「円安に強いETFって?」「ドル建てETFとは?」「円安に強いドル建てETFのおすすめ銘柄とは?」など、疑問に思っていませんか?
2022年以降の急激な円安ドル高を受けて、銀行預金などの円建て資産は3割以上棄損されてしまいましたが、ドル建て資産は3割以上のプラスとなりました。
東証に上場するETFでは、米国株や米国REIT、米国債券といったアメリカETFに加えて、金(ゴールド)や原油などの商品先物ETFはドル比率100%となっており、米国株比率が高い世界株ETFと先進国ETFもドル建て資産と言えます。
ドル建てETFを選ぶ際には、円で為替ヘッジされていない「為替ヘッジなし」の銘柄を選ぶようにしましょう。
この記事では、ドル建てETFの概要や円安の影響、ドル建てETFのメリット・デメリットについて解説した上で、おすすめのドル建てETFについて紹介しています。
なお、この記事では為替ヘッジなしのドル建てETFについて詳しく解説していきますが、為替相場の影響を受けない為替ヘッジありのETFについては下記記事を参照ください。

ドル建てETFとは?
ドル建てETFとは、米ドルで価格が表示されるドル建て資産で運用しているETFのことです。
具体的には、米国株ETFや米国REI型ETF、米国債券ETFといったアメリカの資産で構成されるETFは、ドル比率100%のドル建てETFとなっています。
また、米国株の比率が高い世界株ETFや先進国株ETFもドル比率が高いため、ドル建てETFと言えるでしょう。
さらに、金(ゴールド)や原油先物といったコモディティETF(商品先物ETF)もドル建てETFです。
アメリカETFについて、詳しくは下記記事を参照ください。

アメリカETFについては上記記事で網羅しているため、今回はアメリカETFも含む東証全体のドル建てETFについて解説していきます。
ドル建てETFの最大の特徴は、円安ドル高になると、円建てで見た価格が上がることです。
ドル建てETFは、米国FRBが利上げ路線に舵を切った2021年11月以降、急激に進んでいる円安対策になる資産として注目を集めています。
なお、東証ETFでは、米国株ETFなどにおいて、「為替ヘッジなし」の銘柄がドル建てETFとなる点には注意しておきましょう(「為替ヘッジあり」は外貨建て資産を買うと同時に外貨を売って、為替相場の影響を受けないようにヘッジしたものです)。
為替ヘッジについて詳しくは、下記記事を参照ください。

直近20年間のドル円チャート
ドル建てETFについて語る上では、為替相場をチェックしておくことが欠かせません。
直近20年間のドル円(USD/JPY)チャートを見ておきましょう。
民主党政権時代には1ドル80円台の超円高となっていましたが、2012年末以降のアベノミクスで円安となり、2016年以降は1ドル100~120円のレンジに収まっていました。
しかし、2021年11月には米国FRBが利上げ路線に舵を切り、ウクライナ情勢が始まった2022年からは急激な円安ドル高となり、2023年10月4日には一時1ドル150円台を再び突破しました。
円安の原因は、日米金利差が主要因とされていますが、日銀は利上げに舵を切ることを躊躇しており、さらなる円安となる可能性もあります。
ドル建てETFのメリット
ドル建てETFに投資するメリットについて見ていきましょう。
円安ドル高対策になる
ドル建てETFの最大のメリットは、円安対策になること、より正確に言うとドル高の恩恵を受けられることにあります。
ドル建てETFは、ドル建ての資産価格が横ばいだったとしても、円安ドル高になれば、円建てで見た価格がプラスになります。
この影響は、円安ドル高が大きく進んだ2022年以降に顕著となっており、ドル建てETFは円ベースで見ると大きな値上がりとなりました(2022年には米国株安となりましたが、円安ドル高で相殺された形となりました)。
「為替ヘッジなし」のドル建てETFと、「為替ヘッジなし」のETFとでは、2022年以降にどの程度の差が出たのかを見てみましょう。
次のチャートは、S&P500指数に連動する為替ヘッジなしの【2633】NEXT FUNDS S&P 500 指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信の月足チャートです。
続いて、次のチャートは、S&P500指数に連動する為替ヘッジありの【2634】NEXT FUNDS S&P 500 指数(為替ヘッジあり)連動型上場投信の月足チャートです。
2022年以降には円安ドル高が3割以上進んだことから、同じS&P500指数に連動する銘柄であっても、為替ヘッジなしのドル建てETFと為替ヘッジありのETFでは、これだけの差が出ました。
日本円で給料をもらっている場合はリスクヘッジになる
逆に、民主党政権時代のような円高ドル安が進んだ場合には、ドル建てETFはマイナスとなります。
