「下落相場で上昇するインバース型ETFに興味があるけど、どの銘柄を選べばいいんだろう?」と思っていませんか?
相場の下落局面で上昇するインバース型ETFは、2018年10~12月の米中貿易摩擦による暴落や、2020年2~3月の新型コロナウイルスによる暴落などの局面で利益を出すことに向いています。
ただ、インバース型ETFは、長期の成長で資産形成をするという投資の原則に逆行する銘柄であるため、長期投資には全く向いていないことには注意が必要です。
今回は、TOPIX・日経平均・JPX日経インデックス400にそれぞれ連動するインバース型ETF全8銘柄の違いについて徹底解説していきます。また、恐怖指数こと「VIX短期先物指数」に連動するETF全1銘柄についても解説しています。
- インバース指数に連動するインバース型ETFとは?
- インバース指数に連動するインバース型ETFの注目ポイント
- TOPIXに連動するインバース型ETF全2銘柄について徹底解説!
- TOPIXに連動するインバース型ETF比較一覧表
- 日経平均株価に連動するインバース型ETF全3銘柄について徹底解説!
- 日経平均株価に連動するインバース型ETF比較一覧表
- JPX日経インデックス400に連動するインバース型ETF全3銘柄について徹底解説!
- JPX日経インデックス400に連動するインバース型ETF比較一覧表
- VIX短期先物指数(S&P500指数)に連動するインバース型ETF全1銘柄について徹底解説!
- VIX短期先物指数に連動するETF比較一覧表
- 結論:インバース型ETFでおすすめはこの銘柄!
- ETF投資を始めるならマネックス証券がおすすめ!
インバース指数に連動するインバース型ETFとは?
今回は、市場の値下がりで上昇するインバース型ETFについて見ていきます。
インバース型ETFとは、日経平均株価やTOPIX、JPX日経インデックス400といった代表的な指数の変動率に対して逆(-1倍)の値動きをするインバース指数に連動するETFです。
具体的には、TOPIXのインバース指数「TOPIXインバース(-1倍)指数」、日経平均株価のインバース指数「日経平均インバース・インデックス」、JPX日経インデックス400のインバース指数「JPX日経400インバース・インデックス」の3つが挙げられます。
インバース型ETFは、相場の下落局面において、デイトレードやスイングトレードといった短期投資に適するETFとなっています。
一方、インバース型ETFには分配金は出ず、信託報酬も高めです。また、ETFによるインデックス投資は市場全体の長期的な成長を享受できることがメリットですが、インバース型ETFではこのメリットを逆に受けてしまうため長期投資には全く向きません。
インバース型ETFは、相場の下落局面という限定した状況において短期投資を行うことに特化したETFであると認識しておきましょう。
なお、インバース型ETFは正確には「指数の前営業日の逆(-1)倍の値動き」となるように設定されています。このため、2営業日以上離れた日と比較すると、-1倍前後にぶれてくるため完全な逆の値動きにはならないことに注意が必要です。
なお、インバース指数の2倍の値動きに連動するダブルインバース型ETFについては、こちらの記事を参照ください。
また、中国株ETFのインバース型ETFである【1573】中国H株ベア上場投信については、こちらの記事を参照してください(結論から言うと、流動性がなくおすすめできる銘柄ではありません)。
インバース指数に連動するインバース型ETFの注目ポイント
インバース型ETFの注目ポイントを抑えておきましょう。
※信託報酬・分配金については、日本取引所のETF一覧ページにあるパンフレットの情報を参照しています。また、月足チャート画像や値動きについては、マネックス証券の「マーケットライダープレミアム」で当該銘柄を参照したデータを記載しています。
・手数料である「信託報酬」を要チェック!
ETFの手数料には、証券会社で購入する際の売買手数料と、運用会社に支払う信託報酬の2つがあります。ETFの銘柄選びで重要なのは信託報酬です。信託報酬は年率で示され、1日ごとに引かれていきます。
信託報酬は1日ごとに引かれていくため、短期投資をする上でも重要になってきます。
・インバース型ETFには分配金は出ない
残念ながら、インバース型ETFでは分配金は出ません。
・「直近3年間の値動き」はどうなっていたか?
値動きのリスク・リターンをはかる上では、「直近3年間の値動き」をチェックしておきましょう。
※今回は、2017年3月1日始値から2020年3月5日終値までの値動き率について記載しています。
ただ、インバース指数に連動するETFはどれも基本的には同じ値動きとなるため、この点はほとんど誤差のようなものであると認識して構いません。同じ指数に連動するETF同士の比較においては、重要なポイントではありません。
直近3年間の値動きを見ると、インバース型ETFに長期投資することがいかにリスクのある行為なのかが分かるかと思います。
人口減少や労働力不足など、2020年以降の日本経済には多くの懸念材料がありますが、だからといってインバース型ETFに長期投資することはおすすめできません。
・「必要投資金額」はいくらか?
