日銀のETF買いとは?ETF残高の推移や買い入れ銘柄について紹介!

「日銀のETF買いって?」「日銀が買っているETFとは?」「日銀はETFをどの位買っていて、どの位保有しているの?」「日銀の出口戦略でETFはどうなる?」など、疑問に思っていませんか?

日銀は、異次元金融緩和が始まった2013年から、ETF買いを続けており、2023年8月時点では約37兆円ものETFを保有しています。

ただ、日銀は2021年4月以降、ETF買いのペースを激減させており、ここ数年間は積極的なETF買いは行っていない状況です。

この記事では、日銀のETF買いの歴史や買入・残高推移、日銀がETF買いしている銘柄、日銀の出口戦略などについて解説しています。

 

日銀のETF買いとは?

日本の中央銀行である日銀(日本銀行)は、2013年以降、異次元金融緩和の一環として、ETF買いを実施しています。

日銀のETF買いについては、日銀のホームページにその概要が記載されています。
※参考:日本銀行「指数連動型上場投資信託受益権等買入等」

日銀のETF買いの歴史と、日銀のETF買入と残高推移について見ていきましょう。

 

日銀のETF買いの歴史

日銀のETF買いの歴史を表で見ていきましょう。

年月 日銀のETF政策
2010年12月 残高上限4,500億円
買入対象:TOPIX・日経平均株価連動型ETF
2013年4月 買入上限額:年間1兆円
買入対象:TOPIX・日経平均株価連動型ETF
2014年10月 買入上限額:年間3兆円
2014年11月 買入対象:JPX日経インデックス400連動型ETFが追加
2016年3月 買入上限額:年間3兆3,000億円
買入対象:設備・人材投資ETFが追加(3,000億円、毎日12億円)
2016年7月 買入上限額:年間6兆円
2016年9月 買入上限額(5.7兆円)の見直し
-3兆円:TOPIX・日経225・JPX日経400
-2.7兆円:TOPIX
2018年7月 買入上限額(5.7兆円)の見直し
-1.5兆円:TOPIX・日経225・JPX日経400
-4.2兆円:TOPIX
2020年3月 買入上限額:年間12兆円
-25%:TOPIX・日経225・JPX日経400
-75%:TOPIX
2021年3月 買入上限額の見直し
-100%:TOPIX
2022年10月 信託報酬が最も低い銘柄を買い入れる方針に

日銀が金融緩和策として初めてETF買いを実施したのは、白川総裁時代の2010年12月です。

当初は残高上限4,500億円とし、TOPIXと日経平均株価に連動するETFが対象となっていました。

日銀総裁が黒田総裁に代わり、2013年4月から始まった異次元金融緩和では、2%の物価安定目標の実現を目指すため、長期国債やETF、J-REITを買い入れすることでイールドカーブ全体の金利の低下を促し、リスク・プレミアムの縮小を促すことを目的として、ETF買いが年間1兆円に拡大されました(対象はTOPIX・日経平均株価連動型ETF)。
※参考:日本銀行「2013年4月4日 量的・質的金融緩和の導入に伴う関連基本要領の制定および廃止等について」

2014年10月31日にはETFの年間買入額が年間3兆円に増額され(ハロウィン緩和)、2014年11月には買入対象指数にJPX日経インデックス400連動型ETFが追加されました。
※参考:日本銀行「2014年10月31日 指数連動型上場投資信託受益権等買入等の実施に関する認可申請について」
※参考:日本銀行「2014年11月19日 「指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領」の一部改正について」

2016年3月には、設備・人材投資ETFが3,000億円(毎営業日12億円)分追加され、年間買入額がこの分だけ増加されて3兆3,000億円となりました。
※参考:日本銀行「2016年3月15日 「設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するための指数連動型上場投資信託受益権買入等に関する特則」の制定等について」

2016年7月には、ETFの年間買入額が6兆円に倍増となりました。
※参考:日本銀行「2016年7月29日 指数連動型上場投資信託受益権買入の実施に関する財務大臣および金融庁長官への認可申請について」

2016年9月には、設備・人材投資ETF3,000億円を除く5兆7,000億円分について、TOPIX・日経225・JPX日経400に3兆円(※銘柄毎の時価総額例)、TOPIXに2.7兆円(※銘柄毎の時価総額例)となるように設定されました。
※参考:日本銀行「2016年9月21日 ETFの銘柄別の買入限度にかかる見直しについて」

