大きくなっています。

米国株比率の違いこそがS&P500指数とオルカンの最大の違いであり、米国株の上昇によって受ける寄与分が、オルカンはS&P500指数の6割程度であると認識しておくようにしましょう(逆に言えば、米国株の下落による寄与分も同様に小さくなります)。

さらに、S&P500指数はドル比率が100%のドル建て商品ですが、オルカンのドル比率は米国株比率と同じ50~60%程度となっているため、円安ドル高になった場合の為替差益はS&P500指数の方が大きくなっています(逆に言えば、円高ドル安になった場合の為替差損もS&P500指数の方が大きいということです)。

S&P500指数とオルカンの成績について、代表的な投資信託で比較すると次の通りです(2024年5月末時点)。

種類 銘柄名 1年 3年 5年
米国株投信(S&P500指数) eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) +41.37% +84.73% +187.65%
世界株投信 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) +36.73% +65.52% +146.44%

※米国株投信(S&P500指数)の出典:日本経済新聞「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」
※世界株投信の出典:日本経済新聞「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」

直近5年間では、S&P500指数の方がオルカンよりもリターンが大きくなっていたことが分かります。

これは、米国株の上昇と円安ドル高の影響で説明可能です。

逆に言えば、米国株以外の4割の部分でヘッジされているオルカンの方が、米国株下落やドル安といったリスクには強いということです。

米国株が大きな下落となった2022年について、米国株ETF(S&P500指数)と世界株ETFの下落率は次のようになっていました。

2022年1~3月 2022年11月~1月
【2558】S&P500指数 -14.95%(15,945円→13,560円) -13.87%(16,650円→14,340円)
【2559】世界株 -12.82%(14,420円→12,570円) -11.66%(15,000円→13,250円)

米国株の下落時にはオルカンの方がリスクは小さいものの、米国株は上昇期間の方が長いため、長期の成績はS&P500指数の方が良くなっていると言えます。

 

S&P500指数とNASDAQ100指数の違いとは?

NASDAQ100指数は、アメリカのハイテク市場NASDAQに上場する時価総額トップ100銘柄(金融業を除く)で構成される時価総額加重平均型の株価指数です。

NASDAQ100指数とS&P500指数のいずれも時価総額加重平均型の米国株指数で、GAFAMやNVIDIAの比率が高い点が特徴ですが、銘柄分散や上位銘柄の構成比率が異なります。

NASDAQ100指数は、S&P500指数よりもGAFAMやNVIDIAの比率が高くなり、分散投資も100銘柄となるため、リスクが大きい一方で、これらの銘柄から受けるリターンも大きくなります。

S&P500指数とNASDAQ100指数の成績について、代表的な投資信託で比較すると次の通りです(2024年5月末時点)。

種類 銘柄名 1年 3年 5年
米国株投信(S&P500指数) eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) +41.37% +84.73% +187.65%
NASDAQ100指数 iFreeNEXT NASDAQ100インデックス +45.10% +94.53% +268.99%

※米国株投信(S&P500指数)の出典:日本経済新聞「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」
※米国株投信(NASDAQ100指数)の出典:日本経済新聞「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」

直近5年間ではNASDAQ100指数の方が大きく上げていますが、NASDAQ100指数は2022年の米国利上げ相場の下げがきつかったこともあり、直近3年ではそこまで大きく変わりません。

NASDAQ100指数とS&P500指数のチャートは次のようになっています。

※出典:Trading View

NASDAQ100指数(上図NDX)の方が、S&P500指数(上図SPX)より大きなリターンとなっていますが、米国利上げで下げた2022年はNASDAQ100指数の下げ幅が大きくなっています。

NASDAQ100指数は、GAFAMやNVIDIAといった主力銘柄の構成比率が大きくなり、分散投資も100銘柄となるため、S&P500指数よりもリスク・リターンが高くなっていると押さえておいてください。

 

新NISAでS&P500指数に投資する方法

新NISAでS&P500指数に投資する方法について見ていきましょう。

新NISAでS&P500指数に投資できる商品は次の3つに大別されます。

  • 米国株投信(「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」など)
  • 東証の米国株ETF(【2558】MAXIS米国株式(S&P500)上場投信など)
  • 米国市場の米国株ETF(【VOO】バンガード S&P 500 ETFなど)

成長投資枠(1,200万円)では、このいずれにも投資可能です(米国市場のETFは、証券会社が米国ETFを取り扱っている必要があります)。

つみたて投資枠では、米国株投信にしか投資できません。

新NISAでS&P500指数一本に投資したい場合には、次の3通りの方法が考えられます。

  • 成長投資枠で「東証の米国株ETF(S&P500指数)」に投資し、枠を使い切ったら、つみたて投資枠で「米国株投信(S&P500指数)」に投資する。
  • 成長投資枠で「米国市場の米国株ETF(S&P500指数)」に投資し、枠を使い切ったら、つみたて投資枠で「米国株投信(S&P500指数)」に投資する。
  • 最初から最後まで、つみたて投資枠で「米国株投信(S&P500指数)」に投資する。

