「iDeCoで米国株式投資信託を運用したいけど、どの銘柄がおすすめなんだろう?」と、お困りではありませんか?
GAFAを始めとした値上がりが期待できる成長株や、配当金が優れる銘柄などから構成される米国株式投資信託は、資産運用で最も核となる投信ですが、iDeCoで扱っている金融機関はそれほど多くはありません。
今回は、iDeCoの手数料が無料となる13金融機関で扱っている米国株式投資信託について徹底比較していきます。
iDeCoで米国株式投資信託を運用するメリットとは?
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)は、自分の手で老後資産を形成する私的年金制度です。
iDeCoは、①拠出金が全額所得控除される、②運用益が非課税となるため複利効果が大きくなる、③60歳以降に引き出すときに「退職所得控除」もしくは「公的年金等控除」の対象となるという3つの税制メリットがあります。
iDeCoでの運用には手数料が発生しますが、手数料が最安となる金融機関を選べば、月額171円(拠出しない月は66円)で済みます。
今回は、iDeCoの手数料が無料となる13金融機関(※)で扱っている米国株式投資信託について徹底比較していきます。
※SBI証券セレクトプラン、SBI証券オリジナルプラン、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券、野村證券、大和証券、イオン銀行、三井住友銀行みらいプロジェクトコース、みずほ銀行、第一生命保険、SOMPOアセットマネジメント。
米国株式投資信託は、米国株で構成される商品です。
米国は世界経済の中心であり、世界株投資信託や先進国株投資信託も、その半分以上は米国株で構成されています。
iDeCo運用商品としては、世界株投信や先進国株投信はほぼ全ての金融機関で扱っていますが、米国株投信を扱っている金融機関はそこまで多くありません。
米国株投信は、世界株投信・先進国株投信と比べるとカントリーリスクをヘッジしていない分だけリスクが大きくなるものの、それだけリターンも大きくなることが期待できます。
iDeCoで運用する米国株式投資信託の注目ポイント
iDeCoで米国株式投資信託を運用する際の注目ポイントについて抑えておきましょう。
※投資信託の「信託報酬」や「直近5年間の成績」については、日本経済新聞社の各投資信託ページに掲載されている2020年3月末時点のデータを参照しています。
・「運用タイプ」をチェック!
投資信託は、運用する方法によって「インデックス」と「アクティブ」に分けられます。
インデックスとは、日経平均株価やTOPIX、NYダウといった指数(インデックス)との連動を目指すファンドです。
アクティブは、ファンドが独自の観点で運用を行い、インデックスファンドよりも優れた成績を目指すファンドです。
インデックスファンドの方がリスク・リターンが低く、アクティブファンドはリスク・リターンが高いと認識しておきましょう。また、信託報酬もインデックスファンドの方が低くなる傾向があります。
・投資信託の手数料である「信託報酬」をチェック!
iDeCoでは掛け金の拠出時に発生する手数料に加えて、投資信託の運用においてもファンドに支払う手数料である「信託報酬」が発生してきます。信託報酬は年率で表示され、保有残高から日割り計算した金額が毎日差し引かれていきます。
信託報酬は投資信託ごとに異なりますが、言うまでもなく、信託報酬は低ければ低いに越したことはありません。
・「直近5年間の成績」をチェック!
投資信託の運用成績をはかる上では、「直近5年間の成績」(2020年3月末時点)をチェックしましょう。
なお、投資信託の運用成績は、個別株投資やETF投資とは異なり、分配金が再投資された上での成績となっています。つまり、「直近5年間の成績」は、直近5年間の値上がり益(キャピタルゲイン)と分配金(インカムゲイン)の合計です。また、投資信託の基準価額は信託報酬が控除されてからの値であるため、信託報酬も「直近5年間の成績」にしっかりと含まれています。
・iDeCoでその商品を扱っている「金融機関」をチェック!
