「つみたてNISAで、ETFに投資してみたいけど、どの銘柄がおすすめなんだろう?」と、お困りではありませんか?
つみたてNISAでは投資信託を運用することが一般的ですが、一部のETFも対象となっています。ETFは投資信託と比べて、株式投資のように手軽に売買できる点がメリットです。
今回は、つみたてNISAの対象となっているETF全7銘柄について徹底解説した上で、おすすめの銘柄を紹介していきます。
つみたてNISAでETFを運用するメリットとは?
つみたてNISAは、2018年1月から始まった、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。
つみたてNISAの非課税投資枠は毎年40万円、2018年から2037年までの20年間で最大800万円となっています。
※2018年から2037年まで毎年積み立てた場合に非課税枠が最大800万円になるということであり、2020年から始めた場合には2037年までの18年間で最大720万円となります。また、投資信託の購入から20年間が非課税期間となります(2037年に購入した投資信託は2056年まで非課税)。
今回は、つみたてNISAの対象となっているETF全7銘柄について徹底解説した上で、おすすめの銘柄を紹介していきます。
ETFは「Exchange-Traded Fund」の略称で、「上場投資信託」や「上場投信」と呼ばれる金融商品です。
ETFは、インデックス型の投資信託と同様に、日経平均やTOPIX、NYダウといった指数(インデックス)に連動することを目的としており、個別株投資よりもリスクが小さくなっています。
また、ETFは金融市場に上場している商品であるため、株式銘柄のように市場が開いている間はいつでも売買することが可能です。
ETFは、インデックス型投信のようなローリスク運用を可能にしつつ、株式投資のように手軽に投資することができる金融商品と言えます。
ETFは2020年6月19日時点で221銘柄が上場していますが、つみたてNISAの対象となっているETFは十分な流動性がある7銘柄に限られています。
また、ETFはつみたてNISAの制度上では対象となっていますが、多くの金融機関のつみたてNISAではETFは対象外となっていることが多くなっていることには気を付けておきましょう。
つみたてNISAで運用できるETFの注目ポイント
つみたてNISAの対象となっているETFの注目ポイントについて抑えておきましょう。
※つみたてNISAの対象商品は金融庁の「つみたてNISAの対象商品」を参照しています。ETFの信託報酬・分配金については、日本取引所のETF一覧ページにあるパンフレットの情報を参照しています。また、月足チャート画像や値動きについては、マネックス証券の「マーケットライダープレミアム」で当該銘柄を参照したデータを記載しています。
・「商品種別」をチェック!
つみたてNISAで運用する投資信託・ETFは、株式や債券など構成される資産によってさまざまなタイプに分けられます。
一般的には、債券より株式の方がリスク・リターンが高く、先進国より新興国の方がリスク・リターンが高くなる傾向があります。
また、複数の資産を組み合わせたバランス型も、つみたてNISAにおいては人気の商品です。
・手数料である「信託報酬」を要チェック!
ETFの手数料には、証券会社で購入する際の売買手数料と、運用会社に支払う信託報酬の2つがあります。ETFの銘柄選びで重要なのは信託報酬です。信託報酬は年率で示され、1日ごとに引かれていきます。
なお、売買手数料については、つみたてNISA枠内で投資する場合には多くの証券会社で無料となっています。
・ETFの「分配金」と「分配金利回り」を抑えておこう
ETFを保有していると、株の配当金のような形で「分配金」を受け取ることができます。
ただ、株の配当金と同じように、分配金を受け取る際には権利確定日にETFを保有しておく必要があることには注意が必要です。
分配金が年に何回・合計いくら分配されるのかは銘柄によって異なりますが、分配金の目安となる「分配金利回り」は必ずチェックしておきましょう。
分配金利回りは、過去1年間に支払った分配金をある時点の基準価額で割って算出されるものです。例えば、過去1年間の分配金が合計300円、ETFの基準価額が1万円の場合には、分配金利回りは3.00%となります。
※分配金利回りは、過去1年間の分配金実績を2020年7月16日時点の終値で割った値で算出しています。
なお、ETFの分配金は投資信託とは違って再投資されないことには注意が必要です。ETFで積立・分散投資をする際には、分配金を手動でETFに再投資するようにしましょう。
・「直近5年間の値動き」はどうなっていたか?
