「5大総合証券(野村證券、大和証券、みずほ証券、SMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券)でETF投資できる?」「総合証券でETF投資するメリット・デメリットって?」など、総合証券のETF投資について疑問に思っていませんか?
東証ETFは、日本株と同様に東証に上場しているため、総合証券であってもETF投資をすることができます。
ただ、総合証券は、ネット証券に比べて手数料が高く、チャートやアプリもやや使いにくいなど、当サイトではおすすめはできません。
この記事では、5大総合証券(野村證券、大和証券、みずほ証券、SMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券)のETF手数料や、ETF投資するメリット・デメリットについて解説しています。
なお、ネット証券でのETF投資については、下記記事を参照ください。
5大総合証券でも新NISAを使ったETF投資はできる!
野村證券、大和証券、みずほ証券、SMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の5社は「大手証券」や「5大総合証券」と呼ばれます。
SBI証券や楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券といったネット証券に比べて、総合証券は電話対応や投資相談といった個人投資家へのサポートが充実しています。
ただ、総合証券は取引手数料が高いため、PCやスマホを使って取引する場合には、ネット証券の方がおすすめです。
当サイトでも、ネット証券を使って、新NISAによるETF投資をおすすめしています。
5大総合証券のETF投資の手数料比較
5大総合証券について、東証ETFの売買手数料(現物取引手数料)と新NISA(成長投資枠)の取引手数料を見てみましょう(2024年2月26日時点)。
なお、売買手数料は、現物取引で30万円の手数料を示しています(いずれもオンライン取引の手数料です)。
5大総合証券 | 売買手数料(30万円) | 新NISA取引手数料 |
野村證券 | 330円 | 330円 |
大和証券 | 2,090円 | 2,090円 |
みずほ証券 | 1,045円 | 1,045円 |
SMBC日興証券 | 275円 | 275円 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 2,145円 | 2,145円 |
(参考) SBI証券、楽天証券 | 0円 | 0円 |
※野村證券の売買手数料は野村證券「手数料・その他費用」、新NISA手数料は野村證券「NISA(新NISA)~少額投資非課税制度」を参照。
※大和証券の売買手数料は大和証券「手数料」、新NISA手数料は大和証券「NISA」を参照。
※みずほ証券の売買手数料はみずほ証券「ダイレクトコース 手数料」、新NISA手数料はみずほ証券「みずほ証券でNISA」を参照。
※SMBC日興証券の売買手数料はSMBC日興証券「国内株式手数料」、新NISA手数料はSMBC日興証券「NISA(2024年以降)」を参照。
※三菱UFJモルガン・スタンレー証券の売買手数料は三菱UFJモルガン・スタンレー証券「国内株式等売買委託手数料」、新NISA手数料は三菱UFJモルガン・スタンレー証券「新しいNISA」を参照。
5大総合証券の取引手数料はネット証券に比べると高くなっており、新NISA手数料も0円にはなりません(2024年1~3月には新NISAキャンペーンを実施している総合証券も多いですが、あくまで期間限定です)。
少なくとも、手数料という観点においては、5大総合証券でのETF投資はおすすめできません。
5大総合証券でETF投資するメリット
5大総合証券(野村證券、大和証券、みずほ証券、SMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券)でETF投資するメリットについて見ていきましょう。
IPO投資のついでにできる
5大総合証券でETF投資するメリットとしては、IPO投資のついでにできるということしか思い浮かびません。
そもともIPO投資とは、東証グロース市場や東証スタンダード市場に上場する新規上場銘柄(IPO銘柄)の公募に応募して、公募価格で取得してから、上場と同時に初値で売り抜けるというものです。
東証グロース市場・東証スタンダード市場のIPO投資は期待値が非常に高く、公募価格の数倍以上の初値を付けるケースも少なくありません。
2023年のIPO投資の勝率や期待値は次の通りです。
市場 | 上場銘柄数 | 勝率 | 期待値 |
東証プライム市場 | 2銘柄 | 100.00% | +23.79% |
東証スタンダード市場 | 23銘柄 | 69.57% | +28.45% |
東証グロース市場 | 66銘柄 | 71.21% | +81.30% |
合計 | 91銘柄 | 71.43% | +66.68% |
単純に数値だけ見ると、IPO投資は最強の投資のように思えてしまいますが、問題なのは、まず公募に当たらないということです。
そもそも、IPO投資で数値通りの結果が出るなら、誰しもが東証グロース市場でIPO投資するだけで、貧困がなくなってしまいます(当然、そのようなフリーランチは落ちていません)。
また、IPO公募に当たらなかった場合にセカンダリー投資するにしても、IPO銘柄の大半は上場時に高値を付けて、以降は暴落していく「IPOゴール」となるケースがほとんどです。
IPO公募に当たりやすくなる条件としては、IPOの主幹事証券となる証券会社から応募すると、割り当てが多いため当たりやすいと言われています。
IPOの主幹事証券は、ネット証券よりも5大総合証券の方が多くなっています(SBI証券だけは例外)。
ここで、2020年から2023年までのIPO主幹事証券の実績を見てみましょう。
証券会社 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
野村證券 | 22銘柄(1位) | 28銘柄(2位) | 11銘柄(5位) | 19銘柄(4位) |
大和証券 | 15銘柄(4位) | 16銘柄(5位) | 17銘柄(3位) | 22銘柄(1位) |
みずほ証券 | 21銘柄(2位) | 33銘柄(1位) | 19銘柄(2位) | 22銘柄(1位) |
