「経済ニュースでESG投資が流行しているって聞いたけど、個人投資家がESG投資できるETFはないかな?」と思っていませんか?
環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の3点を重視している企業に投資するESG投資は機関投資家の間で広まっており、女性活躍や二酸化炭素排出抑制などに力を入れている企業がマーケットにおいても評価されています。
今回は、ESG指数に連動する日本株ETF全6銘柄の違いについて徹底解説していきます。
ESG指数に連動するETFとは?
今回は、ESG指数に連動する日本株ETFについて見ていきます。
ESGとは環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の3点のことで、この3点に力を入れている企業への投資は「ESG投資」と呼ばれています。
具体的には、環境では二酸化炭素排出量を抑えること、社会では女性活躍や労働環境の整備、企業統治では不祥事がないことなどがESG投資において評価されるポイントです。
近年、ESG投資は機関投資家の間で広まりを見せており、ESGへの取り組みが優れる企業で構成される「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」や女性活躍企業で構成される「MSCI日本株女性活躍指数」、二酸化炭素排出が少ない企業で構成される「S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数」など数多くのESG指数があり、ESG指数に連動するETFや投資信託も続々と上場しています。
ESG指数に連動するETFは、いずれの銘柄も信託報酬が低くなっており、分配金利回りも悪くありません。ただ、ネックとなってくるのが値上がり益です。
経済ニュースのESG投資特集などを見ると、ESGに力を入れている銘柄は上昇しているような錯覚を持ってしまいますが、実はそうでもないというのが実際の所です。
ESG投資の現実を認識して、ESG投資をするかどうかを判断する上でも、ESG指数に連動するETFについて抑えておきましょう。
ESG指数に連動するETFの注目ポイント
ESG指数に連動するETFの注目ポイントを抑えておきましょう。
※信託報酬・分配金については、日本取引所のETF一覧ページにあるパンフレットの情報を参照しています。また、月足チャート画像や値動きについては、マネックス証券の「マーケットライダープレミアム」で当該銘柄を参照したデータを記載しています。
・手数料である「信託報酬」を要チェック!
ETFの手数料には、証券会社で購入する際の売買手数料と、運用会社に支払う信託報酬の2つがあります。ETFの銘柄選びで重要なのは信託報酬です。信託報酬は年率で示され、1日ごとに引かれていきます。
ESG指数に連動するETF選びにおいて、信託報酬が低いことは重要なポイントです。
なお、SBI証券や楽天証券などの手数料が無料になる証券会社を選ぶことで、売買手数料は問題にならなくなります。ETF投資をする際には、一定の代金以下で手数料が無料になる証券会社で行うようにすることがおすすめです。
・ETFの「分配金」と「分配金利回り」を抑えておこう
ETFを保有していると、株の配当金のような形で「分配金」を受け取ることができます。
ただ、株の配当金と同じように、分配金を受け取る際には権利確定日にETFを保有しておく必要があることには注意が必要です。
分配金が年に何回・合計いくら分配されるのかは銘柄によって異なりますが、分配金の目安となる「分配金利回り」は必ずチェックしておきましょう。
分配金利回りは、過去1年間に支払った分配金をある時点の基準価額で割って算出されるものです。例えば、過去1年間の分配金が合計300円、ETFの基準価額が1万円の場合には、分配金利回りは3.00%となります。
ESG指数に連動するETFでは、分配金利回りは信託報酬と並んで重要なポイントです。
※分配金利回りは、過去1年間の分配金実績を2020年3月2日時点の終値で割った値で算出しています。
なお、ETFの分配金は投資信託とは違って再投資されないことには注意が必要です。ETFで積立・分散投資をする際には、分配金を手動でETFに再投資するようにしましょう。
・「直近3年間の値動き」はどうなっていたか?
ESG指数に連動するETFの成長率をはかる上でも、「直近3年間の値動き」は必ずチェックしておきましょう。
※今回は、2017年3月1日始値から2020年3月2日終値までの値動き率について記載しています。
・「必要投資金額」はいくらか?
そのETFに投資する際の「必要投資金額」についても抑えておきましょう。
ETFは銘柄ごとに単元口数が異なっており、ESG指数に連動するETFも銘柄によって1口~10口となっています。
必要投資金額が大きくなってしまうと、取引口数によってはSBI証券や楽天証券の1日定額取引で手数料を無料にすることができなくなってしまう場合もあるため注意しておきましょう。
ESG指数に連動するETF全6銘柄について徹底解説!