将来の値上がり期待や下落リスクを認識しておく上でも、「直近5年間の値動き」は必ずチェックしておきましょう。
※今回は、2015年7月1日始値から2020年7月16日終値までの値動き率について記載しています。
なお、投資信託の運用成績は分配金が再投資された上での成績となっていますが、ETFの場合は値上がり益(キャピタルゲイン)と分配金(インカムゲイン)を別々に見る必要があります。
つみたてNISAで運用できるETF全7銘柄について徹底比較!
つみたてNISAの対象となっているETF全7銘柄について詳しく見ていきましょう。
【1305】ダイワ上場投信-トピックス
商品種別 | 日本株ETF |
信託報酬(税込) | 0.121% |
分配金 | 34.9円(年1回) |
分配金利回り | 2.12% |
直近5年間の値動き | -3.85%(1,712円→1,646円) |
【1305】ダイワ上場投信-トピックスは、大和証券投資信託が運用する、「TOPIX」に連動する日本株ETFです。
TOPIXは、東証一部に上場している全2,169銘柄(2020年7月1日時点)の時価総額加重平均で算出される日本株指数です。構成銘柄上位は、トヨタ自動車(3.59%)、ソニー(2.05%)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(1.63%)、NTT(1.54%)、ソフトバンクグループ(1.48%)となっています。
TOPIX連動型は日本株ETFの中でもリスク重視となっていることが特徴です。ただ、当サイトでは、インデックス型の日本株投信・日本株ETFとしては、リスク重視のTOPIX連動型よりも、リターンに優れる日経平均連動型をおすすめします。
直近5年間の値動きは約-4%となっていますが、分配金利回りが2%あるため、5年間トータルではプラスです。
信託報酬は、つみたてNISAの対象となっているTOPIX連動型投信よりも低くなっています。
※つみたてNISAの対象となっているTOPIX連動型投信で最も信託報酬が低いのは、「iFree TOPIXインデックス」「<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド」「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」「Smart-i TOPIXインデックス」の0.154%。
つみたてNISAの対象となっているTOPIX連動型投信については、こちらの記事を参照ください。
【1320】ダイワ上場投信-日経225
商品種別 | 日本株ETF |
信託報酬(税込) | 0.176% |
分配金 | 420円(年1回) |
分配金利回り | 1.80% |
直近5年間の値動き | +11.29%(20,900円→23,260円) |
【1320】ダイワ上場投信-日経225は、大和証券投資信託委託が運用する、「日経平均株価」に連動する日本株ETFです。
日経平均株価は、東証一部に上場している主要225銘柄の株価単純平均で算出される日本株指数です。構成銘柄上位は、ファーストリテイリング(9.21%)、ソフトバンクグループ(4.21%)、東京エレクトロン(3.80%)、ファナック(3.15%)、KDDI(3.05%)となっています。
直近5年間で値上がりしており、分配金利回りも2%弱あるため、トータルでは20%前後の利益となっています。日経平均は、TOPIXに比べるとリスク・リターンが高くなっており、投資信託・ETFのいずれにおいてもおすすめです。
信託報酬は、つみたてNISAの対象となっている日経平均連動型投信よりも低くなっています。
※つみたてNISAの対象となっている日経平均連動型投信で最も信託報酬が低いのは、「iFree 日経225インデックス」「<購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド」「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」の0.154%。
つみたてNISAの対象となっている日経平均連動型投信については、こちらの記事を参照ください。
【1599】ダイワ上場投信-JPX日経400
商品種別 | 日本株ETF |
信託報酬(税込) | 0.198% |
分配金 | 314円(年2回) |
分配金利回り | 2.17% |
直近5年間の値動き | -3.66%(14,990円→14,440円) |
【1599】ダイワ上場投信-JPX日経400は、大和証券投資信託委託が運用する、「JPX日経インデックス400」に連動する日本株ETFです。
「JPX日経インデックス400」は、東京証券取引所に上場している全3,400銘柄以上の中から、企業の資本効率を示す自己資本利益率(ROE)、営業利益、時価総額の3つの指標を評点として、投資家に魅力のある400銘柄で構成された株価指数です。構成銘柄上位は、ソニー(1.79%)、リクルートホールディングス(1.60%)、トヨタ自動車(1.60%)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(1.55%)、NTT(1.51%)となっています。