そのETFに投資する際の「必要投資金額」についても抑えておきましょう。
ETFは銘柄ごとに単元口数が異なっており、インバース型ETFも銘柄によって1口~10口となっています。
・ETFで短期投資する際に一番重要なのは流動性!
ETFでデイトレードやスイングトレードなどの短期投資をする上で最も重要になってくるのは「流動性」です。具体的には、1日の売買代金で見ることができます。
流動性が低い銘柄の板は次のようになっています。
※画像は2020年3月5日終値時点の【1471】NEXT FUNDS JPX日経400インバース・インデックス連動型上場投信の板情報。
この板の状態では現在価格が4,850円にも関わらず、売り板が薄くなっているため5,020円でないと買うことができません。このように流動性が低い銘柄では、取引リスクが大きく、短期投資で利益を出すことは非常に難しくなっています。
一方、流動性の高い銘柄の板は次のようになっています。
※画像は2020年3月5日終値時点の【1571】NEXT FUNDS 日経平均インバース・インデックス連動型上場投信の板情報。
買い板も売り板もびっしりと注文が埋まっており、いつでもこの価格で取引することが可能です。短期投資を行うには、このように流動性が高く板の厚い銘柄を選ぶことが絶対条件です。具体的には、1日の売買代金が10億円以上あることを目安としておきましょう。
TOPIXに連動するインバース型ETF全2銘柄について徹底解説!
TOPIXは、東証一部に上場している全2,163銘柄(2020年3月5日時点)の時価総額から算出される日本株を代表する株価指数です。
TOPIXのインバース型指数である「TOPIXインバース(-1倍)指数」は、TOPIXの前日変動率の-1倍となるように計算された指数となっています。
TOPIXに連動するインバース型ETF全2銘柄について詳しく見ていきましょう。
【1569】TOPIXベア上場投信
信託報酬(税込) | 0.825% |
分配金 | 0円(年1回) |
分配金利回り | 0% |
直近3年間の値動き | -14.34%(3,765円→3,225円) |
必要投資金額 | 32,250円(10口) |
【1569】TOPIXベア上場投信は、シンプレクス・アセット・マネジメントが運用する、「TOPIXインバース(-1倍)指数」に連動するインバース型ETFです。
TOPIXに連動するインバース型ETFでは最も流動性が高くなっているものの、短期投資が安全にできるほど十分な流動性ではありません。
【1457】ダイワ上場投信-TOPIXインバース(-1倍)指数
信託報酬(税込) | 0.825% |
分配金 | 0円(年1回) |
分配金利回り | 0% |
直近3年間の値動き | -14.39%(8,960円→7,670円) |
必要投資金額 | 7,670円(1口) |
【1457】ダイワ上場投信-TOPIXインバース(-1倍)指数は、大和証券投資信託委託が運用する、「TOPIXインバース(-1倍)指数」に連動するインバース型ETFです。
長期投資に向かないのはもちろん、流動性がほとんどなく短期投資するにもおすすめできません。
TOPIXに連動するインバース型ETF比較一覧表
TOPIXインバースETF | メリット | デメリット | 信託報酬(税込) | 分配金利回り | 直近3年間の値動き | 必要投資金額 |
【1569】TOPIXベア上場投信 | 特になし | 流動性がやや低い、長期投資には向いていない | 0.825% | 0% | -14.34% | 32,250円 |
【1457】ダイワ上場投信-TOPIXインバース(-1倍)指数 | 特になし | 流動性が低い、長期投資には向いていない | 0.825% | 0% | -14.39% | 7,670円 |
日経平均株価に連動するインバース型ETF全3銘柄について徹底解説!
