エンハンスト型の日本株ETF全4銘柄を徹底解説!【2020年最新版】

「リスクを小さくしたエンハンスト型ETFって、どんなETFなんだろう?」と、疑問に思っていませんか?

エンハンスト型ETFは、オプション取引でカバードコール戦略を取るために使われるもので、リスク低減を目的に設定されていることが特徴です。

今回は、エンハンスト型ETF全4銘柄の違いについて徹底解説していきます。

 

エンハンスト型ETFとは?

エンハンスト型ETFは、カバードコールなどのオプション戦略を実現するためのETFで、リスクが逓減されていることが特徴です。

オプション取引でカバードコール戦略(※原資産を保有しつつ、コールオプションを売る戦略)を実行したいときに、オプション取引の証拠金を用意できる資金的な余裕がない際に利用されます。

今回は、エンハンスト型ETFを長期投資の観点で評価していきます。

長期投資の観点から見ると、エンハンスト型ETFは、単にリスクを小さくした日本株ETFであると認識して問題ありません。

具体的なエンハンスト型ETFとしては、TOPIX連動型ETFのリスクを低減した銘柄、高配当銘柄で構成されるETFのリスクを低減した銘柄の2つがあります。

いずれのエンハンスト型ETFも信託報酬が高めとなっており、流動性が低く取引リスクを抱える銘柄が多いことがデメリットです。

 

エンハンスト型ETFの注目ポイント

エンハンスト型ETFの注目ポイントを抑えておきましょう。

※信託報酬・分配金については、日本取引所のETF一覧ページにあるパンフレットの情報を参照しています。また、月足チャート画像や値動きについては、マネックス証券の「マーケットライダープレミアム」で当該銘柄を参照したデータを記載しています。

・手数料である「信託報酬」を要チェック!

ETFの手数料には、証券会社で購入する際の売買手数料と、運用会社に支払う信託報酬の2つがあります。ETFの銘柄選びで重要なのは信託報酬です。信託報酬は年率で示され、1日ごとに引かれていきます。

エンハンスト型ETF選びにおいても、信託報酬が低いことは重要なポイントです。

なお、SBI証券や楽天証券などの手数料が無料になる証券会社を選ぶことで、売買手数料は問題にならなくなります。ETF投資をする際には、一定の代金以下で手数料が無料になる証券会社で行うようにすることがおすすめです。

 

・ETFの「分配金」と「分配金利回り」を抑えておこう

ETFを保有していると、株の配当金のような形で「分配金」を受け取ることができます。

ただ、株の配当金と同じように、分配金を受け取る際には権利確定日にETFを保有しておく必要があることには注意が必要です。

分配金が年に何回・合計いくら分配されるのかは銘柄によって異なりますが、分配金の目安となる「分配金利回り」は必ずチェックしておきましょう。

分配金利回りは、過去1年間に支払った分配金をある時点の基準価額で割って算出されるものです。例えば、過去1年間の分配金が合計300円、ETFの基準価額が1万円の場合には、分配金利回りは3.00%となります。

エンハンスト型ETFで長期投資する場合においても、分配金利回りは重要なポイントとなります。
※分配金利回りは、過去1年間の分配金実績を2020年3月17日時点の終値で割った値で算出しています。

なお、ETFの分配金は投資信託とは違って再投資されないことには注意が必要です。ETFで積立・分散投資をする際には、分配金を手動でETFに再投資するようにしましょう。

 

・「直近3年間の値動き」はどうなっていたか?

エンハンスト型ETFの価格変動リスクをはかる上では、「直近3年間の値動き」についてチェックしておきましょう。
※今回は、2017年3月1日始値から2020年3月17日終値までの値動き率について記載しています。

 

・「必要投資金額」はいくらか?

そのETFに投資する際の「必要投資金額」についても抑えておきましょう。

ETFは銘柄ごとに単元口数が異なっており、エンハンスト型ETFも銘柄によって1口~10口となっています。

必要投資金額が大きくなってしまうと、取引口数によってはSBI証券や楽天証券の1日定額取引で手数料を無料にすることができなくなってしまう場合もあるため注意しておきましょう。

 

エンハンスト型ETF全4銘柄について徹底解説!

エンハンスト型ETF全4銘柄について詳しく見ていきましょう。

【1567】MAXISトピックスリスクコントロール(5%)上場投信

【1567】MAXISトピックスリスクコントロール(5%)上場投信

信託報酬(税込) 0.264%
分配金 2.9円(年2回)
分配金利回り 0.29%
直近3年間の値動き -17.58%(1,183円→975円)
必要投資金額 9,750円(10口)

【1567】MAXISトピックスリスクコントロール(5%)上場投信は、三菱UFJ国際投信が運用する、「S&P/JPX リスク・コントロール指数(5%)」に連動するETFです。

「S&P/JPX リスク・コントロール指数(5%)」は、ボラティリティを抑制してダウンサイドリスクをコントロールする目的で開発された株価指数で、指数のボラティリティが5%になるように、TOPIXで運用する部分と現金で保有する割合が調整されています。構成比率は、現金(コールローン)64.2%、株式35.8%となっています。

同ETFを長期投資の観点から見ると、何一つメリットがない最悪のETFです。まず、流動性がほとんどないため取引リスクを抱えます。また、分配金利回りが信託報酬とほぼ変わりません。そして、リスク重視のポートフォリオであるため値上がり益も期待できません。このETFに長期投資するなら、銀行預金しておいた方がマシです。

