ETFはインサイダー取引規制に掛かる?特定銘柄の構成比率が高いETFを紹介!

「ETFはインサイダー取引になるの?」「そもそもインサイダー取引って何?」「ETFがインサイダー取引規制に掛からないなら……」など、疑問に思っていませんか?

日本取引所では、インサイダー取引を厳しく取り締まっており、バイオベンチャーのテラでは多くの逮捕者が出る事態となりました。

ただ、日本取引所や金融庁は、ETFについてはインサイダー取引規制の対象外になるという見解を発表しています。

この記事では、インサイダー取引について解説した上で、インサイダー取引規制に掛からない特定銘柄の構成比率が高い東証ETFについて紹介していきます。

 

  1. インサイダー取引とは?
  2. ETFはインサイダー取引の対象になる?
    1. ETF・投資信託はインサイダー取引規制の対象外
    2. 金融庁もETFはインサイダー取引規制の対象外としている
  3. ETFはインサイダー取引規制の対象外だが注意が必要
  4. 米国では「シャドー取引」が横行している
  5. 特定銘柄の構成比率が高い東証ETF特集!
    1. 特定の新興銘柄が高い!【1563】東証グロース・コアETF
    2. JT・味の素・アサヒグループが高い!【1617】NEXT FUNDS 食品(TOPIX-17)上場投信
    3. ENEOS・INPEXが30%超え!【1618】NEXT FUNDS エネルギー資源(TOPIX-17)上場投信
    4. 信越化学工業が高い!【1620】NEXT FUNDS 素材・化学(TOPIX-17)上場投信
    5. 武田薬品工業・第一三共が20%超え!【1621】NEXT FUNDS 医薬品(TOPIX-17)上場投信
    6. トヨタ自動車が40%超え!【1622】NEXT FUNDS 自動車・輸送機(TOPIX-17)上場投信
    7. 日本製鉄が20%超え!【1623】NEXT FUNDS 鉄鋼・非鉄(TOPIX-17)上場投信
    8. ダイキン工業・SMC・コマツが高い!【1624】NEXT FUNDS 機械(TOPIX-17)上場投信
    9. ソニーグループ・キーエンスが高い!【1625】NEXT FUNDS 電機・精密(TOPIX-17)上場投信
    10. NTTが高い!【1626】NEXT FUNDS 情報通信・サービスその他(TOPIX-17)上場投信
    11. 電力・ガス企業が高い!【1627】NEXT FUNDS 電力・ガス(TOPIX-17)上場投信
    12. JR東海・JR東日本が高い!【1628】NEXT FUNDS 運輸・物流(TOPIX-17)上場投信
    13. 三菱商事・三井物産・伊藤忠商事が高い!【1629】NEXT FUNDS 商社・卸売(TOPIX-17)上場投信
    14. 7&iHD、ファーストリテイリングが高い!【1630】NEXT FUNDS 小売(TOPIX-17)上場投信
    15. 三菱UFJが30%、三井住友が20%超え!【1631】NEXT FUNDS 銀行(TOPIX-17)上場投信
    16. 東京海上が20%超え!【1632】NEXT FUNDS 金融(除く銀行)(TOPIX-17)上場投信
    17. 三井不動産が20%超え!【1633】NEXT FUNDS 不動産(TOPIX-17)上場投信
    18. ゲーム株が高い!【2640】グローバルX ゲーム&アニメ-日本株式ETF
    19. 半導体株が高い!【2644】グローバルX 半導体関連-日本株式 ETF
    20. リクルート、OLCが高い!【2645】グローバルX レジャー&エンターテインメント-日本株式 ETF
    21. 住友商事、ミネベアミツミ、神戸製鋼所が高い!【2646】グローバルX メタルビジネス-日本株式 ETF
    22. 野村総合研究所が高い!【2836】グローバルX フィンテック-日本株式 ETF
    23. NEC、豊田自動織機が高い!【2847】グローバルX 新成長インフラ-日本株式 ETF
    24. 東京エレクトロンが高い!【2854】グローバルX テック・トップ20-日本株式 ETF
  6. そもそもインサイダー取引はそこまで儲からない
    1. インサイダー情報のマーケットの反応は分からない
    2. ETF上位銘柄に来るような大型株はニュースでほとんど動かない
    3. 業種別ETFは流動性が低いため大きな資金は入れにくい
  7. まとめ
  8. ETF投資を始めるならマネックス証券がおすすめ!

インサイダー取引とは?

日本取引所の「インサイダー取引」のページでは、インサイダー取引の概要について次のように記述されています。

「インサイダー取引とは、上場会社の関係者等が、その職務や地位により知り得た、投資者の投資判断に重大な影響を与える未公表の会社情報を利用して、自社株等を売買することで、自己の利益を図ろうとするものです。そうした情報を知らされていない一般の投資者は、不利な立場で取引を行うこととなり、証券市場の信頼性が損なわれかねないため、金融商品取引法で禁止されており、違反者には証券取引等監視委員会による刑事告発や課徴金納付命令の勧告が行われます。」

※出典:日本取引所「インサイダー取引」

日本取引所では、現物市場(東京証券取引所)やデリバティブ市場(大阪取引所)でインサイダー取引が行われていないか厳しくチェックしており、インサイダー取引と疑われる取引については全て証券取引等監視委員会に報告しているとのことです。

インサイダー取引の罰則は重く、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれらの併科となります。また、法人の代表者又は法人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人の計算でインサイダー取引規制に違反した場合には、その法人に対して5億円以下の罰金刑が科されます。

また当然ながら、インサイダー取引規制違反によって得た財産は原則として没収又は追徴されます。

近年では、新型コロナ相場で急騰したバイオベンチャー・テラのインサイダー取引で逮捕者が続出する事態となりました。

また、ゲーム大手スクエニのゲームクリエイターがFFやドラクエのスマホゲーム開発会社エイチームでインサイダー取引を行ったことも話題となり、追徴金約1億7100万円の有罪判決となっています。

インサイダー取引について、より詳しくは日本取引所のページを参照ください。

 

ETFはインサイダー取引の対象になる?