新NISAでS&P500指数に投資する3つの方法について、それぞれで具体的な銘柄を見ていきましょう。

 

成長投資枠で東証ETFに投資する

成長投資枠では、S&P500指数に連動する東証ETFに投資可能です。

S&P500指数に連動する東証ETFとしては、次の銘柄が代表的となっています。

銘柄名 信託報酬(税込) 分配金利回り 長期投資 流動性 パンフレット
【2558】MAXIS米国株式(S&P500)上場投信 0.077% 0.94% ★★★★★ ★★ リンク
【2633】NEXT FUNDS S&P 500 指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信 0.066% ★★★★★ リンク
【1655】iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF 0.066% 0.93% ★★★★★ ★★ リンク

※信託報酬・分配金利回りは2024年7月1日終値時点。

東証ETFを信託報酬で並べると、上記3銘柄のいずれかがおすすめとなります。

2024年7月1日時点では、【1655】iシェアーズ S&P 500 米国株 ETFがおすすめできるかと思います。

ただ、S&P500指数連動型ETFは人気銘柄で競争が激しくなっているため、最新情報は常にチェックするようにしてください。

なお、「為替ヘッジあり」の銘柄は除外しています。
※「為替ヘッジあり」の銘柄は、円安ヘッジにならず、為替ヘッジコスト(=米国短期金利-日本短期金利)が重いため、絶対に投資しないようにしてください。地雷銘柄です。

東証ETFでS&P500指数に投資するメリットは、信託報酬が低めになっている点です。

東証ETFは、株のように株式市場から取得しなければいけない手間がありますが、いずれも流動性は大きいため、寄り付きか大引けに成行注文で取得すれば流動性リスクはありません。

S&P500指数に連動する東証ETFについて、より詳しくは下記記事を参照ください。

S&P500指数連動型の東証ETFの違いを徹底比較!ETFと投資信託はどちらがおすすめ?
「S&P500指数に連動する東証ETFのおすすめは?」「新NISAでS&P500指数に投資するならETFと投資信託のどちらにすべき?」「S&P500指数・オルカン・NASDAQ100指数の違いって?」など、S&P500指数でお困りではありま...

 

成長投資枠で米国ETFに投資する

米国ETFを扱っているネット証券では、S&P500指数に連動する米国ETFにも投資可能となっており、新NISAの成長投資枠にも対応しています。

S&P500指数に連動する米国ETFとしては、次の銘柄が代表的です。

銘柄名 経費率 分配金利回り
【VOO】バンガード・S&P500 ETF 0.03% 1.43%
【SPY】SPDR S&P 500 ETF TRUST 0.09% 1.29%
【IVV】iShares Core S&P 500 ETF 0.03% 1.18%

※データ出典:Bloomberg「VOO」Bloomberg「SPY」Bloomberg「IVV」

経費率・分配金利回りの観点からすると、【VOO】バンガード・S&P500 ETFが合理的です。

ただ、米国ETFは、分配金の10%が源泉徴収されて、この部分は新NISAでも控除できません。

また、為替手数料が発生する点にも注意が必要です。

 

つみたて投資枠で米国株投信に投資する

つみたて投資枠では、S&P500指数に連動する多くの米国株投信に対応しています。

特に、おすすめの銘柄は次の通りです。

S&P500指数連動型の米国株投信は、オルカンと並ぶ人気銘柄のため、信託報酬の引き下げ競争が激化しています。

当サイトでは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」をおすすめしていますが、より信託報酬が低い、マネックス証券のつみたて投資枠でのみ取り扱っている「つみたてiシェアーズ 米国株式(S&P500)インデックス・ファンド」、楽天証券なら「楽天・S&P500インデックス・ファンド」にしても構いません。

 

新NISAではどの方法でS&P500指数に投資すべき?