SMBC日興証券 | 16銘柄(3位) | 26銘柄(3位) | 24銘柄(1位) | 19銘柄(4位) |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 2銘柄(7位) | 5銘柄(6位) | 4銘柄(6位) | 9銘柄(6位) |
SBI証券 | 15銘柄(4位) | 21銘柄(4位) | 13銘柄(4位) | 21銘柄(3位) |
IPOの主幹事証券は、5大総合証券とSBI証券の6社で大半を占めている状況です。
5大総合証券に資金を多く入金し、新NISA口座を開設してあれば、IPOが当たりやすくなるという噂もあるため、IPO投資をする場合には、5大総合証券を使ってついでにETF投資をするのもよいかもしれません。
ただ、総合証券がIPOで優遇するような大口投資家となれば、新NISAを使ったETF投資などはそもそもやる必要がないのではないかと……。
5大総合証券でETF投資するデメリット
5大総合証券(野村證券、大和証券、みずほ証券、SMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券)でETF投資するデメリットについて見ていきましょう。
取引手数料が高い
再三になりますが、5大総合証券はネット証券に比べると取引手数料が高いため、ETF投資にはおすすめできません。
なお、主要ネット証券の取引手数料は次の通りです。
ネット証券 | 売買手数料(30万円) | 新NISA取引手数料 |
SBI証券 | 0円 | 0円 |
楽天証券 | 0円 | 0円 |
マネックス証券 | 275円 | 0円 |
auカブコム証券 | 0円 ※1日定額手数料 | 0円 |
松井証券 | 0円 ※ボックスレート | 0円 |
SBIネオトレード証券 | 0円 ※定額プラン | 0円 ※通常手数料と同じ |
岡三オンライン証券 | 0円 ※定額プラン | 0円 ※通常手数料と同じ |
GMOクリック証券 | 0円 ※1日定額プラン | 0円 |
DMM株 | 198円 | 198円 ※通常手数料と同じ |
※SBI証券の売買手数料はSBI証券「手数料」、新NISA手数料はSBI証券「新しいNISAにおける取引手数料」を参照。
※楽天証券の売買手数料は楽天証券「手数料」、新NISA手数料は楽天証券「日米株式の取引手数料が無料」を参照。
※マネックス証券の売買手数料はマネックス証券「手数料」、新NISA手数料はマネックス証券「マネックス証券の手数料・費用」を参照。
※auカブコム証券の売買手数料はauカブコム証券「手数料」、新NISA手数料はauカブコム証券「NISA(少額投資非課税制度)」を参照。
※松井証券の売買手数料は松井証券「手数料」、新NISA手数料は松井証券「新NISA 手数料」を参照。
※SBIネオトレード証券の売買手数料はSBIネオトレード証券「手数料一覧」、新NISA手数料はSBIネオトレード証券「NISA」を参照。
※岡三オンライン証券の売買手数料は岡三オンライン証券「手数料」、新NISA手数料は岡三オンライン証券「新しいNISAの概要」を参照。
※GMOクリック証券の売買手数料はGMOクリック証券「手数料」、新NISA手数料はGMOクリック証券「NISA 取引ルール」を参照。
※DMM株の売買手数料はDMM株「株式取引の手数料」、新NISA手数料はDMM株「NISAの取引ルール」を参照。
チャートソフトやアプリが充実していない
ネット証券に比べると、5大総合証券はチャートソフトが充実していないと言わざるを得ません。
ネット証券は、顧客が多く、チャートソフトやアプリへの需要も高いため、必然的にチャートソフトやアプリのノウハウも積み上がります。
5大総合証券は、ネットリテラシーがあまり高くない一方で多額の金融資産を持つ高齢者が主要顧客です。
いずれにしても、ETFのおすすめ銘柄を自分で情報収集できて、自分でネットから注文できる程度のリテラシーがあるなら、5大総合証券を使う理由はありません。
それでも5大総合証券でインデックス投資したいなら
それでも、どうにかして5大総合証券でインデックス投資をしたいなら、ETFではなく、新NISAのつみたて投資枠でインデックス投信を積み立てする方がいいかもしれません。
具体的には、次の2銘柄がおすすめです。
- 世界株投信:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- 米国株投信(S&P500指数):eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
証券会社 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) |
野村證券 | ○ | ○ |
大和証券 | × | iFree S&P500インデックス |
みずほ証券 | たわらノーロード 全世界株式 | たわらノーロード S&P500 |
SMBC日興証券 | ○ | ○ |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | ○ | ○ |
大和証券のつみたて投資枠ではeMAXIS Slimシリーズを取り扱っていませんが、S&P500指数は「iFree S&P500インデックス」で代用でき、さらにNASDAQ100指数に連動する「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」を取り扱っていることは大きな利点です。
みずほ証券のつみたて投資枠ではeMAXIS Slimシリーズを取り扱っていませんが、たわらノーロードシリーズで問題なく代用可能です。
とはいえ、同様の投資をするにしてもネット証券では手数料が掛からない一方で、総合証券では手数料が発生するため、おすすめできない点には変わりありません。
まとめ
この記事では、5大総合証券(野村證券、大和証券、みずほ証券、SMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券)のETF手数料や、ETF投資するメリット・デメリットについて解説してきました。
結論から言うと、ETF投資をする上では、総合証券は手数料が発生するためおすすめできません。
ETFのおすすめ銘柄を自分で情報収集できて、自分でネットから注文できる程度のリテラシーがあるなら、5大総合証券を使う理由はありません。