「iDeCoで新興国債券をポートフォリオに組み込みたいんだけど、どの銘柄がおすすめなんだろう?」と、疑問に思っていませんか?
一般的に、国内債券・先進国債券といった債券投信はリスクヘッジ目的でポートフォリオに組み込むことになりますが、新興国債券はリターン目的でポートフォリオに組み込む債券投信です。
今回は、iDeCoの手数料が無料となる13金融機関で扱っている新興国債券投資信託について徹底比較していきます。
iDeCoで新興国債券投資信託を運用するメリットとは?
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)は、自分の手で老後資産を形成する私的年金制度です。
iDeCoは、①拠出金が全額所得控除される、②運用益が非課税となるため複利効果が大きくなる、③60歳以降に引き出すときに「退職所得控除」もしくは「公的年金等控除」の対象となるという3つの税制メリットがあります。
iDeCoでの運用には手数料が発生しますが、手数料が最安となる金融機関を選べば、月額171円(拠出しない月は66円)で済みます。
今回は、iDeCoの手数料が無料となる13金融機関(※)で扱っている新興国債券投資信託について徹底比較していきます。
※SBI証券セレクトプラン、SBI証券オリジナルプラン、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券、野村證券、大和証券、イオン銀行、三井住友銀行みらいプロジェクトコース、みずほ銀行、第一生命保険、SOMPOアセットマネジメント。
新興国債券投信とは、新興国の債券で構成される投資信託です。
新興国債券は、先進国債券よりも高い金利が設定されているため大きなリターンが期待できる一方で、情勢不安などから大きく下落するリスクも抱えます。
一般的に、国内債券・先進国債券といった債券投信はリスクヘッジ目的でポートフォリオに組み込むことになりますが、新興国債券はリターン目的でポートフォリオに組み込むハイリスク・ハイリターン商品となります。
iDeCoで運用する新興国債券投資信託の注目ポイント
iDeCoで新興国債券投資信託を運用する際の注目ポイントについて抑えておきましょう。
※投資信託の「信託報酬」や「直近5年間の成績」については、日本経済新聞社の各投資信託ページに掲載されている2020年3月末時点のデータを参照しています。
・「運用タイプ」をチェック!
投資信託は、運用する方法によって「インデックス」と「アクティブ」に分けられます。
インデックスとは、日経平均株価やTOPIX、NYダウといった指数(インデックス)との連動を目指すファンドです。
アクティブは、ファンドが独自の観点で運用を行い、インデックスファンドよりも優れた成績を目指すファンドです。
インデックスファンドの方がリスク・リターンが低く、アクティブファンドはリスク・リターンが高いと認識しておきましょう。また、信託報酬もインデックスファンドの方が低くなる傾向があります。
・投資信託の手数料である「信託報酬」をチェック!
iDeCoでは掛け金の拠出時に発生する手数料に加えて、投資信託の運用においてもファンドに支払う手数料である「信託報酬」が発生してきます。信託報酬は年率で表示され、保有残高から日割り計算した金額が毎日差し引かれていきます。
信託報酬は投資信託ごとに異なりますが、言うまでもなく、信託報酬は低ければ低いに越したことはありません。
・「直近5年間の成績」をチェック!
投資信託の運用成績をはかる上では、「直近5年間の成績」(2020年3月末時点)をチェックしましょう。
なお、投資信託の運用成績は、個別株投資やETF投資とは異なり、分配金が再投資された上での成績となっています。つまり、「直近5年間の成績」は、直近5年間の値上がり益(キャピタルゲイン)と分配金(インカムゲイン)の合計です。また、投資信託の基準価額は信託報酬が控除されてからの値であるため、信託報酬も「直近5年間の成績」にしっかりと含まれています。
・iDeCoでその商品を扱っている「金融機関」をチェック!