iDeCoで扱っている商品は、金融機関ごとに異なります。
iDeCo口座は1人につき1つの金融機関にしか開設することができないため、自分自身の運用スタイルと扱っている商品を考えた上で慎重に選ぶようにしましょう。
iDeCoで運用できるインデックス型米国株式投資信託について徹底比較!
iDeCo手数料無料となる金融機関で扱っているインデックス型の米国株式投資信託について詳しく見ていきましょう。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
運用タイプ | インデックス |
信託報酬 | 0.0968% |
直近5年間の成績 | -2.62% |
金融機関 | SBI証券セレクトプラン |
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、三菱UFJ国際投信が運用する、「S&P500指数」に連動するインデックス型の米国株投資信託です。SBI証券セレクトプランのiDeCoで取り扱っています。
「S&P500指数」は、米国の代表的な500銘柄で構成される株価指数です。構成銘柄上位は、APPLE INC(4.7%)、MICROSOFT CORP(4.6%)、AMAZON.COM INC(2.7%)、FACEBOOK INC-CLASS A(1.8%)、BERKSHIRE HATHAWAY INC-CL B(1.6%)となっています。
「S&P500指数」は500銘柄にリスク分散されていることから、リスクは小さいものの、リターンではダウに劣ります。米国株投資信託ではダウに連動する銘柄の方がおすすめです。
iFree NYダウ・インデックス
運用タイプ | インデックス |
信託報酬 | 0.2475% |
直近5年間の成績 | +37.78% |
金融機関 | SBI証券セレクトプラン、SBI証券オリジナルプラン |
iFree NYダウ・インデックスは、大和アセットマネジメントが運用する、「ダウ・ジョーンズ工業株平均(円ベース)」に連動するインデックス型の米国株投資信託です。SBI証券セレクトプラン、SBI証券オリジナルプランのiDeCoで取り扱っています。
「ダウ・ジョーンズ工業株平均(円ベース)」は、アメリカを代表する30銘柄から構成される株価指数です。構成銘柄上位は、BOEING CO/THE(8.8%)、UNITEDHEALTH GROUP INC(5.9%)、HOME DEPOT INC(5.0%)、MCDONALD’S CORP(5.0%)、APPLE INC(4.8%)となっています。
直近5年間では+40%近い高成績となっています。ダウ構成銘柄は値上がりしている銘柄が多いことに加えて、分配金に優れる銘柄が多いことが特徴であり、分配金を非課税で再投資して複利効果を享受できるiDeCoの強みを最大限に生かすことができます。
インデックス型の米国株投信としておすすめの銘柄です。
楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド(全米株式))
運用タイプ | インデックス |
信託報酬 | 0.162% |
直近5年間の成績 | +0.55% |
金融機関 | 楽天証券 |
楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド(全米株式))は、楽天投信投資顧問が運用する、「CRSP USトータル・マーケット・インデックス(円換算ベース)」に連動するインデックス型の米国株投資信託です。楽天証券のiDeCoで取り扱っています。
「CRSP USトータル・マーケット・インデックス(円換算ベース)」は、米国市場の大型・中型・小型株約4,000銘柄で構成される指数です。NYダウやS&P 500指数よりも銘柄が分散されていることが特徴です。構成銘柄上位は、Microsoft Corp.(3.6%)、Apple Inc.(3.3%)、Amazon.com Inc.(2.5%)、Facebook Inc. Class A(1.5%)、Berkshire Hathaway Inc. Class B(1.3%)となっています。
楽天証券のiDeCoでは人気銘柄となっていますが、あまりにもリスク分散され過ぎているためリターンも削ってしまっていると言えます。
米国株投信としてはおすすめできません。
たわらノーロード NYダウ
運用タイプ | インデックス |
信託報酬 | 0.2475% |
直近5年間の成績 | +10.75% |