「JPX日経インデックス400」はTOPIXとほぼ同じ値動きをする傾向にありますが、投資信託・ETFの信託報酬は高めで、日本株インデックスの中ではおすすめできません。
こちらのETFは、信託報酬では、つみたてNISAの対象となっているJPX日経インデックス400連動型投信よりも低くなっています。ただ、ETFとしては流動性が低いため、おすすめできません。
※つみたてNISAの対象となっているJPX日経インデックス400連動型投信で最も信託報酬が低いのは、「iFree JPX日経400インデックス」「<購入・換金手数料なし>ニッセイJPX日経400インデックスファンド」の0.2145%。
つみたてNISAの対象となっているJPX日経インデックス400連動型投信については、こちらの記事を参照ください。
【1554】上場インデックスファンド世界株式(MSCI ACWI)除く日本
商品種別 | 世界株ETF |
信託報酬(税込) | 0.264% |
分配金 | 37.6円(年1回) |
分配金利回り | 1.73% |
直近5年間の値動き | +14.03%(1,895円→2,161円) |
【1554】上場インデックスファンド世界株式(MSCI ACWI)除く日本は、日興アセットマネジメントが運用する、「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI Index)(除く日本)」の円換算値に連動する世界株ETFです。
「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI Index)(除く日本)」は、日本を除く世界の先進国・新興国の株式の総合投資収益を各市場の時価総額比率で加重平均した指数です。
代表的な世界株ETFですが、つみたてNISAの対象となっている同指数に連動する世界株投信に比べると、信託報酬が高めです。
※同指数に連動する「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」の信託報酬は0.1144%。
このため、つみたてNISAでわざわざこちらのETFを運用する必要はありません。
つみたてNISAの対象となっている世界株投信については、こちらの記事を参照ください。
【1680】上場インデックスファンド海外先進国株式(MSCI-KOKUSAI)
商品種別 | 先進国株ETF |
信託報酬(税込) | 0.264% |
分配金 | 44.7円(年1回) |
分配金利回り | 1.75% |
直近5年間の値動き | +15.72%(2,200円→2,546円) |
【1680】上場インデックスファンド海外先進国株式(MSCI-KOKUSAI)は、日興アセットマネジメントが運用する、「MSCI-KOKUSAIインデックス」の円換算値と連動する先進国株ETFです。
「MSCI-KOKUSAIインデックス」は、日本を除く先進国の株式で構成される、時価総額加重平均型の株価指数です。
代表的な先進国株ETFですが、つみたてNISAの対象となっている同指数に連動する先進国株投信と比べると、信託報酬が高めです。
※同指数に連動する「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」の信託報酬は0.1023%。
このため、つみたてNISAでわざわざこちらのETFを運用する必要はありません。
つみたてNISAの対象となっている先進国株投信については、こちらの記事を参照ください。
【1547】上場インデックスファンド米国株式(S&P500)
商品種別 | 米国株ETF |
信託報酬(税込) | 0.165% |
分配金 | 46.2円(年1回) |
分配金利回り | 1.23% |
直近5年間の値動き | +35.96%(2,747円→3,735円) |
【1547】上場インデックスファンド米国株式(S&P500)は、日興アセットマネジメントが運用する、「S&P500指数」の円換算値に連動する米国株ETFです。
「S&P500指数」は、米国の代表的な500銘柄で構成される時価総額加重平均型の株価指数です。
ただ、つみたてNISAの対象となっている同指数に連動する米国株投信と比べると、信託報酬が高めです。
※同指数に連動する「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」の信託報酬は0.0938%。
このため、つみたてNISAでわざわざこちらのETFを運用する必要はありません。
つみたてNISAの対象となっている米国株投信については、こちらの記事を参照ください。
【1681】上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)
商品種別 | 新興国株ETF |
信託報酬(税込) | 0.264% |
分配金 | 7.4円(年1回) |
分配金利回り | 0.52% |
直近5年間の値動き | -4.38%(1,483円→1,418円) |
【1681】上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)は、日興アセットマネジメントが運用する、「MSCI Emerging Markets Index」の円換算値と連動する新興国株ETFです。