ESG指数に連動するETF全6銘柄について詳しく見ていきましょう。
【1652】ダイワ上場投信-MSCI日本株女性活躍指数(WIN)
信託報酬(税込) | 0.165% |
分配金 | 48.4円(年2回) |
分配金利回り | 2.62% |
直近3年間の値動き | -7.93%(2,004円→1,845円) |
必要投資金額 | 18,450円(10口) |
【1652】ダイワ上場投信-MSCI日本株女性活躍指数(WIN)は、大和証券投資信託委託が運用する、「MSCI日本株女性活躍指数」に連動するETFです。ESGの中ではS(社会)の女性活躍に特化した銘柄となっています。
「MSCI日本株女性活躍指数」は、日本株の時価総額トップ500銘柄から構成される「MSCIジャパンIMIトップ500指数」構成銘柄の内、女性活躍度の高い銘柄から選定・算出される指数です。単一銘柄の組み入れ上限は5%となっており、構成銘柄上位はリクルートホールディングス(3.89%)、花王(3.55%)、HOYA(3.36%)、KDDI(3.16%)、ソニー(3.06%)となっています。
信託報酬は低く、分配金利回りは平均以上です。ただ、この3年間では値下がりしており、流動性が低いことも難点です。悪いETFではないものの、日本株ETFとして積極的におすすめはできません。
【2518】NEXT FUNDS MSCI日本株女性活躍指数(セレクト)連動型上場投信
信託報酬(税込) | 0.165% |
分配金 | 21円(年2回) |
分配金利回り | 2.36% |
直近3年間の値動き | -11.98%(1,010円→889円) |
必要投資金額 | 889円(1口) |
【2518】NEXT FUNDS MSCI日本株女性活躍指数(セレクト)連動型上場投信は、野村アセットマネジメントが運用する、「MSCI日本株女性活躍指数(セレクト)」に連動するETFです。ESGの中ではS(社会)の女性活躍に特化した銘柄となっています。
「MSCI日本株女性活躍指数(セレクト)」は、MSCIが開発した「性別多様性スコア」に基づいて選ばれた、優れた人材多様性を有する企業から構成される指数です。構成銘柄上位はリクルートホールディングス(3.92%)、花王(3.59%)、HOYA(3.39%)、KDDI(3.19%)、ソニー(3.08%)となっており、「MSCI日本株女性活躍指数」とほとんど変わりません。
信託報酬が低い点は大きなメリットであり、分配金利回り・流動性も問題ありません。ただ、直近3年間では-10%を超えるマイナスとなっています。
【1653】ダイワ上場投信-MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数
信託報酬(税込) | 0.165% |
分配金 | 35.1円(年2回) |
分配金利回り | 2.12% |
直近3年間の値動き | -16.13%(1,971円→1,653円) |
必要投資金額 | 16,530円(10口) |
【1653】ダイワ上場投信-MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数は、大和証券投資信託委託が運用する、「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」に連動するETFです。
「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」は、時価総額が高い700銘柄で構成された「MSCIジャパンIMIトップ700指数」からESGの観点で銘柄を選定して算出されている指数です。同指数は、ESG投資において最も名前がよく上がる指数としても知られています。構成銘柄上位は、トヨタ自動車(7.31%)、ソニー(4.10%)、キーエンス(2.84%)、リクルートホールディングス(2.45%)、KDDI(2.42%)となっています。
ESG投資においては最も代表的な指数に連動する銘柄ですが、ETFとしては残念な銘柄であると言わざるを得ません。信託報酬が低いことはメリットですが、直近3年間では-16%以上の大きな下落となっています。この銘柄よりも優秀な日本株ETFはいくらでもあります。
【1654】ダイワ上場投信-FTSE Blossom Japan Index
信託報酬(税込) | 0.165% |
分配金 | 31.5円(年2回) |
分配金利回り | 2.69% |
直近3年間の値動き | -6.62%(1,253円→1,170円) |
必要投資金額 | 11,700円(10口) |
【1654】ダイワ上場投信-FTSE Blossom Japan Indexは、大和証券投資信託委託が運用する、「FTSE Blossom Japan Index」に連動するETFです。
「FTSE Blossom Japan Index」は、日本の大型・中型株で構成される「FTSE Japan Index」構成銘柄の内、ESGが優れた銘柄で構成されている指数です。構成銘柄上位は、トヨタ自動車(6.48%)、ソニー(3.23%)、武田薬品工業(2.42%)、三菱UFJフィナンシャルグループ(2.41%)、KDDI(2.38%)となっています。