為替相場の動向を予測するのは難しいため、急激な円安が是正されて円高になる可能性も十分にあります。
現に、米国の物価高はやや落ち着いてきている一方で、むしろ日本の方が物価高で深刻になりつつあり、日銀の植田新総裁もマイナス金利の解除という利上げをちらつかせる発言をしていることも話題です。
ただ、今後、円安が是正される可能性があるとしても、人生全体のリスクヘッジという点で考えてみると、資産の一部をドル建てETFで保有することにはメリットがあると考えられます。
日本で暮らすほとんどの日本人は、日本円で給料を受け取り、資産のほとんどは銀行預金(円預金)で保有しています。
これは、自分自身の資産をほぼ全て日本円にベッドしている状態であるため、非常にリスクがあると言わざるを得ません。
仮に、ドル建てETFに投資してから、円安が是正されて円高になってやや損をしたとしても、それは円安へのリスクヘッジに対する保険のようなものではないでしょうか?
また、円安は急激に進んでいるため、ドル預金や米国株投資などを通して、日本の家計資産の一部が円預金から逃避することになれば、よりいっそう円安が進むことも懸念されています。
より長期的には円安が進むことも懸念される
これはあくまで管理人の考えになりますが、長期的には、日本円は今後さらなる円安になるのではないかと思います。
まず、日本では人口減少が進んでおり、大量移民受け入れも実現しないため、どうしても日本の国力や国際競争力は下がらざるを得ないと考えられるためです。
特に、今後深刻化する日本の人口減少は、労働力人口の激減かつ高齢者人口は横ばいという最悪の形で起こります。
一方、米国も少子化の影響を受けているものの、それでも人口増加が続いており、あと数十年は成長が期待できると考えられます。
また、日本政府が抱える莫大な債務や、高齢社会による社会保障費(年金・医療・介護)などは、もはや取り返しが付かない状況ではないかと思うのです。
やや陰謀論になってしまいますが、将来的にはインフレ税でリセットするしかないのではないかと思います。
今日・明日と今すぐに猛烈な円安やインフレが起こるとは思えませんが、10~20年スパンの長期で考えれば、ドル建て資産の割合を増やしておいた方がよいと考えています。
具体的には、政治力が強い団塊世代が退場していき、人口ボリュームが多い団塊ジュニア世代(ロスジェネ世代)が高齢者になったタイミングあたりで、グレートリセットが起こってもおかしくないのではないかと。
ただ、それまではまだ20年前後はあります。
2024年から新NISAが始まりますが、2024年からドル建てETFの割合を増やしていっても、余裕で間に合うのではないでしょうか。
むしろ、直近の円安から、今すぐに全資産をドル建てETFに替えるような動きもありますが、管理人としては、それも早急でリスクがある行為だと感じます(詳しくは下記“米国株ETFや世界株ETFでも暴落リスクはある”を参照)。
当サイトでは、新NISAを最大限に活用して、10~20年の時間を掛けて無理のない範囲で、ドル建てETFの資産割合を増やしていくことを推奨しています。
ドル建てETFのデメリット
ドル建てETFのデメリットを見ていきましょう。
円高ドル安になるとマイナスになる
ドル建てETFは、円高ドル安になるとマイナスになります。
ただ、これは円安ドル高になるとプラスになるということと表裏一体の関係です。
米国株ETFや世界株ETFでも暴落リスクはある
2020年の新型コロナ以降、SNSなどでは、米国株ETFや世界株ETFなどのドル建てETFで資産形成することが情報強者の証であるようなイメージが強くなっていると感じます。
ただ、米国株ETFや世界株ETFであっても、いつリーマンショック級の暴落が起きてもおかしくないというのがマーケットの現実です。
リーマンショックのとき、S&P500指数は2007年10月に付けた高値1576.09から2009年2月には666.79まで、-57.69%下落しました。
また、S&P500指数は、2007年10月の高値を回復したのは2013年4月と、5年6ヶ月掛かっています。
重要なことは、米国株ETFや世界株ETFは、リーマンショック級の暴落があったとしても、長期で見たら上げていく期待が大きいということです。
リーマンショック後にも長期・積立・分散投資を継続していれば、資産価格は回復し、2023年9月時点では4倍以上の水準になっていました。
ただ、だからといって、今すぐに全資産を世界株ETFや米国株ETFで運用することはリスクがある行為です。
リーマンショック級の暴落で、一時的に資産が大きく減ってしまうことが恐いようなら、それはインデックス投資に偏った資金管理をしている可能性があります。
仮に、リーマンショック級の暴落が来て、大きな含み損が出ていても、ETFを売らず、淡々と長期・積立・分散投資を継続できるでしょうか?