個別銘柄はインサイダー取引の対象となりますが、ETFは対象となるのでしょうか?

仮にETFがインサイダー取引の対象外だとしたら、例えばトヨタの役員が、情報を出す前にトヨタの構成比率が高いTOPIX連動型ETFを買う、同様にファーストリテイリングの役員が情報公開前に日経平均株価連動型ETFを買うといったアイデアが思い浮かんでしまいます。

ETFがインサイダー取引の対象となるかどうかについては、東証のインサイダー取引規制を見ていきましょう。

 

ETF・投資信託はインサイダー取引規制の対象外

日本取引所の「インサイダー取引」のページでは、「規制対象となる有価証券」のQ&Aにおいて、「ETF、株式投資信託の売買等は、それぞれインサイダー取引規制の対象となりますか。」の質問事例に対して、次のような回答となっています。

「ETF、株式投資信託は、原則として、インサイダー取引規制の対象である「特定有価証券等」ではありません。もっとも、ETF、株式投資信託であっても、例えばいわゆる自社株投信のような、信託財産を特定の上場会社等の特定有価証券のみに対する投資として運用する旨を信託約款に定めた投資信託の受益証券や、同様の旨を規約に定めた投資法人の発行する投資証券などは、「特定有価証券等」に該当するものとして、インサイダー取引規制の対象となることがあります。」

※出典:日本取引所「インサイダー取引」

つまり、日本取引所によると、ETF・投資信託はインサイダー取引規制の対象外とのことです。

 

金融庁もETFはインサイダー取引規制の対象外としている

続いて、金融庁の「インサイダー取引規制に関するQ&A」のページを見ていきましょう。
※参考:金融庁

こちらのページにある資料「インサイダー取引規制に関するQ&A」は、令和元年(2019)年7月29日に出されたものです。
※参考:金融庁「インサイダー取引規制に関するQ&A」

こちらの資料の基礎編(問2)にある「インサイダー取引規制の対象は株式のみですか。投資信託やETFもその対象に含まれますか。」という質問にしては、次のように記されています。

「インサイダー取引規制の対象は、主なものとして、上場会社についての株式・新株予約権証券・社債のほか、J-REIT・上場インフラファンドがあります。これに対し、ETFや一般に販売されている大部分の投資信託(ただし、いわゆる自社株投信のように、個別の上場会社の株式等のみを投資対象とする株式投資信託を除く。)は、インサイダー取引規制の対象ではありません。」

※参考:金融庁「インサイダー取引規制に関するQ&A」

金融庁の見解は日本取引所のものと全く同様となっています。

 

ETFはインサイダー取引規制の対象外だが注意が必要

日本取引所および金融庁は、ETF・投資信託はインサイダー取引規制の対象外という見解を発表しています。

これらの資料の前文を読む限りでは、インサイダー取引に触れることを恐れて投資を控える人が出ないことに配慮しているように思えます。

ただ、あらゆるETFがインサイダー取引規制の対象外というのは、管理人的には疑問符が付きます。

東証ETFには、特定銘柄の構成比率が高い業種別ETFがあるためです。

例えば、【1618】NEXT FUNDS エネルギー資源(TOPIX-17)上場投信は、【5020】ENEOSホールディングスの構成比率36.14%、【1605】INPEXの構成比率35.61%となっています。
※参考:日本取引所「【1618】NEXT FUNDS エネルギー資源(TOPIX-17)上場投信」

ENEOSやINPEXの役員の方が自社株を買うのはインサイダー取引になる一方で、構成比率が3割超えの【1618】を買うのはインサイダー取引にならないのでしょうか?

いくら日本取引所および金融庁が、ETF・投資信託はインサイダー取引規制の対象外という見解を発表しているとはいえ、このようなケースの場合には必ず会社に相談してから投資したほうが賢明です。

 

米国では「シャドー取引」が横行している

ETFや投信はインサイダー取引には触れないとなると、誰もが抜け道を考えるものです。

米国では、関連業界の株価上昇を見込んで競合他社の株式やETFを売買する「シャドー取引」と呼ばれる行為を行う、新手のインサイダー取引が横行しています。

ただ、米国の規制当局は規制強化に動き出しています。
※出典:日本経済新聞「新種のインサイダー「シャドー取引」、米ETFで横行」

 

特定銘柄の構成比率が高い東証ETF特集!