2018年7月には、5.7兆円分のETFの買入見直しが行われ、TOPIX・日経225・JPX日経400に1.5兆円(※銘柄毎の時価総額例)、TOPIXに4.2兆円(※銘柄毎の時価総額例)にするように設定され、TOPIX買入比率がさらに拡大されました。
※参考:日本銀行「2018年7月31日 今後のETFの買入れの運営について」

2020年3月16日には、新型コロナ拡大を受けて、ETFの年間買入上限額を12兆円に拡大し、TOPIX・日経225・JPX日経400が25%、TOPIXが75%となるように設定されました。
※参考:日本銀行「2020年4月30日 ETFの買入れの運営について」

2021年3月には、これまで25%としていたTOPIX・日経225・JPX日経400への買い入れがなくなり、TOPIXに連動するETFが100%となる方針に変更となりました。
※参考:日本銀行「2021年3月23日 ETFの買入れの運営について」

なお、買入上限額は年間約12兆円が維持されましたが、これまで原則的な買い入れ方針としていた年間約6兆円ペースから、必要に応じて買い入れを行う方針に変更となりました。

2022年10月には、ETFの買い入れについて、これまでは「銘柄毎の市中流通残高に概ね比例」するよう買入れとしていたものを、「保有に係る費用等を勘案」して買入れとする方針に変更となり、実質的に信託報酬が最も低い銘柄を買い入れする方針となりました。
※参考:日本銀行「2022年10月28日 ETFの買入れの見直しについて」

 

現在の日銀ETF買いの状況(2023年8月時点)

日銀が現在行っているETF買いについてまとめると次の通りです。
※2023年8月6日時点

投資対象 買入上限 買入方法
TOPIX連動型ETF 年間12兆円 保有に係る費用等(信託報酬)が最も低い銘柄を買入れ
設備・人材投資ETF 年間3,000億円(毎営業日12億円) 銘柄毎に時価総額の2分の1の範囲内で買入れする

※TOPIX連動型ETFについては日本銀行「指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領」
※設備・人材投資ETFについては日本銀行「設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するための指数連動型上場投資信託受益権買入等に関する特則」

日銀が買入している具体的な銘柄については、下記「日銀がETF買いしている銘柄を紹介」で解説しています。

 

日銀のETF買入・残高推移

2013年の異次元緩和以降、日銀がETFを年間でどれだけ買入してきたかについて、これまでのETF残高とあわせて見てみると次のようになります。

日銀のETF買入額(億円) 日銀のETF残高(億円)
2013年 10,953 10,953
2014年 12,845 23,798
2015年 30,694 54,492
2016年 46,016 100,508
2017年 59,033 159,541
2018年 65,040 224,581
2019年 43,772 268,353
2020年 71,366 339,719
2021年 8,734 348,453
2022年 6,309 354,762
2023年 1,402 356,164

日本銀行「指数連動型上場投資信託受益権(ETF)および不動産投資法人投資口(J-REIT)の買入結果ならびにETFの貸付結果」より当サイト作成。
※2023年度は2023年8月4日分までの実績。

日銀のETF買入について、グラフで見てみると次の通りです。

年間買入上限が12兆円にまで拡大された2020年には7.1兆円の買入となりましたが、2021年4月以降は激減しており、2023年は3月13日・3月14日の2回しかETF買入は実施されていません。

日銀が保有するETFの残高は35兆円に到達していますが、ETF買入ペースが激減した2021年4月以降はほとんど増えていない状況です。

なお、上記のETF残高は、異次元金融緩和が始まった2013年以降の累計ETF残高であり、日銀が保有するトータルのETF残高は、2023年3月末時点で37兆1,160億円となっています。
※参考:日本銀行「第138回事業年度(令和4年度)決算等について 財務諸表等」

 

日銀がETF買いしている銘柄を紹介

日銀がETF買いの対象としている銘柄は公表されていませんが、日銀が公表している資料などから推測することが可能です。

日銀がETF買いの対象としている下記2つのETFについて見ていきましょう。

投資対象 買入上限 買入方法
TOPIX連動型ETF 年間12兆円 保有に係る費用等(信託報酬)が最も低い銘柄を買入れ
設備・人材投資ETF 年間3,000億円(毎営業日12億円) 銘柄毎に時価総額の2分の1の範囲内で買入れする