いくら新NISAがお得だからといって、全資産をいきなり投じることはおすすめできません。
リーマンショックの教訓からすると、米国株ETFや世界株ETFなどのドル建てETFに投じるべき資産は、多くても全資産の半分程度になるかと思います。
リーマンショック級の暴落が起きたとして、全資産をインデックス投資に投じていたら資産が半分になってしまいますが、全資産の半分までに留めておけば総資産への影響は25%に済みます。
ETFのドル建て比率を調べる方法
今回は、おすすめのドル建てETFとして、米国株ETF、米国REIT、世界株ETF・先進国株ETF、金(ゴールド)ETFを紹介していきます。
その前に、ETFのドル比率を調べる方法を押さえておきましょう。
米国株ETF、米国REITなどのアメリカETFや、金(ゴールド)ETFや原油ETFといった商品先物ETFはドル比率100%です。
世界株ETFと先進国株ETFについては、米国株比率が100%ではないため、ドル比率100%ではありません。
東証のETF一覧ページにあるパンフレットおよび銘柄詳細のページには、信託報酬や分配金利回り、構成銘柄比率などは掲載されていますが、ドル比率は掲載されていません。
ETFのドル比率を調べる方法は次の2つがあります。
- ETF運用会社のホームページから調べる
- 同じインデックスに連動する投資信託から調べる
詳しく見ていきましょう。
なお、今回は、世界株ETF:【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信のドル比率を調べる方法を例に解説していきます。
ETF運用会社のホームページから調べる
ドル比率は、東証のETFパンフレットには載っていませんが、ETF運用会社のホームページにあるパンフレットに掲載されている場合があります。
ETF運用会社のホームページのアドレスは、やや調べるのに手間が掛かりますが、東証でETFの基準価額を調べる方法で辿り着けます。
ETFの基準価額に関する以下のページにアクセスし、「各銘柄の情報提供方法」にある「情報提供方法一覧」というエクセルファイルを開いてみましょう。
※参考:日本取引所「基準価額等に関する情報」
銘柄コード「2559」で検索して、【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信について、「一口あたりの純資産額」の列にあるホームページをクリックすると、ETF運用会社のホームページにたどり着けます。
運用会社(三菱UFJアセットマネジメント)のホームページに辿り着けました。
このページを下にスクロールすると、「交付目論見書」という資料があるので、このpdfファイルをクリックしてみましょう。
このpdfファイルをスクロールしていくと、下の方に運用実績があり、そこに「主要な資産の状況」が掲載されています。
【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信のドル比率は62.4%であることが分かりました。
同じインデックスに連動する投資信託から調べる
ETFパンフレットからドル比率を調べる方法は手間が掛かってしまいます。
もう一つの方法としては、ドル比率を調べたいETFが連動しているインデックスと、同じインデックスに連動している投資信託について、日本経済新聞社のホームページで調べるというものです。
投資信託のドル比率を調べたい場合は、日本経済新聞社の投資信託のページの「資産構成」欄から簡単に調べられます。
つまり、ドル比率を調べたいETFが連動しているインデックスについて、同じインデックスに連動している投資信託について日本経済新聞社のサイトで調べれば分かるということです。
【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信は、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」に連動しています。
「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」に連動している世界株投信はたくさんありますが、つみたてNISA採用銘柄となっている「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」で調べてみましょう。
日本経済新聞社のホームページで、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を調べます。
投資信託のページになるため、投資信託名の下にあるタブから「資産構成」をクリックします。
資産構成のページになり、2つ目の項目に「通貨別配分比率」が掲載されています。
「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」に連動している世界株投信「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」について、ドル比率は59.7%であることが分かりました。
あくまで同種のインデックスに連動する投資信託のデータであるため、パンフレットの数値とはやや異なりますが、大体のドル比率を調べたい場合には、こちらの方法でも問題ありません。
おすすめのドル建てETF6選!