金融機関 | マネックス証券 |
たわらノーロード NYダウは、アセットマネジメントOneが運用する、「ダウ・ジョーンズ工業株平均(円換算ベース、為替ヘッジなし)」に連動するインデックス型の米国株投資信託です。マネックス証券のiDeCoで取り扱っています。
インデックス型の米国株投信としておすすめの銘柄です。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
運用タイプ | インデックス |
信託報酬 | 0.0968% |
直近5年間の成績 | -2.62% |
金融機関 | マネックス証券 |
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、三菱UFJ国際投信が運用する、「S&P500指数」に連動するインデックス型の米国株投資信託です。マネックス証券のiDeCoで取り扱っています。
「S&P500指数」に連動する銘柄はリターンが小さく、おすすめできません。
iDeCoで運用できるインデックス型米国株式投資信託比較一覧表
米国株式投資信託 | 運用タイプ | 信託報酬 | 直近5年間の成績 | 金融機関 |
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | インデックス | 0.0968% | -2.62% | SBI証券セレクトプラン |
iFree NYダウ・インデックス | インデックス | 0.2475% | +37.78% | SBI証券セレクトプラン、SBI証券オリジナルプラン |
楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド(全米株式)) | インデックス | 0.162% | +0.55% | 楽天証券 |
たわらノーロード NYダウ | インデックス | 0.2475% | +10.75% | マネックス証券 |
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | インデックス | 0.0968% | -2.62% | マネックス証券 |
iDeCoで運用できるアクティブ型米国株式投資信託について徹底比較!
iDeCo手数料無料となる金融機関で扱っているアクティブ型の米国株式投資信託について詳しく見ていきましょう。
農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね
運用タイプ | アクティブ |
信託報酬 | 0.99% |
直近5年間の成績 | +16.04% |
金融機関 | SBI証券セレクトプラン、SBI証券オリジナルプラン |
農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶねは、農林中金全共連アセットマネジメントが運用する、アクティブ型の米国株投資信託です。SBI証券セレクトプラン、SBI証券オリジナルプランのiDeCoで取り扱っています。
米国株の中でも、付加価値の高い企業、圧倒的な競合優位性、長期的な潮流の3つの条件を満たす構造的に強靭な企業に投資するファンドです。構成銘柄上位は、BECTON DICKINSON & CO(6.79%)、VISA INC-CLASS A SHARES(6.60%)、COLGATE-PALMOLIVE CO(6.42%)、THE WALT DISNEY CO.(6.32%)、3M CO(5.95%)となっています。
直近5年間では大きく上がっており、アクティブ型米国株投信として問題なく運用することが可能ですが、こちらの銘柄を扱っているSBI証券のiDeCoではダウ連動型の「iFree NYダウ・インデックス」の方がおすすめです。
ダイワ米国厳選株ファンドーイーグルアイーBコース(為替ヘッジなし)
運用タイプ | アクティブ |
信託報酬 | 1.903% |
直近5年間の成績 | -1.04% |
金融機関 | 大和証券 |
ダイワ米国厳選株ファンドーイーグルアイーBコース(為替ヘッジなし)は、大和アセットマネジメントが運用する、アクティブ型の米国株投資信託です。大和証券のiDeCoで取り扱っています。
米国株の中でも割安株に厳選投資するファンドです。構成銘柄上位は、ALPHABET INC-CL C(8.5%)、HILTON WORLDWIDE HOLDINGS IN(7.0%)、CHARTER COMMUNICATIONS INC-A(6.3%)、MOODY’S CORP(6.1%)、CBRE GROUP INC – A(5.5%)となっています。