「MSCI Emerging Markets Index」は、新興国株式の総合投資収益を各市場の時価総額比率で加重平均して指数化したものです。構成銘柄上位は、中国の企業間オンライン取引大手:ALIBABA GROUP HOLDING-SP ADR(4.55%)、中国のゲーム・SNS大手:TENCENT HOLDINGS LTD(4.31%)、台湾の半導体製造大手:TAIWAN SEMICONDUCTOR(3.69%)、韓国の世界的電子メーカー:SAMSUNG ELECTRONICS(3.19%)となっています。
ただ、つみたてNISAの対象となっている同指数に連動する新興国株投信と比べると、信託報酬が高めです。
※同指数に連動する「<購入・換金手数料なし>ニッセイ新興国株式インデックスファンド」「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」の信託報酬は0.2079%。
このため、つみたてNISAでわざわざこちらのETFを運用する必要はありません。
つみたてNISAの対象となっている新興国株投信については、こちらの記事を参照ください。
つみたてNISAで運用できるETFの比較一覧表
ETF | 商品種別 | 信託報酬 | 分配金利回り | 直近5年間の値動き |
【1305】ダイワ上場投信-トピックス | 日本株ETF | 0.121% | 2.12% | -3.85% |
【1320】ダイワ上場投信-日経225 | 日本株ETF | 0.176% | 1.80% | +11.29% |
【1599】ダイワ上場投信-JPX日経400 | 日本株ETF | 0.198% | 2.17% | -3.66% |
【1554】上場インデックスファンド世界株式(MSCI ACWI)除く日本 | 世界株ETF | 0.264% | 1.73% | +14.03% |
【1680】上場インデックスファンド海外先進国株式(MSCI-KOKUSAI) | 先進国株ETF | 0.264% | 1.75% | +15.72% |
【1547】上場インデックスファンド米国株式(S&P500) | 米国株ETF | 0.165% | 1.23% | +35.96% |
【1681】上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング) | 新興国株ETF | 0.264% | 0.52% | -4.38% |
結論:つみたてNISAで運用できるETFでおすすめの銘柄!
最後に、つみたてNISAで運用できるETFについて、おすすめの銘柄をまとめていきましょう。
ETFは2020年6月19日時点で221銘柄が上場していますが、つみたてNISAの対象となっているETFは十分な流動性がある7銘柄に限られています。
その7銘柄のETFの内、日本株ETF3銘柄については、つみたてNISAの対象となっている日本株投信よりも信託報酬が低くなっています。
一方、外国株ETF4銘柄については、つみたてNISAの対象となっている投資信託の方が、信託報酬の低い銘柄があります。
このため、日本株ETFについてはともかく、外国株ETFについては投資信託の方がお得です。
日本株ETFにしても、ETF投資をするにあたっては投資タイミングに気を付ける必要があるため、投資初心者には安易におすすめできません。このため多少の信託報酬の高さには目を瞑っても、つみたてNISAではETFよりも投資信託で運用する方がおすすめです。
また、2020年7月時点では、つみたてNISAでETFに対応していない金融機関がほとんどです。
今回は、つみたてNISAに指定されているETFに関して見てきましたが、つみたてNISAに指定されている7銘柄がETFの全てだと思ったら大間違いです。
当サイトでは、ある程度の投資知識やスキルがある方については、つみたてNISAよりも、NISAを使ったETF投資をすることを推奨します。
ETFについての全銘柄解説記事や、投資目的・年代に応じたおすすめ記事などETFコンテンツを多数用意してありますので、ETF投資に興味がある方は是非ご覧ください。
ETF投資を始めるならマネックス証券がおすすめ!
新NISAを使ったETF投資を始めるなら、マネックス証券がおすすめです。
マネックス証券は、新NISAの取引手数料が完全無料となっており、成長投資枠を使って世界株ETFや米国株ETFを手数料無料で長期・積立・分散投資できます。
マネックスカードでクレカ投信積立すると還元率1.1%となっており、つみたて投資枠で世界株投信や米国株投信に投資するとAmazonギフト券やdポイントと交換できるマネックスポイントが貯まります。
また、マネックス証券のiDeCoは、NASDAQ100指数「iFreeNEXT NASDAQ100 インデックス」、米国株投信「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、世界株投信「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と揃っているため、新NISAとiDeCoを同時に始めたい場合には特におすすめです。
マネックス証券のETF投資について、より詳しく知りたい場合には下記記事も参照してみてください。