長期・積立・分散投資におすすめのドル建てETFを見ていきましょう。
米国株ETF
S&P500指数連動型!【2558】MAXIS米国株式(S&P500)上場投信
【2558】MAXIS米国株式(S&P500)上場投信は、三菱UFJ国際投信が運用する、「S&P500指数」に連動する米国株ETFです。
「S&P500指数」は、米国市場を代表する500銘柄で構成され、時価総額ベースで算出される米国株指数です。
米国市場の時価総額の約75%を占めており、ダウ工業平均株価よりも米国市場全体の状態を表す株価指数となっています。
時価総額加重平均型であるため、時価総額が大きいGAFAM(Google、Amazon、Facebook(Meta)、Apple、Microsoft)やNVIDIA、Teslaといった銘柄の構成比率が高い点が特徴です。
信託報酬(税込) | 0.077% |
分配金 | 225円(年2回) |
分配金利回り | 1.24% |
直近5年間の値動き | +77.89%(10,180円→18,110円) |
必要投資金額 | 18,110円(1口) |
上場日 | 2020年1月9日 |
長期投資おすすめ度 | ★★★★★ |
流動性 | ★★ |
ドル比率 | 100% |
世界株ETFと並んで、NISAを使ったETFの長期・積立・分散投資において最も基本となる銘柄の一つです。
S&P500指数連動型ETFの中では、信託報酬が低く、流動性が最も大きい銘柄となっています。
世界株ETFのドル比率は6割弱である一方、米国株ETFのドル比率は100%であるため、円安ドル高になるとよりプラスになりやすくなっています。
ETF投資における基本銘柄として押さえておきましょう。
NASDAQ連動型ETF!【1545】NEXT FUNDS NASDAQ-100(為替ヘッジなし)連動型上場投信
【1545】NEXT FUNDS NASDAQ-100(為替ヘッジなし)連動型上場投信は、野村アセットマネジメントが運用する、「NASDAQ100指数」に連動する米国株ETFです。
「NASDAQ100指数」は、米国の新興市場NASDAQに上場する時価総額が大きい100銘柄(金融業を除く)で構成される指数です。
「NASDAQ100指数」は、「S&P500指数」よりもGAFAM(Google、Amazon、Facebook(Meta)、Apple、Microsoft)やNVIDIA、Teslaといった時価総額が大きい有力銘柄の比率をより高めた指数となっています。
信託報酬(税込) | 0.22% |
分配金 | 57円(年1回) |
分配金利回り | 0.26% |
直近5年間の値動き | +148.13%(8,830円→21,910円) |
(参考)2020年1月~の値動き | +128.70%(9,580円→21,910円) |
必要投資金額 | 21,910円(1口) |
上場日 | 2010年8月16日 |
長期投資おすすめ度 | ★★★★★ |
流動性 | ★★★ |
ドル比率 | 100% |
NASDAQ100指数に連動する同銘柄は、直近5年間で約2.5倍の値上がり益となっており、これは全ETF中でもトップクラスの数値となっています。
リターンを求めてETF投資をするとしたら、最有力の銘柄です。
NISA枠を使った長期・積立・分散投資にもおすすめの銘柄ですが、分配金はほとんど出ないため、分配金再投資ができないことには注意しておきましょう。
米国REIT型ETF
米国REIT型ETF!【1659】iシェアーズ 米国リート ETF
【1659】iシェアーズ 米国リート ETFは、ブラックロック・ジャパンが運用する、「FTSE NAREIT EQUITY REITS インデックス(TTM 円建て)」に連動する米国REIT型ETFです。
「FTSE Nareit Equity REITs インデックス(TTM 円建て)」は、米国市場に上場するREITを浮動株ベースの時価総額加重平均方式で算出している、米国の代表的なREIT指数です。
信託報酬(税込) | 0.22% |
分配金 | 73円(年4回) |
分配金利回り | 2.88% |
直近5年間の値動き | +21.91%(2,072円→2,526円) |