日本取引所および金融庁の見解では、特定銘柄の構成比率が高いETFであっても、インサイダー取引規制に掛かるという記述はどこにも見当たりません。

それでは、特定銘柄の構成比率が高い東証ETFについて見ていきましょう。
※今回は四捨五入して構成比率10%以上となる銘柄について記載しました。

ただ、再三になりますが、情報を持っている方がこれらの銘柄を手掛ける際には、必ず会社に相談するようにしましょう。

 

特定の新興銘柄が高い!【1563】東証グロース・コアETF

【1563】東証グロース・コアETFは、「東証グロース市場Core指数」に連動する日本株ETFです。

旧名は「マザーズ・コア上場投信」で「東証マザーズCore指数」に連動する銘柄でしたが、2022年4月の東証再編でマザーズ銘柄が東証グロース市場に再編されたことで名称変更となりました。

東証グロース市場Core指数は、東証グロース市場に上場する銘柄のうち、上場時価総額・流動性などから選定された20銘柄で構成される指数です。

【1563】東証グロース・コアETFについて、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【4480】メドレー 13.93%

※出典:日本取引所「【1563】東証グロース・コアETF」

なお、東証グロース銘柄は、東証プライム市場に昇格することもあるため、銘柄が頻繁に入れ替わりやすいことに注意が必要です。

場合によっては、特定銘柄の構成比率が非常に高くなることがあります。

当サイトで【1563】マザーズ・コア上場投信の個別記事を作成したときの構成比率上位は次のようになっていました(2021年8月31日時点)。
※参考:TRADE MASTER「【1563】マザーズ・コア上場投信」

銘柄名 構成比率
1 【3923】ラクス 50.68%
2 【2121】ミクシィ 20.59%
3 【4565】そーせいグループ 11.54%

なお、【3923】ラクスも【2121】ミクシィも、東証プライム市場に昇格しています。

 

JT・味の素・アサヒグループが高い!【1617】NEXT FUNDS 食品(TOPIX-17)上場投信

それでは、特定銘柄の構成比率が高い銘柄がゴロゴロしている業種別ETFを見ていきましょう。

【1617】NEXT FUNDS 食品(TOPIX-17)上場投信は、「TOPIX-17 食品指数」に連動する、食品セクターの銘柄で構成されるETFです。

【1617】NEXT FUNDS 食品(TOPIX-17)上場投信について、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【2914】日本たばこ産業(JT) 18.01%
2 【2802】味の素 12.00%
3 【2503】キリンホールディングス 11.18%

※出典:日本取引所「【1617】NEXT FUNDS 食品(TOPIX-17)上場投信」

東証を代表する高配当株としても知られる【2914】日本たばこ産業(JT)の構成比率が20%弱となっています。

 

ENEOS・INPEXが30%超え!【1618】NEXT FUNDS エネルギー資源(TOPIX-17)上場投信

【1618】NEXT FUNDS エネルギー資源(TOPIX-17)上場投信は、「TOPIX-17 エネルギー資源指数」に連動する、エネルギー・資源セクターの銘柄で構成されるETFです。

【1618】NEXT FUNDS エネルギー資源(TOPIX-17)上場投信について、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【5020】ENEOSホールディングス 36.14%
2 【1605】INPEX 35.61%
3 【5019】出光興産 13.81%

※出典:日本取引所「【1618】NEXT FUNDS エネルギー資源(TOPIX-17)上場投信」

上位3銘柄で構成比率約85%と、分散投資の観点からするとおすすめできないETFですが、石油元売り最大手の【5020】ENEOSホールディングス、資源開発最大手の【1605】INPEXはそれぞれ35%超えです。

 

信越化学工業が高い!【1620】NEXT FUNDS 素材・化学(TOPIX-17)上場投信

【1620】NEXT FUNDS 素材・化学(TOPIX-17)上場投信は、「TOPIX-17 素材・化学指数」に連動する、素材・化学セクターの銘柄で構成されるETFです。

【1620】NEXT FUNDS 素材・化学(TOPIX-17)上場投信について、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【4063】信越化学工業 18.32%

※出典:日本取引所「【1620】NEXT FUNDS 素材・化学(TOPIX-17)上場投信」

半導体材料のシリコンウエハーで世界トップシェアを誇る半導体株の一角【4063】信越化学工業が20%弱となっています。

 

武田薬品工業・第一三共が20%超え!【1621】NEXT FUNDS 医薬品(TOPIX-17)上場投信

【1621】NEXT FUNDS 医薬品(TOPIX-17)上場投信は、「TOPIX-17 医薬品指数」に連動する、医薬品セクターの銘柄で構成されるETFです。

【1621】NEXT FUNDS 医薬品(TOPIX-17)上場投信について、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【4502】武田薬品工業 23.70%
2 【4568】第一三共 23.44%
3 【4503】アステラス製薬 12.01%

※出典:日本取引所「【1621】NEXT FUNDS 医薬品(TOPIX-17)」

上位3銘柄で約60%と分散投資の観点ではデメリットがありますが、成長セクターとして悪くない銘柄です(ただ、高配当株の武田薬品工業とアステラス製薬が入っているにも関わらず分配金利回りが低くなっているため、個別株投資した方がよいと感じます)。

医薬品大手の【4502】武田薬品工業と【4568】第一三共がそれぞれ20%超となっています。

 

トヨタ自動車が40%超え!【1622】NEXT FUNDS 自動車・輸送機(TOPIX-17)上場投信

【1622】NEXT FUNDS 自動車・輸送機(TOPIX-17)上場投信は、「TOPIX-17 自動車・輸送機指数」に連動する、自動車・輸送機セクターの銘柄で構成されるETFです。