信託報酬が高く、直近5年間ではマイナスです。米国株投信としてはおすすめできません。
フィデリティ・米国優良株・ファンド
運用タイプ | アクティブ |
信託報酬 | 1.639% |
直近5年間の成績 | +6.22% |
金融機関 | イオン銀行 |
フィデリティ・米国優良株・ファンドは、フィデリティ投信が運用する、アクティブ型の米国株投資信託です。イオン銀行のiDeCoで取り扱っています。
独自の企業調査を駆使して、米国株に投資するファンドです。構成銘柄上位は、マイクロソフト(5.6%)、アマゾン・ドット・コム(3.1%)、アップル(2.9%)、アルファベット(2.6%)、ビザ(2.4%)となっています。
直近5年間でプラスになっていますが、信託報酬の高さが目に付きます。
米国株投信でiDeCo運用するとしても、他の米国株投信や世界株・先進国株投信の方がおすすめです。
iDeCoで運用できるアクティブ型米国株式投資信託比較一覧表
米国株式投資信託 | 運用タイプ | 信託報酬 | 直近5年間の成績 | 金融機関 |
農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね | アクティブ | 0.99% | +16.04% | SBI証券セレクトプラン、SBI証券オリジナルプラン |
ダイワ米国厳選株ファンドーイーグルアイーBコース(為替ヘッジなし) | アクティブ | 1.903% | -1.04% | 大和証券 |
フィデリティ・米国優良株・ファンド | アクティブ | 1.639% | +6.22% | イオン銀行 |
結論:iDeCoでおすすめの米国株式投資信託とおすすめの金融機関!
最後に、iDeCoで運用できる米国株式投資信託でおすすめの銘柄と金融機関についてまとめていきましょう。
インデックス型米国株投信としては、500銘柄にリスク分散してリターンが小さくなってしまう「S&P500指数」に連動する銘柄ではなく、米国を代表する30銘柄から構成される「ダウ平均株価」に連動する銘柄がおすすめです。
ダウ構成銘柄は値上がりしている成長株が多いだけでなく、分配金に優れる銘柄が多いことが特徴であり、分配金を非課税で再投資して複利効果を享受できるというiDeCoの強みを最大限に生かすことができます。
具体的には、次の銘柄がダウ平均株価に連動する銘柄となります。
・「iFree NYダウ・インデックス」(SBI証券セレクトプラン、SBI証券オリジナルプラン)
・「たわらノーロード NYダウ」(マネックス証券)
iDeCoで取り扱われているアクティブ型米国株投信としては、特におすすめの銘柄はありません。
米国株は、世界株投信か先進国株投信に含まれていることもあり、iDeCoで米国株投信を取り扱っている金融機関は少なくなっています。
しかし、配当金が優れる銘柄が多いダウ平均株価に連動する米国株投信は、iDeCoの強みをより生かすことができるため、iDeCoで米国株投信を手掛ける価値は大いにあります。
iDeCoで米国株投信をポートフォリオに組み込みたい場合は、SBI証券セレクトプラン、SBI証券オリジナルプラン、マネックス証券のいずれかの金融機関を選ぶようにしましょう。
iDeCoで米国株式投信を運用できるおすすめのネット証券は?
iDeCoを始めるなら、米国株式投信「たわらノーロード NYダウ」も取り扱っているマネックス証券がおすすめです。
マネックス証券のiDeCoは運営管理手数料が完全無料、マネックス証券への加入時・移換時の手数料や運用管理機関をマネックス証券に変更する際にかかる手数料も無料となっており、iDeCo手数料は最安値です。
マネックス証券のiDeCoでは、全26銘柄の投資信託を取り扱っており、「スパークス・新・国際優良日本株ファンド」や「ひふみ年金」を始めとした日本株投信が充実していることが最大の強みです。
さらに、マネックス証券で取り扱っている金(ゴールド)価格連動型投信「ゴールド・ファンド(為替ヘッジあり)」は、iDeCoで扱っている金(ゴールド)商品としては信託報酬が低く、iDeCoのポートフォリオに金(ゴールド)を組み込みたい場合にはおすすめです。
米国株投信や債券投信、REIT投信にも優良商品が揃っているため、どのような運用目的でiDeCoを始めるにしても、目的に沿ったポートフォリオを構成することができます。