必要投資金額 | 2,526円(1口) |
上場日 | 2017年9月28日 |
長期投資おすすめ度 | ★★★★★ |
流動性 | ★ |
ドル比率 | 100% |
東証に上場している唯一の米国REIT型ETFとなっています。
分配金利回りが高く、分配金が安定しやすいREIT型であるため、ドル建てETFの中では最も分配金再投資に適する銘柄と言ってよいでしょう。
ただ、分配金は安定していますが、トータルリターンで見ると、米国株に比べて劣ります。
世界株・先進国株ETF
世界株ETF!【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信
【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信は、三菱UFJ国際投信が運用する、「MSCI ACWIインデックス」に連動する世界株ETFです。
日本を含む世界株ETFとしては、最も代表的な銘柄で、通称「オルカン」とも呼ばれます。
「MSCI ACWIインデックス(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)」は、全世界の大型株・中型株約2,900銘柄を対象に時価総額加重平均で算出される、代表的な世界株指数です。
全世界の時価総額が大きい銘柄が対象となるため、指数の6割程度は米国株が占めており、その分はほぼ「S&P500指数」と同じです。
信託報酬(税込) | 0.0858% |
分配金 | 259円(年2回) |
分配金利回り | 1.62% |
直近5年間の値動き | +55.93%(10,200円→15,905円) |
必要投資金額 | 15,905円(1口) |
上場日 | 2020年1月9日 |
長期投資おすすめ度 | ★★★★★ |
流動性 | ★★ |
ドル比率 | 62.4% |
※ドル比率の出典:三菱UFJアセットマネジメント
ETFの長期・積立・分散投資において、最も基本となる銘柄です。
S&P500指数に連動する米国株と比べると、直近5年間の値上がり益では差があるものの、分配金利回りの値が大きくなっています。
S&P500指数に比べて値上がり益が小さくなっているのは、ドル比率の差が及ぼした影響が大きいものと思われます。
先進国株ETF!【1550】MAXIS 海外株式(MSCIコクサイ)上場投信
【1550】MAXIS 海外株式(MSCIコクサイ)上場投信は、三菱UFJ国際投信が運用する、「MSCI-KOKUSAIインデックス」に連動する先進国株ETFです。
「MSCI-KOKUSAIインデックス」は、日本以外の先進国株式で構成される時価総額加重平均型の先進国株指数です。
日本を含まない先進国株としては、代表的な銘柄となります。
信託報酬(税込) | 0.165% |
分配金 | 65.7円(年2回) |
分配金利回り | 1.51% |
直近5年間の値動き | +73.64%(2,490円→4,325円) |
(参考)2020年1月~の値動き | +70.67%(2,534円→4,325円) |
必要投資金額 | 43,250円(10口) |
上場日 | 2010年11月25日 |
長期投資おすすめ度 | ★★★★★ |
流動性 | ★ |
ドル比率 | 74.1% |
※ドル比率の出典:三菱UFJアセットマネジメント
米国株ETFと世界株ETFの中間のような銘柄です。
ただ、信託報酬と流動性においては、米国株ETFと世界株ETFに比べて悪く、むしろ先進国株投信の方が、信託報酬が低い銘柄もあります(「たわらノーロード 先進国株式」など)。
商品先物ETF
金(ゴールド)ETF!【1540】純金上場信託(現物国内保管型)
【1540】純金上場信託(現物国内保管型)は、三菱UFJ信託銀行が運用する、「大阪取引所における金地金1グラムあたりの先物価格」に連動する金(ゴールド)ETFです。
金(ゴールド)先物価格は、シカゴ・ロンドン・大阪などで算出されていますが、基本的にはどれも一緒と考えて問題ありません。
金現物取引価格は、1トロイオンス(約31.1g)当たりの価格がドル建てで決定されるため、金(ゴールド)ETFはドル建て資産となっています。