日経平均株価は、東証一部に上場している代表的な225銘柄の株価の単純平均で算出される株価指数です。TOPIXに比べて値動き率が大きくなっていることが特徴の一つです。
日経平均株価のインバース型指数である「日経平均インバース・インデックス」は、日経平均株価の前日変動率の-1倍となるように計算された指数となっています。
日経平均株価に連動するインバース型ETF全3銘柄について詳しく見ていきましょう。
【1571】NEXT FUNDS 日経平均インバース・インデックス連動型上場投信
信託報酬(税込) | 0.88% |
分配金 | 0円(年1回) |
分配金利回り | 0% |
直近3年間の値動き | -23.92%(2,031円→1,545円) |
必要投資金額 | 1,545円(1口) |
【1571】NEXT FUNDS 日経平均インバース・インデックス連動型上場投信は、野村アセットマネジメントが運用する、「日経平均インバース・インデックス」に連動するインバース型ETFです。
日経平均に連動するインバース型ETFの中では最も流動性が高くなっています。ただ、それでも、短期投資をかろうじてできる程度です。
今回紹介する日本株指数に連動するインバース型ETFの中では唯一おすすめできる銘柄です。
【1580】日経平均ベア上場投信
信託報酬(税込) | 0.825% |
分配金 | 0円(年1回) |
分配金利回り | 0% |
直近3年間の値動き | -24.22%(5,450円→4,130円) |
必要投資金額 | 41,300円(10口) |
【1580】日経平均ベア上場投信は、シンプレクス・アセット・マネジメントが運用する、「日経平均インバース・インデックス」に連動するインバース型ETFです。
日経平均に連動するインバース型ETFの中では、信託報酬はやや低めになっていますが、流動性が低く、短期投資するのには不十分です。
【1456】ダイワ上場投信-日経平均インバース・インデックス
信託報酬(税込) | 0.825% |
分配金 | 0円(年1回) |
分配金利回り | 0% |
直近3年間の値動き | -24.29%(8,810円→6,670円) |
必要投資金額 | 6,670円(1口) |
【1456】ダイワ上場投信-日経平均インバース・インデックスは、大和証券投資信託委託が運用する、「日経平均インバース・インデックス」に連動するインバース型ETFです。
流動性が全くなく、短期投資に向いていません。下手に手を出さないようにしましょう。
日経平均株価に連動するインバース型ETF比較一覧表
日経平均インバースETF | メリット | デメリット | 信託報酬(税込) | 分配金利回り | 直近3年間の値動き | 必要投資金額 |
【1571】NEXT FUNDS 日経平均インバース・インデックス連動型上場投信 | 流動性がある | 長期投資には向いていない | 0.88% | 0% | -23.92% | 1,545円 |
【1580】日経平均ベア上場投信 | 特になし | 流動性が低い、長期投資には向いていない | 0.825% | 0% | -24.22% | 41,300円 |
【1456】ダイワ上場投信-日経平均インバース・インデックス | 特になし | 流動性が低い、長期投資には向いていない | 0.825% | 0% | -24.29% | 6,670円 |
JPX日経インデックス400に連動するインバース型ETF全3銘柄について徹底解説!
JPX日経インデックス400は、東京証券取引所に上場している全銘柄(新興市場含む)の中から、企業の資本効率を示す自己資本利益率(ROE)、営業利益、時価総額の3つの指標を評点として、投資家に魅力のある400銘柄で構成された株価指数です。TOPIXと同程度の値動き率となっています。
JPX日経インデックス400のインバース型指数である「JPX日経400インバース・インデックス」は、JPX日経インデックス400の前日変動率の-1倍となるように計算された指数となっています。
JPX日経インデックス400に連動するインバース型ETF全3銘柄について詳しく見ていきましょう。
【1465】ダイワ上場投信-JPX日経400インバース・インデックス
信託報酬(税込) | 0.825% |
分配金 | 0円(年1回) |
分配金利回り | 0% |
直近3年間の値動き | -14.70%(8,770円→7,480円) |
必要投資金額 | 7,480円(1口) |
【1465】ダイワ上場投信-JPX日経400インバース・インデックスは、大和証券投資信託委託が運用する、「JPX日経400インバース・インデックス」に連動するインバース型ETFです。
JPX日経400に連動するインバース型ETFの中では最も流動性が高いものの、短期投資に十分なほどの流動性ではありません。
【1468】JPX日経400ベア上場投信(インバース)
信託報酬(税込) | 0.825% |
分配金 | 0円(年1回) |
分配金利回り | 0% |
直近3年間の値動き | -14.90%(8,590円→7,310円) |
必要投資金額 | 73,100円(10口) |
【1468】JPX日経400ベア上場投信(インバース)は、シンプレクス・アセット・マネジメントが運用する、「JPX日経400インバース・インデックス」に連動するインバース型ETFです。
流動性が全くなく、短期投資をするにしても問題外の銘柄です。
【1471】NEXT FUNDS JPX日経400インバース・インデックス連動型上場投信
信託報酬(税込) | 0.88% |
分配金 | 0円(年1回) |
分配金利回り | 0% |
直近3年間の値動き | -15.06%(5,710円→4,850円) |
必要投資金額 | 4,850円(1口) |
【1471】NEXT FUNDS JPX日経400インバース・インデックス連動型上場投信は、野村アセットマネジメントが運用する、「JPX日経400インバース・インデックス」に連動するインバース型ETFです。
流動性がほとんどなく、短期投資にも向いていません。
JPX日経インデックス400に連動するインバース型ETF比較一覧表
JPX日経インデックス400インバースETF | メリット | デメリット | 信託報酬(税込) | 分配金利回り | 直近3年間の値動き | 必要投資金額 |
【1465】ダイワ上場投信-JPX日経400インバース・インデックス | 特になし | 流動性が低い、長期投資には向いていない | 0.825% | 0% | -14.70% | 7,480円 |
【1468】JPX日経400ベア上場投信(インバース) | 特になし | 流動性が全くない、長期投資には向いていない | 0.825% | 0% | -14.90% | 73,100円 |
【1471】NEXT FUNDS JPX日経400インバース・インデックス連動型上場投信 | 特になし | 流動性がほとんどない、長期投資には向いていない | 0.88% | 0% | -15.06% | 4,850円 |
VIX短期先物指数(S&P500指数)に連動するインバース型ETF全1銘柄について徹底解説!