新NISAでは、どの方法でS&P500指数に投資すべきかを考えていきましょう。

なお、オルカンでは信託報酬の逆転現象が起こっており、世界株投信の方が世界株ETFよりも信託報酬が低くなっています。

S&P500指数は、東証ETFでは信託報酬の引き下げ競争が激化しており、ETFの方が信託報酬が低いままです。

自分の手でETF投資ができるなら、成長投資枠で米国株ETF(S&P500指数)に投資して、枠を使い切ったら、つみたて投資枠で米国株投信(S&P500指数)に投資する方法がおすすめです。

ただ、これらの信託報酬の差は微々たるものであるため、手間を省きたい場合には、最初から最後まで、つみたて投資枠で米国株投信(S&P500指数)に自動積立設定しておくことをおすすめします。

完全に信託報酬で割り切って考えると、マネックス証券で新NISAを開設して、成長投資枠で米国ETF【VOO】バンガード・S&P500 ETFに投資し、枠を使い切ってから、つみたて投資枠で「つみたてiシェアーズ 米国株式(S&P500)インデックス・ファンド」を積み立てるのが合理的です。

とはいえ、そこまで大きな差にもならないため、成長投資枠で東証ETFに投資する、最初から最後までつみたて投資枠で「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」に投資するでも問題ありません。

いずれの投資方法であっても、最終的にはつみたて投資枠を600万円分使うことになる点は共通しています。

 

新NISAでS&P500指数に投資するメリット

新NISAでS&P500指数に投資するメリットについて見ていきましょう。

 

低リスクで長期的なリターンが期待できる米国株に分散投資できる

S&P500指数は、GAFAMやNVIDIAといった時価総額が大きい銘柄を中心に、米国株500銘柄に分散投資されています。

S&P500指数は、オルカンよりもリスク・リターンが大きく、テクノロジー株の比率がより大きいNASDAQ100指数よりはリスク・リターンが小さくなっており、標準的な銘柄と言えます。

S&P500指数を含むこれらの指数は、時価総額加重平均型である点も大きな特徴です。

時価総額加重平均型の指数は、時価総額が大きい銘柄の比重が自動的に高くなる性質があるため、産業構造の変化を反映できます。

個別株投資だと、その個別株もいつかは古くなってしまう欠点があります。

2010年代以降は半導体株がとにかく強いですが、2020年代以降は分かりません。

生成AIの勢いから「とにかくNVIDIAに積立投資すればいい」といった意見もありますが、少なくとも管理人は推奨しません。

もしかしたら、NVIDIAが没落する可能性もあるためです。

一方、S&P500指数にインデックス投資していれば、仮にNVIDIAが覇権企業となった場合にも、構成銘柄比率という形でしっかりと反映されます。

S&P500指数のような時価総額加重平均型のインデックスは、成長企業が自動的に組み込まれ、没落企業の比率が小さくなるという、後出しジャンケンのような性質を持っています。

 

ドル建て資産のため円安リスクをヘッジできる

S&P500指数連動型の米国株ETFや米国株投信は、構成比率が米国株100%のため、ドル比率が100%のドル建て資産です。

つまり、円安ドル高になると、S&P500指数連動型の米国株ETFや米国株投信は、為替差益による上昇も得られるということです。

今後、ドル円相場がどのようになるのかは分かりませんが、より長期的に考えると、円安が進むのではないかとも考えられます。

日本の人口動態は、少子高齢化の影響により、今後は高齢者人口が横ばいで労働力人口が激減していく最悪の形となるため、国力の低下が懸念されるためです。

もちろん、為替相場はどのようになるのかは分からないため、円高ドル安になって為替差損となる可能性もあります。

ただ、日本円で給料を受け取り、普通預金や日本株などの円資産に資産が偏っていると、円安リスクをモロに受けてしまうため、米国株などでヘッジしておくことは重要です。

では、S&P500指数連動型の米国株ETFについて、直近5年間(2019年7月~2024年7月)では、円安ドル高による為替差益はどの程度生じていたのかを確認してみましょう。

今回は、米国市場のS&P500指数連動型ETF【VOO】バンガード・S&P500 ETFで比較してみます。

まずは、直近5年間のドル建ての【VOO】バンガード・S&P500 ETFのチャートは次の通りです。

※出典:Traging View

これを円建てに変更する(※右上の「混合」を「JPY」にする)と、次のようになります。

表で比較してみると、次の通りです。

通貨 S&P500指数連動型ETF 直近5年間の推移
ドル建て換算 【VOO】バンガード・S&P500 ETF +83.98%(272.46ドル→501.28ドル)
円建て換算 【VOO】バンガード・S&P500 ETF +170.23%(29,835円→80,623円)

急激な円安ドル高が進んだ2019年7月から2024年7月までの直近5年間で見ると、円安ドル高による為替差益の影響が非常に大きかったことが分かります。

 

新NISAでS&P500指数に投資するデメリットや注意点

新NISAでS&P500指数に投資するデメリットや注意点について見ていきましょう。

 

NASDAQ100指数よりはリターンが小さく、オルカンよりもリスクが大きい

S&P500指数は、「NASDAQ100指数よりはリターンが小さく、オルカンよりもリスクが大きい」と言えますが、これはリターンの裏返しです。

同様に、S&P500指数は一部の個別株のような爆発的なリターンは得られませんが、個別株よりリスクが低く、勝率や期待値が高いことの裏返しでもあります。

インデックス投資をする上では、S&P500指数、オルカン、NASDAQ100指数の特徴を押さえて新NISAで投資するようにしましょう。

この3指数への分散投資もアリです。

 