【1622】NEXT FUNDS 自動車・輸送機(TOPIX-17)上場投信について、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【7203】トヨタ自動車 44.48%
2 【7267】本田技研工業(ホンダ) 12.37%

※出典:日本取引所「【1622】NEXT FUNDS 自動車・輸送機(TOPIX-17)上場投信」

【7203】トヨタ自動車の構成比率が最も高いのは、TOPIX(3.87%)でもTOPIXCore30(10.08%)でもなく、こちらの銘柄です。

【7203】トヨタ自動車の構成比率が44%という圧倒的な数値となっています。

例えば、トヨタの全固体電池に関する情報を持っている場合には、トヨタの個別株ではなく、こちらの銘柄を買えばインサイダー取引規制にならないようです。

 

日本製鉄が20%超え!【1623】NEXT FUNDS 鉄鋼・非鉄(TOPIX-17)上場投信

【1623】NEXT FUNDS 鉄鋼・非鉄(TOPIX-17)上場投信は、「TOPIX-17 鉄鋼・非鉄指数」に連動する、鉄鋼セクターの銘柄で構成されるETFです。

【1623】NEXT FUNDS 鉄鋼・非鉄(TOPIX-17)上場投信について、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【5401】日本製鉄 27.71%
2 【5802】住友電気工業 12.50%
3 【5411】JFEホールディングス 11.29%
4 【5713】住友金属鉱山 11.07%

※出典:日本取引所「【1623】NEXT FUNDS 鉄鋼・非鉄(TOPIX-17)上場投信」

上位4銘柄で60%と、分散投資の観点ではデメリットがある銘柄ですが、鉄鋼最大手の【5401】日本製鉄が30%弱となっています。

【5401】日本製鉄は、コロナショック前に大赤字決算を出して暴落しましたが、この情報を持っていた方が、このETFを空売りしていたら、インサイダー取引規制に掛からなかったのでしょうか?

ちなみに、2020年2月の日本製鉄の赤字決算を受けて、このETFは大暴落し、コロナショックでは最も売られたETFとなり、分配金利回りが一時10%という驚異的な数値になっていました。

 

ダイキン工業・SMC・コマツが高い!【1624】NEXT FUNDS 機械(TOPIX-17)上場投信

【1624】NEXT FUNDS 機械(TOPIX-17)上場投信は、「TOPIX-17 機械指数」に連動する、機械セクターの銘柄で構成されるETFです。

【1624】NEXT FUNDS 機械(TOPIX-17)上場投信について、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【6367】ダイキン工業 19.49%
2 【6273】SMC 13.84%
3 【6301】小松製作所(コマツ) 10.10%

※出典:日本取引所「【1624】NEXT FUNDS 機械(TOPIX-17)上場投信」

世界的空調企業の【6367】ダイキン工業、FA空圧制御機器の【6273】SMC、建機最大手の【6301】小松製作所(コマツ)の構成比率が高くなっています。

表には記載していませんが、【7011】三菱重工業が構成比率6.53%で4位です。

【7011】三菱重工業は、2022年からの防衛費倍増議論で株価が3倍近くになっていますが、防衛費議論に携わる政府関係者が、こちらのETFを事前に買っていたとしてもインサイダー取引規制には掛からなかったようです。

 

ソニーグループ・キーエンスが高い!【1625】NEXT FUNDS 電機・精密(TOPIX-17)上場投信

【1625】NEXT FUNDS 電機・精密(TOPIX-17)上場投信は、「TOPIX-17 電機・精密指数」に連動する、電機・精密セクターの銘柄で構成されるETFです。

【1625】NEXT FUNDS 電機・精密(TOPIX-17)上場投信について、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【6758】ソニーグループ 13.40%
2 【6861】キーエンス 9.98%

※出典:日本取引所「【1625】NEXT FUNDS 電機・精密(TOPIX-17)上場投信」

こちらのETFは分散投資もしっかりされているため、業種別ETFの中では特におすすめの銘柄です。

AV機器やエンタメなどに強い【6758】ソニーグループと世界的センサー企業の【6861】キーエンスという東証を代表する時価総額上位の銘柄が並んでおり、3位は半導体製造装置大手の【8035】東京エレクトロン(6.39%)となっています。

 

NTTが高い!【1626】NEXT FUNDS 情報通信・サービスその他(TOPIX-17)上場投信

【1626】NEXT FUNDS 情報通信・サービスその他(TOPIX-17)上場投信は、「TOPIX-17 情報通信・サービスその他指数」に連動する、ITセクターの銘柄で構成されるETFです。

【1626】NEXT FUNDS 情報通信・サービスその他(TOPIX-17)上場投信について、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【9432】日本電信電話(NTT) 10.84%

※出典:日本取引所「【1626】NEXT FUNDS 情報通信・サービスその他(TOPIX-17)上場投信」

このETFも成長セクターで分散投資がしっかりされているため、業種別ETFの中では特におすすめの銘柄です。

【9432】日本電信電話(NTT)が10%超えとなっており、2位以下も【7974】任天堂(8.17%)、【6098】リクルートホールディングス(6.87%)、【9433】KDDI(6.84%)、【9984】ソフトバンクグループ(6.62%)と有力企業が並びます。

 