 

【1574】MAXISトピックスリスクコントロール(10%)上場投信

【1574】MAXISトピックスリスクコントロール(10%)上場投信

信託報酬(税込) 0.264%
分配金 17.2円(年回)
分配金利回り 1.32%
直近3年間の値動き -10.89%(1,460円→1,301円)
必要投資金額 13,010円(10口)

【1574】MAXISトピックスリスクコントロール(10%)上場投信は、三菱UFJ国際投信が運用する、「S&P/JPX リスク・コントロール指数(10%)」に連動するETFです。

「S&P/JPX リスク・コントロール指数(10%)」は、指数のボラティリティが10%になるように、TOPIXで運用する部分と現金で保有する割合が調整されている株価指数です。構成比率は、現金(コールローン)28.3%、株式71.7%となっています。

分配金利回りが信託報酬を上回っているため、【1567】MAXISトピックスリスクコントロール(5%)上場投信よりはマシになっています。ただ、流動性がほとんどないため取引リスクを抱える点では変わりません。TOPIXで運用する分が7割ならば、最初からTOPIX連動型ETFで運用すべきです。

 

【1490】上場インデックスファンドMSCI日本株高配当低ボラティリティ(βヘッジ)

【1490】上場インデックスファンドMSCI日本株高配当低ボラティリティ(βヘッジ)

信託報酬(税込) 0.495%
分配金 200.4円(年4回)
分配金利回り 2.26%
直近3年間の値動き -11.70%(10,000円→8,830円)
必要投資金額 88,300円(10口)

【1490】上場インデックスファンドMSCI日本株高配当低ボラティリティ(βヘッジ)は、日興アセットマネジメントが運用する、「MSCIジャパンIMIカスタムロングショート戦略85%+円キャッシュ15%指数」に連動するETFです。

「MSCIジャパンIMIカスタムロングショート戦略85%+円キャッシュ15%指数」は、高配当株150銘柄で構成される「MSCIジャパンIMIカスタム高流動性高利回り低ボラティリティ指数」を市場パフォーマンスでヘッジした指数となっています。

信託報酬は高く、高配当ETFの中では分配金利回りも低水準と、メリットが見当たりません。さらに、流動性がほとんどなく取引リスクを抱えます。

デメリットしか見当たらないETFです。取引しないようにしましょう。

 

【1499】MAXIS日本株高配当70マーケットニュートラル上場投信

【1499】MAXIS日本株高配当70マーケットニュートラル上場投信

信託報酬(税込) 0.44%
分配金 341円(年4回)
分配金利回り 4.08%
直近3年間の値動き -17.34%(10,090円→8,340円)
必要投資金額 8,770円(1口)

【1499】MAXIS日本株高配当70マーケットニュートラル上場投信は、三菱UFJ国際投信が運用する、「野村日本株高配当70マーケットニュートラル指数 」に連動するETFです。

「野村日本株高配当70マーケットニュートラル指数   」は、今期予想配当利回りの高い日本株70銘柄で構成される「野村日本株高配当70・配当総額加重型」をロングした上で、TOPIX先物をショートすることでリスクヘッジ調整した指数です。

「野村日本株高配当70」に連動する【1577】NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信と比べると、値下がりリスクがやや小さいだけで、信託報酬・分配金利回りともに劣っています。わざわざこのETFで運用する合理性はないでしょう。

 

エンハンスト型ETF比較一覧表

エンハンスト型ETF メリット デメリット 信託報酬(税込) 分配金利回り 直近3年間の値動き 必要投資金額
【1567】MAXISトピックスリスクコントロール(5%)上場投信 特になし 流動性がほとんどない、分配金利回りが低い、値上がりが期待できない 0.264% 0.29% -17.58% 9,750円
【1574】MAXISトピックスリスクコントロール(10%)上場投信 特になし 流動性がほとんどない 0.264% 1.32% -10.89% 13,010円
【1490】上場インデックスファンドMSCI日本株高配当低ボラティリティ(βヘッジ) 特になし 信託報酬が高い、分配金利回りが低い、流動性がない 0.495% 2.26% -11.70% 88,300円
【1499】MAXIS日本株高配当70マーケットニュートラル上場投信 分配金利回りが高い 信託報酬が高い 0.44% 4.08% -17.34% 8,770円

 

結論:エンハンスト型ETFでおすすめはこの銘柄!

最後に、エンハンスト型ETFでおすすめの銘柄についてまとめていきましょう。

エンハンスト型ETFでおすすめの銘柄はありません。

エンハンスト型ETFは、リスクを低減することを目的とした上場投資信託ですが、いずれの銘柄もリスクを小さくする余り、リターンも小さくしてしまっています。

そもそも、ETFはインデックス投資をすることによって十分にリスクが小さくなっているにも関わらず、わざわざエンハンスト型ETFでさらにリスクを小さくするメリットはなく、むしろ低い流動性と信託報酬の高さというデメリットが加わるだけです。

折角、ETF投資をするのなら、わざわざリスクを小さくしたエンハンスト型ETFに投資するのではなく、もう少しリスクを取ってみることをおすすめします。

 

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マネックス証券

マネックス証券のETF投資について、より詳しく知りたい場合には下記記事も参照してみてください。

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