VIX短期先物指数は、米国市場を代表する「S&P500指数」の逆相関指数となっており、「恐怖指数」とも呼ばれています。新型コロナウイルスによる世界株安でも話題になりました。
VIX短期先物指数(S&P500指数)に連動するインバース型ETF全1銘柄について見ていきましょう。
【1552】国際のETF VIX短期先物指数
信託報酬(税込) | 0.396% |
分配金 | 0円(年1回) |
分配金利回り | 0% |
直近3年間の値動き | -47.04%(26,400円→13,980円) |
必要投資金額 | 13,980円(1口) |
【1552】国際のETF VIX短期先物指数は、三菱UFJ国際投信が運用する、「S&P500 VIX短期先物指数」の円換算値に連動するインバース型ETFです。
長期投資に向かないのは言うまでもありませんが、世界株安になると流動性が急増することから、相場の下落局面での短期投資においては最高のETFです。
VIX短期先物指数に連動するETF比較一覧表
VIX短期先物指数連動ETF | メリット | デメリット | 信託報酬(税込) | 分配金利回り | 直近3年間の値動き | 必要投資金額 |
【1552】国際のETF VIX短期先物指数 | 相場の下落局面での短期投資に最適 | 長期投資には向いていない | 0.396% | 0% | -47.04% | 13,980円 |
結論:インバース型ETFでおすすめはこの銘柄!
最後に、インバース型ETFでおすすめの銘柄についてまとめていきましょう。
インバース型ETFは信託報酬が高く、それでいて分配金は全く出なくなっています。株価上昇で下落するため、長期の成長を享受するという長期投資のメリットに逆行し、長期投資には全く向かないETFです。
インバース型ETFは、相場の下落局面でデイトレードやスイングトレードといった短期投資をすることに向いていますが、短期投資をするには少しでも取引リスクを小さくするために、流動性(売買代金)が高いことが重要になってきます。
TOPIXに連動するインバース型ETFは、いずれの銘柄も流動性が低く、短期投資にも向いていません。
日経平均株価に連動するインバース型ETFとしては、【1571】NEXT FUNDS 日経平均インバース・インデックス連動型上場投信だけは流動性が及第点であり、短期投資しても問題ありません。
JPX日経インデックス400に連動するインバース型ETFは、どれも流動性がほとんどなく問題外です。
今回紹介してきた日本株のインバース型ETFで短期投資をしてもよいのは、【1571】NEXT FUNDS 日経平均インバース・インデックス連動型上場投信だけです。これ以外の銘柄は流動性が低く、常に取引リスクを抱えることになってしまいます。
なお当サイトでは、日本株の下落局面で短期投資をするには、信託報酬が低く、流動性が十分にあるダブルインバース型ETFの【1459】楽天ETF-日経ダブルインバース指数連動型をおすすめしています。
世界株安の局面においては、【1552】国際のETF VIX短期先物指数がおすすめです。
同ETFは、世界株安になると流動性が急増するため、相場の下落局面での短期投資においては最高の銘柄です。今回紹介してきたインバース型ETFとしては、こちらの銘柄だけ抑えておけば問題ありません。
ETF投資を始めるならマネックス証券がおすすめ!
新NISAを使ったETF投資を始めるなら、マネックス証券がおすすめです。
マネックス証券は、新NISAの取引手数料が完全無料となっており、成長投資枠を使って世界株ETFや米国株ETFを手数料無料で長期・積立・分散投資できます。
マネックスカードでクレカ投信積立すると還元率1.1%となっており、つみたて投資枠で世界株投信や米国株投信に投資するとAmazonギフト券やdポイントと交換できるマネックスポイントが貯まります。
また、マネックス証券のiDeCoは、NASDAQ100指数「iFreeNEXT NASDAQ100 インデックス」、米国株投信「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、世界株投信「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と揃っているため、新NISAとiDeCoを同時に始めたい場合には特におすすめです。
マネックス証券のETF投資について、より詳しく知りたい場合には下記記事も参照してみてください。