電力・ガス企業が高い!【1627】NEXT FUNDS 電力・ガス(TOPIX-17)上場投信

【1627】NEXT FUNDS 電力・ガス(TOPIX-17)上場投信は、「TOPIX-17 電力・ガス指数」に連動する、電力・ガスセクターの銘柄で構成されるETFです。

【1627】NEXT FUNDS 電力・ガス(TOPIX-17)上場投信について、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【9503】関西電力 16.70%
2 【9531】東京ガス 15.94%
3 【9502】中部電力 15.49%
4 【9501】東京電力ホールディングス 11.38%
5 【9532】大阪ガス 10.72%

※出典:日本取引所「【1627】NEXT FUNDS 電力・ガス(TOPIX-17)上場投信」

上位5銘柄が構成比率10%を超え、5銘柄合計で約60%となっており、分散投資の観点からはおすすめできません

原発再稼働は2022年以降に盛り上がっているテーマとなっており、【9503】関西電力や【9501】東京電力ホールディングスが大きく上がっていますが、原発再稼働に携わる政府関係者は、このETFならインサイダー取引規制に掛からなかったようです。

 

JR東海・JR東日本が高い!【1628】NEXT FUNDS 運輸・物流(TOPIX-17)上場投信

【1628】NEXT FUNDS 運輸・物流(TOPIX-17)上場投信は、「TOPIX-17 運輸・物流指数」に連動する、運輸・物流セクターの銘柄で構成されるETFです。

【1628】NEXT FUNDS 運輸・物流(TOPIX-17)上場投信について、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【9022】東海旅客鉄道(JR東海) 10.36%
2 【9020】東日本旅客鉄道(JR東日本) 10.01%

※出典:日本取引所「【1628】NEXT FUNDS 運輸・物流(TOPIX-17)上場投信」

【9022】JR東海、【9020】JR東日本の2銘柄が10%超えとなっています。

 

三菱商事・三井物産・伊藤忠商事が高い!【1629】NEXT FUNDS 商社・卸売(TOPIX-17)上場投信

【1629】NEXT FUNDS 商社・卸売(TOPIX-17)上場投信は、「TOPIX-17 商社・卸売指数」に連動する、商社・卸売セクターの銘柄で構成されるETFです。

【1629】NEXT FUNDS 商社・卸売(TOPIX-17)上場投信について、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【8058】三菱商事 19.95%
2 【8031】三井物産 18.14%
3 【8001】伊藤忠商事 16.56%

※出典:日本取引所「【1629】NEXT FUNDS 商社・卸売(TOPIX-17)上場投信」

【8058】三菱商事、【8031】三井物産、【8001】伊藤忠商事が15%を超えており、【8002】丸紅(8.99%)、【8053】住友商事(8.90%)と、バフェット氏も投資していることで知られる5大商社株で構成比率の70%超えです。

なお、このETFの分配金利回りは直近で0.82%となっており、これは配当金利回りが3%超えの5大商社株の配当金利回りを知っていれば、明らかにおかしいことが分かるかと思います。

5大商社株で構成比率の7割と分散投資の観点からもおすすめできず、また分配金をかすめ取っている疑惑が大きいETFであるため、この銘柄に投資するなら5大商社株に個別株投資することをおすすめします。

 

7&iHD、ファーストリテイリングが高い!【1630】NEXT FUNDS 小売(TOPIX-17)上場投信

【1630】NEXT FUNDS 小売(TOPIX-17)上場投信は、「TOPIX-17 小売指数」に連動する、小売セクターの銘柄で構成されるETFです。

【1630】NEXT FUNDS 小売(TOPIX-17)上場投信について、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【3382】セブン&アイ・ホールディングス 15.98%
2 【9983】ファーストリテイリング 12.27%

※出典:日本取引所「【1630】NEXT FUNDS 小売(TOPIX-17)上場投信」

セブンイレブンの【3382】セブン&アイ・ホールディングス、ユニクロの【9983】ファーストリテイリングが10%超えとなっています。

【9983】ファーストリテイリングの構成比率は、日経平均株価連動型ETF(11.25%)よりもわずかに高くなっています。

 

三菱UFJが30%、三井住友が20%超え!【1631】NEXT FUNDS 銀行(TOPIX-17)上場投信

【1631】NEXT FUNDS 銀行(TOPIX-17)上場投信は、「TOPIX-17 銀行指数」に連動する、銀行セクターの銘柄で構成されるETFです。

【1631】NEXT FUNDS 銀行(TOPIX-17)上場投信について、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【8306】三菱UFJフィナンシャル・グループ 32.85%
2 【8316】三井住友フィナンシャルグループ 22.16%
3 【8411】みずほフィナンシャルグループ 15.66%

※出典:日本取引所「【1631】NEXT FUNDS 銀行(TOPIX-17)上場投信」

【8306】三菱UFJフィナンシャル・グループ、【8316】三井住友フィナンシャルグループ、【8411】みずほフィナンシャルグループの3大メガバンクで構成比率の70%となっています。

なお、分散投資の観点からはおすすめできないため、ETF投資するより3大メガバンクに個別株投資した方がいいと思います。

 

東京海上が20%超え!【1632】NEXT FUNDS 金融(除く銀行)(TOPIX-17)上場投信

【1632】NEXT FUNDS 金融(除く銀行)(TOPIX-17)上場投信は、「TOPIX-17 指数」に連動する、銀行を除くその他金融セクターの銘柄で構成されるETFです。