また、金(ゴールド)ETFを含むコモディティ価格に連動する商品先物ETFは、分配金は一切出ない点には注意しておきましょう。
信託報酬(税込) | 0.44% |
分配金 | 0円(年0回) |
分配金利回り | 0% |
直近5年間の値動き | +96.57%(4,210円→8,276円) |
必要投資金額 | 8,276円(1口) |
上場日 | 2010年7月2日 |
長期投資おすすめ度 | ★★★★★ |
流動性 | ★★ |
ドル比率 | 100% |
金(ゴールド)ETFの中では最も流動性が大きく、おすすめの銘柄です。
直近5年間では金(ゴールド)価格が上昇したことに加えて、2022年以降の急激な円安ドル高もプラスに働きました。
なお、参考までに、SBI証券の現物純金投資の手数料は税込み1.65%となっています(2023年10月4日時点)。
為替ヘッジあり・なしの差を検証!
2022年以降は、為替ヘッジありと為替ヘッジなしの銘柄とで大きな差となっているため、S&P500指数連動型ETFで、この差について検証してみました。
今回は、2020年1月時点の値を軸に、2023年10月26日終値時点の値で検証していきます。
S&P500指数連動型ETFについて、いずれも日興アセットマネジメントが運用する、為替ヘッジありの【2521】上場インデックスファンド米国株式(S&P500)為替ヘッジあり、為替ヘッジなしの【1547】上場インデックスファンド米国株式(S&P500)について比較します。
為替ヘッジありのS&P500指数連動型ETF【2521】上場インデックスファンド米国株式(S&P500)為替ヘッジの月足チャートは次の通りです。
為替ヘッジなしのS&P500指数連動型ETF【1547】上場インデックスファンド米国株式(S&P500)の月足チャートは次の通りです。
米国市場で算出されるS&P500指数の月足チャートは次の通りです。
以上の銘柄と指数について、2020年1月から2023年10月26日時点までの値は次のようになります。
2020年1月 | 2023年10月26日 | 上昇率 | |
【2521】上場インデックスファンド米国株式(S&P500)為替ヘッジあり | 1,129円 | 1,344.5円 | +19.08% |
【1547】上場インデックスファンド米国株式(S&P500) | 3,790円 | 6,850円 | +80.73% |
S&P500指数 | 3,244.67ドル | 4,186.78ドル | +29.03% |
オリジナルのS&P500指数の上昇率+29.03%に対して、為替ヘッジなしの【1547】上場インデックスファンド米国株式(S&P500)の上昇率は+80.73%と非常に大きく、一方で為替ヘッジありの【2521】上場インデックスファンド米国株式(S&P500)為替ヘッジありは+19.08%と10%ほど低くなっています。
為替ヘッジなしとS&P500指数の差は為替相場
為替ヘッジなしのS&P500指数連動型ETFとS&P500指数との差は、2022年以降に円安ドル高が急激に為替相場が影響しています。
ドル円チャートの月足チャートは次の通りです。
2020年1月 | 2023年10月26日 | 上昇率 | |
米ドル/日本円 | 108.623ドル | 150.509ドル | +38.56% |
【1547】上場インデックスファンド米国株式(S&P500) | 3,790円 | 6,850円 | +80.73% |
S&P500指数 | 352,445円 | 630,148円 | +78.79% |
2020年1月以降、ドル円相場は+38.56%もの円安ドル高が進みました。
S&P500指数連動型ETFに限らず、為替ヘッジなしの米国株ETFはいずれもドル比率が100%のドル建て資産であるため、この影響をモロに受けます。
オリジナルのS&P500指数を円換算してみると、上表の通りです。
円安ドル高の影響を加味すると、S&P500指数の上昇率は+78.79%となり、【1547】上場インデックスファンド米国株式(S&P500)の上昇率とほぼ等しくなることが分かります。