新NISAではS&P500指数のレバレッジ型ETFには投資できない

S&P500指数には、レバレッジ型ETFもあります。

具体的には、次のような銘柄です。

  • S&P500指数の2倍レバレッジ型ETF:【SPUU】DirexionデイリーS&P・500ブル2倍ETF
  • S&P500指数の3倍レバレッジ型ETF:【SPXL】Direxion デイリー S&P 500 ブル3倍 ETF

S&P500指数のレバレッジ型ETFは、リスクは高いものの、資金効率は高く、S&P500指数の暴落時に投資すれば、非常に大きなリターンも期待できます。

ただ、新NISAでは、レバレッジ型などのデリバティブ金融商品には投資できないため、S&P500指数のレバレッジ型ETFには投資できません。

S&P500指数のレバレッジ型ETFに投資したい場合には、特定口座で行うようにしてください。

なお、S&P500指数のレバレッジ型ETFなどについて詳しくは、下記記事で解説しています。

レバレッジ型ETFの長期保有はおすすめ?レバナスや半導体3倍SOXLについても解説!【※新NISA対象外】
「レバレッジ型ETFの長期投資はアリ?」「新NISAではレバレッジ型ETFに投資できる?」「レバナスや半導体3倍ETFの【SOXL】って?」など、レバレッジ型ETFの長期保有で疑問がありませんか? 新NISAの成長投資枠ではETFに投資でき...

 

新NISAでS&P500指数一本に投資するポートフォリオとシミュレーション

新NISAでS&P500指数一本に投資する場合のポートフォリオとシミュレーションについて見ていきましょう。

「新NISAでS&P500指数に投資する方法」で上述したように、最も合理的なのは次の方法です

  1. 成長投資枠で米国ETF【VOO】バンガード・S&P500 ETFに投資する。
  2. つみたて投資枠で「つみたてiシェアーズ 米国株式(S&P500)インデックス・ファンド」を積み立てる。
    ※マネックス証券の場合。楽天証券なら「楽天・S&P500インデックス・ファンド」、SBI証券などは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」。

成長投資枠のポートフォリオは、次のようになります。

  • 100% 米国株ETF(S&P500指数):【VOO】バンガード・S&P500 ETF

成長投資枠の1,200万円を使い終わってからの、つみたて投資枠のポートフォリオは次のようになります。

  • 100% 米国株投信(S&P500指数):つみたてiシェアーズ 米国株式(S&P500)インデックス・ファンド
    ※マネックス証券の場合。楽天証券なら「楽天・S&P500インデックス・ファンド」、SBI証券などは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」。

ただ、信託報酬はそこまで大きな差でもないため、成長投資枠で東証ETFに投資する、最初から最後までつみたて投資枠で「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」に投資するでもほとんど違いはありません。

続いてシミュレーションしていきましょう。

2024年5月末時点では、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は直近5年間で+187.65%、年率+23.53%となっています。

ただ、この成績が今後30年続くのは現実味がなく、上述したように円安ドル高による為替差益の影響も半分程度あります。

直近の成績の半分弱の年率+10%として、毎月5万円積立で30年とすると、次の通りです。

※出典:金融庁「つみたてシミュレーター」

30年で1億1,302万円(元本1,800万円)となりました。

ただ、直近5年間のS&P500指数の成績はあまりにも好調過ぎるため、もう少し期待を下げておくことを推奨します(期待値が高くなり過ぎると、暴落期などにあまりの失望感で投資を継続できなくなるリスクが出てくるためです)。

 

まとめ

この記事では、S&P500指数について解説した上で、新NISAでS&P500指数に投資する方法とおすすめ銘柄について紹介してきました。

新NISAでは、成長投資枠でS&P500指数に連動する米国株ETF(東証ETF・米国ETF)、つみたて投資枠ではS&P500指数連動型の米国株投信に投資できます。

新NISAでS&P500指数一本に投資したい場合、最も信託報酬が低くなる方法は次の通りです。

  1. 成長投資枠で米国ETF【VOO】バンガード・S&P500 ETFに投資する。
  2. つみたて投資枠で「つみたてiシェアーズ 米国株式(S&P500)インデックス・ファンド」を積み立てる。
    ※マネックス証券の場合。楽天証券なら「楽天・S&P500インデックス・ファンド」、SBI証券などは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」。

ただ、信託報酬はそこまで大きな差でもないため、成長投資枠で東証ETFに投資する、最初から最後までつみたて投資枠で「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」に投資するでも問題ありません。