【1632】NEXT FUNDS 金融(除く銀行)(TOPIX-17)上場投信について、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【8766】東京海上ホールディングス 23.89%
2 【8591】オリックス 12.49%
3 【8750】第一生命ホールディングス 9.75%

※出典:日本取引所「【1632】NEXT FUNDS 金融(除く銀行)(TOPIX-17)上場投信」

損保大手の【8766】東京海上ホールディングスは20%超えとなっており、総合リース大手の【8591】オリックス、生保大手の【8750】第一生命ホールディングスの上位3銘柄で構成比率の45%となっています。

 

三井不動産が20%超え!【1633】NEXT FUNDS 不動産(TOPIX-17)上場投信

【1633】NEXT FUNDS 不動産(TOPIX-17)上場投信は、「TOPIX-17 不動産指数」に連動する、不動産セクターの銘柄で構成されるETFです。

【1633】NEXT FUNDS 不動産(TOPIX-17)上場投信について、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【8801】三井不動産 20.37%
2 【8802】三菱地所 17.24%
3 【8830】住友不動産 10.69%

※出典:日本取引所「【1633】NEXT FUNDS 不動産(TOPIX-17)上場投信」

【8801】三井不動産が20%超えとなっており、【8802】三菱地所、【8830】住友不動産の上位3銘柄で約50%となっています。

 

ゲーム株が高い!【2640】グローバルX ゲーム&アニメ-日本株式ETF

【2640】グローバルX ゲーム&アニメ-日本株式ETFは、「Solactive Japan Games & Animation Index」に連動する、ゲーム・アニメセクターの銘柄で構成されるETFです。

「Solactive Japan Games & Animation Index」は、ゲーム産業およびアニメーション産業に関連する国内株20銘柄で構成される指標で、構成銘柄ウェイトの上限は10%となっています。

【2640】グローバルX ゲーム&アニメ-日本株式ETFについて、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【9697】カプコン 11.62%
2 【7974】任天堂 11.25%
3 【7832】バンダイナムコホールディングス 10.39%
4 【6758】ソニーグループ 9.83%

※出典:日本取引所「【2640】グローバルX ゲーム&アニメ-日本株式ETF」

大手ゲーム株の構成比率が上限の10%となっています。

 

半導体株が高い!【2644】グローバルX 半導体関連-日本株式 ETF

【2644】グローバルX 半導体関連-日本株式 ETFは、「FactSet Japan Semiconductor Index」に連動する、半導体セクターの銘柄で構成されるETFです。

「FactSet Japan Semiconductor Index」は、半導体産業に関連する国内上場株式最大40銘柄で構成される指標で、構成銘柄ウェイトの上限は10%となっています。

【2644】グローバルX 半導体関連-日本株式 ETFについて、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【6857】アドバンテスト 14.44%
2 【6723】ルネサスエレクトロニクス 14.26%
3 【6146】ディスコ 10.69%
4 【4063】信越化学工業 9.67%

※出典:日本取引所「【2644】グローバルX 半導体関連-日本株式 ETF」

半導体製造装置大手の【6857】アドバンテスト、【6146】ディスコ、【8035】東京エレクトロン(9.28%)、半導体企業大手の【6723】ルネサスエレクトロニクス、半導体材料大手の【4063】信越化学工業と、東証の主要半導体企業が並びます。

 

リクルート、OLCが高い!【2645】グローバルX レジャー&エンターテインメント-日本株式 ETF

【2645】グローバルX レジャー&エンターテインメント-日本株式 ETFは、「Solactive Japan Leisure & Entertainment Index」に連動する、レジャー・エンタメセクターの銘柄で構成されるETFです。

「Solactive Japan Leisure & Entertainment Index」は、レジャー産業およびエンターテインメント産業に関連する国内株30銘柄で構成される指標で、構成銘柄ウェイトの上限は10%となっています。

【2645】グローバルX レジャー&エンターテインメント-日本株式 ETFについて、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【6098】リクルートホールディングス 11.53%
2 【4661】オリエンタルランド 11.44%
3 【6758】ソニーグループ 10.10%

※出典:日本取引所「【2645】グローバルX レジャー&エンターテインメント-日本株式 ETF」

人材大手の【6098】リクルートホールディングス、東京ディズニーリゾートを運営する【4661】オリエンタルランドが10%超えとなっています。

なお、【6758】ソニーグループは、【1625】NEXT FUNDS 電機・精密(TOPIX-17)上場投信の方が構成比率が高いです。

 

住友商事、ミネベアミツミ、神戸製鋼所が高い!【2646】グローバルX メタルビジネス-日本株式 ETF

【2646】グローバルX メタルビジネス-日本株式 ETFは、「FactSet Japan Metal Business Index」に連動する、メタルセクターの銘柄で構成されるETFです。

「FactSet Japan Metal Business Index」は、メタルビジネスに関連する国内株30銘柄で構成される指標で、構成銘柄ウェイトの上限は10%となっています。

【2646】グローバルX メタルビジネス-日本株式 ETFについて、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【8053】住友商事 12.15%
2 【6479】ミネベアミツミ 11.29%
3 【5406】神戸製鋼所 11.26%

※出典:日本取引所「【2646】グローバルX メタルビジネス-日本株式 ETF」

【8053】住友商事、【6479】ミネベアミツミ、【5406】神戸製鋼所の3銘柄が10%超えとなっています。

 