iDeCoで扱っている商品は、金融機関ごとに異なります。
iDeCo口座は1人につき1つの金融機関にしか開設することができないため、自分自身の運用スタイルと扱っている商品を考えた上で慎重に選ぶようにしましょう。
iDeCoで運用できるインデックス型新興国債券投資信託について徹底比較!
iDeCo手数料無料となる金融機関で扱っているインデックス型の新興国債券投資信託について詳しく見ていきましょう。
iFree 新興国債券インデックス
運用タイプ | インデックス |
信託報酬 | 0.242% |
直近5年間の成績 | +1.09% |
金融機関 | SBI証券セレクトプラン、マネックス証券 |
iFree 新興国債券インデックスは、大和アセットマネジメントが運用する、「JPモルガン ガバメント・ボンド・インデックス-エマージング・マーケッツ(GBI-EM) グローバル ダイバーシファイド(円換算)」と連動するインデックス型の新興国債券投資信託です。SBI証券セレクトプラン、マネックス証券のiDeCoで取り扱っています。
「JPモルガン GBI-EMグローバル ダイバーシファイド(円換算)」は、新興国14ヶ国の現地通貨建て国債を対象にした債券インデックスです。国別配分比率上位は、新興国(23.51%)、インドネシア(10.21%)、ブラジル(10.01%)、メキシコ(9.61%)、ポーランド(8.81%)となっています。
信託報酬が低く、最も基本的な新興国債券投信です。ただ、リスクヘッジ目的でポートフォリオに組むことはおすすめできず、株式投信のようにリターン目的で組み込むこととなります。
三菱UFJDC新興国債券インデックスファンド
運用タイプ | インデックス |
信託報酬 | 0.374% |
直近5年間の成績 | -13.91% |
金融機関 | SBI証券オリジナルプラン、松井証券、イオン銀行 |
三菱UFJDC新興国債券インデックスファンドは、三菱UFJ国際投信が運用する、「JPモルガンGBI-EMグローバル・ダイバーシファイド(円換算ベース)」に連動するインデックス型の新興国債券投資信託です。SBI証券オリジナルプラン、松井証券、イオン銀行のiDeCoで取り扱っています。
信託報酬はやや高めで、直近5年間では大きなマイナスとなっています。
インデックスファンド海外新興国(エマージング)債券(1年決算型)
運用タイプ | インデックス |
信託報酬 | 0.572% |
直近5年間の成績 | -14.55% |
金融機関 | 楽天証券、第一生命保険 |
インデックスファンド海外新興国(エマージング)債券(1年決算型)は、日興アセットマネジメントが運用する、「JPモルガン・GBI-EM グローバル・ダイバーシファイド(円ヘッジなし・円ベース)」に連動するインデックス型の新興国債券投資信託です。楽天証券、第一生命保険のiDeCoで取り扱っています。
信託報酬は高く、直近5年間では大きなマイナスとなっています。
eMAXIS 新興国債券インデックス
運用タイプ | インデックス |
信託報酬 | 0.66% |
直近5年間の成績 | -14.05% |
金融機関 | auカブコム証券 |
eMAXIS 新興国債券インデックスは、三菱UFJ国際投信が運用する、「JPモルガンGBI-EMグローバル・ダイバーシファイド(円換算ベース)」に連動するインデックス型の新興国債券投資信託です。auカブコム証券のiDeCoで取り扱っています。
信託報酬は高くなっており、直近5年間でも大きなマイナスです。
野村新興国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)
運用タイプ | インデックス |
信託報酬 | 0.605% |
直近5年間の成績 | +1.51% |
金融機関 | 野村證券 |
野村新興国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)は、野村アセットマネジメントが運用する、「JPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス(円換算ベース)」に連動するインデックス型の新興国債券投資信託です。野村證券のiDeCoで取り扱っています。
「JPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス(円換算ベース)」は、JPモルガン社が算出・公表している、新興国政府が発行する米ドル建のブレディ債、ローン、ユーロボンドを対象とした債権指数です。