他のESG指数ETFと比べると、信託報酬は同じように安く、分配金利回り・直近3年間の値動きでも優れています。しかし、あくまでESG指数に連動するETFの中では優れているということであり、日本株ETFとしておすすめできる銘柄ではありません。
【1498】One ETF ESG
信託報酬(税込) | 0.143% |
分配金 | 300円(年2回) |
分配金利回り | 2.55% |
直近3年間の値動き | -16.28%(14,000円→11,720円) |
必要投資金額 | 11,720円(1口) |
【1498】One ETF ESGは、アセットマネジメントOneが運用する、「FTSE Blossom Japan Index」に連動するETFです。
同指数に連動する【1654】ダイワ上場投信-FTSE Blossom Japan Indexと比較すると、信託報酬はやや低くなっていますが、分配金利回りもやや低くなっています。なお、直近3年間の値動きに10%近い差がありますが、これは運用開始時期の違いによるものであり、同じ指数・ポートフォリオで運用している以上、値動き自体には差はありません。
【2560】MAXISカーボン・エフィシェント日本株上場投信
信託報酬(税込) | 0.1375% |
分配金 | -円(年2回) |
分配金利回り | - |
直近3年間の値動き | -10.86%(22,920円→20,430円) |
必要投資金額 | 20,430円(1口) |
【2560】MAXISカーボン・エフィシェント日本株上場投信は、三菱UFJ国際投信株式会社が運用する、「S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数」に連動するETFです。ESGの中ではE(環境)の二酸化炭素排出量に特化した銘柄となっています。
「S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数」は、TOPIXをユニバースとし、炭素効率性が高く、炭素排出量の少ない企業の構成比率を高めて算出される指数です。
同ETFは2020年2月に上場したばかりのETFであり、まだ評価するのは尚早かと思われます。ただ、ちょうど新型コロナウイルスによる世界株安と重なってしまったことから、1ヶ月で-10%を超える下落となっています。
他のESG銘柄を見る限り、積極的におすすめできる銘柄とは言えないでしょう。
ESG指数に連動するETF比較一覧表
ESG指数連動ETF | メリット | デメリット | 信託報酬(税込) | 分配金利回り | 直近3年間の値動き | 必要投資金額 |
【1652】ダイワ上場投信-MSCI日本株女性活躍指数(WIN) | 信託報酬が低い、分配金利回りが高い | 値下がりしている | 0.165% | 2.62% | -7.93% | 18,450円 |
【2518】NEXT FUNDS MSCI日本株女性活躍指数(セレクト)連動型上場投信 | 信託報酬が低い | 値下がりしている | 0.165% | 2.36% | -11.98%( | 889円 |
【1653】ダイワ上場投信-MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数 | 信託報酬が低い | 値下がりしている | 0.165% | 2.12% | -16.13% | 16,530円 |
【1654】ダイワ上場投信-FTSE Blossom Japan Index | 信託報酬が低い、分配金利回りが高い | 値下がりしている | 0.165% | 2.69% | -6.62% | 11,700円 |
【1498】One ETF ESG | 信託報酬が低い、分配金利回りが高い | 値下がりしている | 0.143% | 2.55% | -16.28% | 11,720円 |
【2560】MAXISカーボン・エフィシェント日本株上場投信 | 信託報酬が低い | 運用歴が短い、値下がりしている | 0.1375% | - | -10.86% | 20,430円 |
結論:ESG指数に連動するETFでおすすめはこの銘柄!
最後に、ESG指数に連動するETFでおすすめの銘柄についてまとめていきましょう。
ESG指数に連動するETFの中では、信託報酬が低く、分配金利回りが高めの【1654】ダイワ上場投信-FTSE Blossom Japan Indexや【1652】ダイワ上場投信-MSCI日本株女性活躍指数(WIN)がおすすめです。
ただ、そもそも論として、ESG指数に連動するETFはいずれも値下がりリスクが高く、おすすめできるETFではありません。
今回見てきたESGに連動するETFは全銘柄が直近3年間で値下がりしているのは見てきた通りです。ESG指数に連動するETFよりも優秀な日本株ETFはいくらでもあります。
ESG投資は、現状では「きれいごとでは利益が出ない」という結果しか残せていないのが現実です。
ETF投資を始めるならマネックス証券がおすすめ!
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マネックス証券のETF投資について、より詳しく知りたい場合には下記記事も参照してみてください。