野村総合研究所が高い!【2836】グローバルX フィンテック-日本株式 ETF

【2836】グローバルX フィンテック-日本株式 ETFは、「Indxx Japan Fintech Index」に連動する、フィンテックセクターの銘柄で構成されるETFです。

「Indxx Japan Fintech Index」は、フィンテック産業に関連する国内株で構成される指標で、構成銘柄ウェイトの上限は8%となっています。

【2836】グローバルX フィンテック-日本株式 ETFについて、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【4307】野村総合研究所(NRI) 10.35%

※出典:日本取引所「【2836】グローバルX フィンテック-日本株式 ETF」

【4307】野村総合研究所(NRI)が10%超えとなっています。

 

NEC、豊田自動織機が高い!【2847】グローバルX 新成長インフラ-日本株式 ETF

【2847】グローバルX 新成長インフラ-日本株式 ETFは、「FactSet Japan New Growth Infrastructure Index」に連動する、次世代インフラセクターの銘柄で構成されるETFです。

「FactSet Japan New Growth Infrastructure Index」は、次世代通信インフラ5Gなど次世代インフラ事業を手掛ける国内株で構成される指標で、構成銘柄ウェイトの上限は8%となっています。

【2847】グローバルX 新成長インフラ-日本株式 ETFについて、構成比率が10%以上の銘柄は次の通りです(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【6701】日本電気(NEC) 10.56%
2 【6201】豊田自動織機 9.79%

※出典:日本取引所「【2847】グローバルX 新成長インフラ-日本株式 ETF」

【6701】NECが10%超えで、【6201】豊田自動織機も構成比率が高くなっています。

 

東京エレクトロンが高い!【2854】グローバルX テック・トップ20-日本株式 ETF

【2854】グローバルX テック・トップ20-日本株式 ETFは、「FactSet Japan Tech Top 20 Index」に連動する、テクノロジーセクターの銘柄で構成されるETFです。

「FactSet Japan Tech Top 20 Index」は、日本を代表するテクノロジー関連ビジネスを行う国内上場株式20銘柄で構成される指標で、構成銘柄ウェイトの上限は10%となっています。

【2854】グローバルX テック・トップ20-日本株式 ETFについて、構成比率が10%以上の銘柄は次のようになっています(2023年6月30日時点)。

順位 銘柄名 構成比率
1 【8035】東京エレクトロン 11.94%
2 【6861】キーエンス 10.19%
3 【6758】ソニーグループ 9.74%
4 【7974】任天堂 9.72%

※出典:日本取引所「【2854】グローバルX テック・トップ20-日本株式 ETF」

【8035】東京エレクトロン、【6861】キーエンス、【6758】ソニーグループ、【7974】任天堂と、いずれも他のETFでも出てきている銘柄ですが、こちらの銘柄でも構成比率が高くなっています。

 

そもそもインサイダー取引はそこまで儲からない

今回はETFとインサイダー取引について解説してきましたが、そもそも論として、インサイダー取引は違法にも関わらずそこまで儲からないというのが実際の所です。

2020年に20倍以上に急騰したテラのようなインサイダー取引は儲かる場合がありますが、巨額の利益を出すと逮捕されてしまいます。

インサイダー取引はそこまで儲からない理由について見ていきましょう。

 

インサイダー情報のマーケットの反応は分からない

インサイダー情報が手に入れば、誰でも簡単に株で利益を出せるものだと勘違いしている方は少なくありません。

ただ実際の所、インサイダー情報で取引したとしても、利益を出すのは難しいというのが実態です。

これはなぜかというと、インサイダー情報に対するマーケットの反応は分からないためです。

例えば、あるインサイダー情報を手に入れたとして上がると判断したとしても、マーケットの反応は分かりません。

実際、決算に対する銘柄の動きを見てみれば、コンセンサスより良い決算内容だったにも関わらず「材料出尽くし」で暴落するケースもあれば、コンセンサスより悪い決算内容だったにも関わらず「悪材料出尽くし」で暴騰する場合もあります。

自分自身のインサイダー情報についての判断が、マーケットも同じであるとは限らないのです。

これは、決算期に、大引け後に発表される決算内容から翌日の株価が上がるのか下がるのかを50社程度予想してみて、その勝率を取ってみれば分かるかと思います。絶対に、勝率100%にはならないはずです。

このため、インサイダー情報を手に入れられる立場にあっても、マーケットから退場していった人は少なくないものと思われます。

高確率でお金になるであろうインサイダー情報にしても、ストップ高になると判断して大量に買っておいたにも関わらず、マーケットは失望してストップ安になったら、その1回のミスで全部終わりです。

そして、インサイダー情報はほとんど儲からないにも関わらず、大儲けしたら、後からインサイダー取引で逮捕されてしまいます。

インサイダー取引は、リターンの期待値が小さいにも関わらず、リスクは膨大であるという、全く割に合わない行為であると言えるでしょう。

 

ETF上位銘柄に来るような大型株はニュースでほとんど動かない

今回見てきた、業種別ETFの構成銘柄上位に来るような銘柄は、時価総額が大きい大型株であるため、ニュース程度ではほとんど動きません。

これは実際に、今回紹介してきた銘柄について、日足チャートを数年分見てもらえれば分かるかと思います。

【1622】NEXT FUNDS 自動車・輸送機(TOPIX-17)上場投信で、構成比率が44%となっている【7203】トヨタ自動車について見ていきましょう。

【7203】トヨタ自動車は、2023年6月13日に、全固体電池を搭載した電気自動車(EV)を2027~2028年に掛けて実用化にチャレンジすると発表して大きく買われました。