野村證券のiDeCoでは、現地通貨建ての「JPモルガンGBI-EMグローバル・ダイバーシファイド」ではなく、米ドル建ての「JPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス(円換算ベース)」に連動する新興国債券を扱っており、他の主要金融機関のiDeCoとは異なります。
信託報酬は高いものの、直近5年間ではプラスとなっています。
iDeCoで運用できるインデックス型新興国債券投資信託比較一覧表
新興国債券投資信託 | 運用タイプ | 信託報酬 | 直近5年間の成績 | 金融機関 |
iFree 新興国債券インデックス | インデックス | 0.242% | +1.09% | SBI証券セレクトプラン、マネックス証券 |
三菱UFJDC新興国債券インデックスファンド | インデックス | 0.374% | -13.91% | SBI証券オリジナルプラン、松井証券、イオン銀行 |
インデックスファンド海外新興国(エマージング)債券(1年決算型) | インデックス | 0.572% | -14.55% | 楽天証券、第一生命保険 |
eMAXIS 新興国債券インデックス | インデックス | 0.66% | -14.05% | auカブコム証券 |
野村新興国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け) | インデックス | 0.605 | +1.51% | 野村證券 |
結論:iDeCoでおすすめの新興国債券投資信託とおすすめの金融機関!
最後に、iDeCoで運用できる新興国債券投資信託でおすすめの銘柄と金融機関についてまとめていきましょう。
一般的に、国内債券・先進国債券といった債券投信はリスクヘッジ目的でポートフォリオに組み込むことになりますが、新興国債券はリターン目的でポートフォリオに組み込むハイリスク・ハイリターン商品であることが特徴です。
新興国債券投信の多くは、直近5年間で大きなマイナスとなっています。
ただ、SBI証券セレクトプラン、マネックス証券で取り扱っている「iFree 新興国債券インデックス」は信託報酬が最も低く、かろうじてプラスとなっています。
また、野村證券で取り扱っている「野村新興国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)」は米ドル建ての新興国債券に連動することが特徴です。信託報酬は高いですが、かろうじて直近5年間ではプラスとなっています。
口座手数料が無料となる金融機関のiDeCoで扱っている新興国債券投信では、上記2銘柄がおすすめです。
ただ、新興国債券投信は、リスクヘッジ目的で組み込むには適さないことはもちろん、リターンを期待するにしても中途半端であるというのが実際の所です。リターンを期待して新興国債券投信をポートフォリオに組み込むなら、株式投信を組み込んだ方がマシです。
新興国債券投信は、リスクが高い割にはリターンもそれほど期待できないことから、iDeCo運用においてはおすすめできない商品であると言わざるを得ません。
iDeCoで新興国債券投信を運用できるおすすめのネット証券は?
iDeCoを始めるなら、新興国債券投信「iFree 新興国債券インデックス」も取り扱っているマネックス証券がおすすめです。
マネックス証券のiDeCoは運営管理手数料が完全無料、マネックス証券への加入時・移換時の手数料や運用管理機関をマネックス証券に変更する際にかかる手数料も無料となっており、iDeCo手数料は最安値です。
マネックス証券のiDeCoでは、全26銘柄の投資信託を取り扱っており、「スパークス・新・国際優良日本株ファンド」や「ひふみ年金」を始めとした日本株投信が充実していることが最大の強みです。
さらに、マネックス証券で取り扱っている金(ゴールド)価格連動型投信「ゴールド・ファンド(為替ヘッジあり)」は、iDeCoで扱っている金(ゴールド)商品としては信託報酬が低く、iDeCoのポートフォリオに金(ゴールド)を組み込みたい場合にはおすすめです。
米国株投信や債券投信、REIT投信にも優良商品が揃っているため、どのような運用目的でiDeCoを始めるにしても、目的に沿ったポートフォリオを構成することができます。