為替ヘッジありとS&P500指数の差は為替ヘッジコスト
為替ヘッジありのS&P500指数連動型ETFとS&P500指数との差は、為替ヘッジコストで説明できます。
為替ヘッジありの銘柄は、外貨建てETF購入と同時に、為替予約取引をすることによって、為替ヘッジの影響を除外するものです。
ただ、為替ヘッジを行う際に、外貨を売って日本円を買っているため、通貨間の金利差分のヘッジコストが発生します。
ドル円の為替ヘッジコストは、「米ドルの短期金利-日本円の短期金利」となります。
ここで、米ドルの短期金利と日本円の短期金利を見ていきましょう。
上図は、Trading Viewのスーパーチャートで、米国債2年物利回りのローソク足に、日本国債2年物利回りはオレンジ線で追加しています。
米国は2021年11月から利上げ路線に舵を切ったことから、2022年以降に金利が大きく上がり、長短金利ともに日米の金利差は拡大し、円安の際たる要因となっています。
2023年10月26日時点では、米国債2年物利回り5.114%に対して、日本国債2年物利回りは0.083%となっており、その差は約5.2%となっています。
為替ヘッジありのS&P500指数連動型ETF【2521】上場インデックスファンド米国株式(S&P500)為替ヘッジありと、S&P500指数の差をもう一度見てみましょう。
2020年1月 | 2023年10月26日 | 上昇率 | |
【2521】上場インデックスファンド米国株式(S&P500)為替ヘッジあり | 1,129円 | 1,344.5円 | +19.08% |
S&P500指数 | 3,244.67ドル | 4,186.78ドル | +29.03% |
この約10%の差は、米国利上げが始まってから2年間で付いた為替ヘッジコストの差と考えると、ほぼ一致します。
低金利の日本円で為替ヘッジしてしまうと、現在の世界的な利上げ路線の中では為替ヘッジコストを大きく負担することになってしまうことがよく分かります。
まとめ
この記事では、ドル建てETFの概要や円安の影響、ドル建てETFのメリット・デメリットについて解説した上で、おすすめのドル建てETFについて紹介してきました。
2022年以降の急激な円安ドル高を受けて、ドル建てETFは大きな値上がりとなっていますが、日本の人口動態や国力などを考慮すると、長期的に円安が続く可能性が考えられます。
逆に円高ドル安となった場合にはマイナスになりますが、日本円で給料を貰っている場合には、円安へのリスクヘッジとしてドル建てETFによる資産形成をおすすめします。
なお、東証ETFでドル建て資産を選ぶ際には、円で為替ヘッジされていない「為替ヘッジなし」の銘柄を選ぶようにしましょう(「為替ヘッジあり」は外貨建て資産を買うと同時に外貨を売って、為替相場の影響を受けないようにヘッジしたものです)。
当サイトでは、ドル建てETFでもある下記銘柄について、新NISAを使った長期・積立・分散投資を推奨しています。
-世界株ETF:【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信
-米国株ETF:【2558】MAXIS米国株式(S&P500)上場投信
-米国株ETF(ハイリスク・ハイリターン):【1545】NEXT FUNDS NASDAQ-100(為替ヘッジなし)連動型上場投信
ETF投資を始めるならマネックス証券がおすすめ!
新NISAを使ったETF投資を始めるなら、マネックス証券がおすすめです。
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また、マネックス証券のiDeCoは、NASDAQ100指数「iFreeNEXT NASDAQ100 インデックス」、米国株投信「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、世界株投信「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と揃っているため、新NISAとiDeCoを同時に始めたい場合には特におすすめです。
マネックス証券のETF投資について、より詳しく知りたい場合には下記記事も参照してみてください。