このニュースに対するトヨタ株の反応は次の通りです。

6月12日に2,069円だったトヨタ株は、ニュース発表3日後に2,353円まで上昇し、これは上昇率にすると+13.72%となります。

仮に、このインサイダー情報を持っていたとして、6月12日終値に買って、2日後の終値に売るとすると、2,069円→2,310円(+11.64%)です。

これを【7203】トヨタ自動車の個別株で取引してしまうとインサイダー取引になってしまうため、トヨタ比率が44%の【1622】NEXT FUNDS 自動車・輸送機(TOPIX-17)上場投信で取引すると、トヨタ株の上昇率だけで+5.12%の利益となります。

この数値をどう見るかです。

この例ではトヨタ比率が44%と極端に高い【1622】NEXT FUNDS 自動車・輸送機(TOPIX-17)上場投信で見てきましたが、他の銘柄では特定銘柄の構成比率がさらに低くなります。

仮に、インサイダー情報を持っている銘柄の構成比率が15%のETFを手掛けるとしたら、10%上がったとしても、その寄与分は1.5%にしかなりません。

ETFはインサイダー取引規制に掛からないことになっていますが、実際に計算してみると、特定銘柄比率が高い銘柄であっても、ほとんど利益にならないというのが実際の所です。

 

業種別ETFは流動性が低いため大きな資金は入れにくい

「ETFで合法的にインサイダー取引をしても精々1~5%程度の利益にしかならないなら、大きな資金で取引すればいいんだ!」と考えるかと思います。

残念ながら、ETFの流動性がボトルネックとなるため、それはできません。

特に、今回紹介してきた業種別ETFは取引量が少なく、流動性リスクが大きい銘柄が大半となっています。

トヨタ比率が44%と極端に高い【1622】NEXT FUNDS 自動車・輸送機(TOPIX-17)上場投信について見ていきましょう。

2023年9月22日の、【1622】NEXT FUNDS 自動車・輸送機(TOPIX-17)上場投信の売買代金は4,400万円となっています。

5分足チャートは次のようになっています。

ほぼ取引は寄り付きに集中しており、13時半頃には出来高が出ていますが価格には反映されておらず、まともに取引できない状況です。

一般的に最も取引量が多くなる大引け時の板は次のような状況です。

終値31,060円に対して、31,090円に大きな売り板(31,090円×2,300円=約7,143万円)がありますが、この売り板を超えると次は31,550円にしか売りがなく、この時点で約1.57%もの流動性リスクを喰らってしまうことになります(終値31,060円に対して31,550円で買わなければいけなくなる)。

仮に1億円分買うとしたら3,220株になるため、出ている売り板では買いきれず、37,090円までも買うことになってしまいます。

この銘柄で合法的にインサイダー取引するとしたら、問題になるのは買う時だけではありません。

買い板が少ないため、売る時の方がむしろ大変です。

例えば、上記の板では、買い板が30,940円に800株しかないため、この時点で終値31,060円に対して0.38%の流動性リスクが掛かってきてしまいます。

さらに、その下には全く買い板がないため……。

このように、特定銘柄の構成比率が高い業種別ETFでインサイダー取引をするとしても、流動性リスクで利益の大半を持っていかれてしまう(むしろマイナスになる可能性も高い)ため、大きな金額で取引することはできません。

今回は、ETFはインサイダー取引規制に掛からないということで、特定銘柄の構成比率が高いETFを紹介してきましたが、実際にインサイダー取引をするとしても全く儲かる気がしません。

300~500万円程度の少額資金なら利益になるかもしれませんが、それで上手くやって3%程度の利益を出せたとしても10万円程度です。

しかも、ニュースで大型株の株価が大きく動く機会は数年に1度程度しかありません。

東証としては、その程度のインサイダー取引には目をつむるということで、それよりはETF投資を増やしてもらいたいということで、ETFはインサイダー取引の規制対象外にしているのかもしれません。

 

まとめ

この記事では、インサイダー取引について解説した上で、インサイダー取引規制に掛からない特定銘柄の構成比率が高い東証ETFについて紹介してきました。

日本取引所も金融庁も、ETFはインサイダー取引規制に掛からないという見解を示しています。

となると、業種別ETFのように特定銘柄の構成比率が高いETFなら、合法的にインサイダー取引ができるということになります。

ただ、ETFの構成比率上位を占める大型株はニュースで動きづらく、業種別ETFは流動性リスクが高いため、ETFで合法的にインサイダー取引をしても利益はほとんど出ないというのが実際の所です。

東証としては、その程度のインサイダー取引には目をつむり、それよりETF投資を増やしてもらいたいということで、ETFはインサイダー取引の規制対象外にしているものと思われます。

なお、日本取引所も金融庁もETFはインサイダー取引規制に掛からないという見解を示しているものの、実際に取引する場合には、必ず会社に確認を取るようにしましょう。

今回は、インサイダー取引規制に掛からないETFを紹介してきましたが、何があったとしても、当サイトは一切の責任を取ることはできません。

 

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