※TOPIX連動型ETFについては日本銀行「指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領」
※設備・人材投資ETFについては日本銀行「設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するための指数連動型上場投資信託受益権買入等に関する特則」
※2023年8月7日時点の情報

 

TOPIX連動型ETF

日銀がETF買いの対象としているのは、TOPIX連動型ETFのみとなっています。

長らく「銘柄毎の市中流通残高に概ね比例」するよう買入れとしていましたが、2022年10月からは「保有に係る費用等を勘案」して買入れとする方針に変更となり、実質的に信託報酬が最も低い銘柄を買い入れする方針となりました。

東証に上場しているTOPIX連動型ETFは次の9銘柄となっており、それぞれの信託報酬は次の通りです。

TOPIX連動型ETFの内、信託報酬が最も低い銘柄は【1475】iシェアーズ・コア TOPIX ETFとなります。

なお、【1475】iシェアーズ・コア TOPIX ETFは、TOPIX連動型ETFの中では、当サイトでも最もおすすめしている銘柄です。

ただ、日銀のETF買いの頻度は2021年4月以降激減しており、日銀のETF買いの対象となっているという理由だけで、【1475】iシェアーズ・コア TOPIX ETFをおすすめすることはできません。

 

設備・人材投資ETF

日銀のETF買いの対象となっている設備・人材投資ETFについて見ていきましょう。

日銀は、設備・人材投資ETFについて、銘柄毎に、原則として時価総額の2分の1の範囲内で買入れを行うものとするとしています。

ETFの時価総額とは「純資産額」のことであり、東証は各運用会社に純資産額について情報開示するように呼び掛けており、各運用会社のホームページなどで公表しています。
※参考:日本取引所「基準価額等に関する情報」

東証に上場している設備・人材投資ETFは次の6銘柄となっており、それぞれの純資産額は次の通りです(2023年8月7日時点)。

日銀は、2016年3月から、設備・人材投資ETFに毎年3,000億円を上限に投資してきました。

純資産額からすると、設備・人材投資ETFのほぼ全てを日銀が保有しているとすら言える状況となります(純資産額からすると計算が合いません)。

個人投資家向けのETF投資の観点からすると、設備・人材投資ETFはTOPIXより値上がりしている銘柄も多いものの、取引量が少なく流動性リスクがあることがネックとなっています。

日銀は、2016年3月から2021年3月末までは、ほぼ毎日のように設備・人材投資ETFを12億円ずつ買っていました。

しかし、2021年4月以降は一度も買っていません。

日銀のETF買い方針としては残っているものの、実質的には設備・人材投資ETFへの買入れは終了したと見て良さそうです。

 

日銀はどうやってETFを買っている?

「流動性や時価総額が大きいTOPIX連動型ならともかく、流動性や時価総額が小さい設備・人材投資ETFを日銀が買ったら、市場価格にも影響が出てしまうのでは?」と疑問が湧く方もいるかと思います。

日銀はどのようにしてETFを買っているのかを考察していきましょう。

日銀は2016年4月から2021年3月まで約5年間に渡って、設備・人材投資ETFをほぼ毎日12億円ずつ買入してきました。

ただ、設備・人材投資ETFの1日の売買代金の合計は12億円には遠く及ばないことから、日銀はマーケットを通じてETF買いをしているわけではないことは明らかです。

もしもマーケットを通して、設備・人材投資ETFに毎日12億円もの買いを入れてしまったら、売り板がそこまで厚くないため、ストップ高になってしまい、理論値と市場価格に大きな乖離が生じてしまいます。

また、日銀は、TOPIX連動型ETFについては、TOPIXが前場終了時点で前日比マイナス2%の場合に、後場に買入を行っているという説がありましたが、真偽は不明のままです。

日銀が、どのようにしてETFを買い入れているかは公表されていません。

ただ、日銀はETF買入業務を信託銀行に委託しています。

信託銀行は、証券会社にETFを購入する注文を出し、証券会社が用意したETFを立会外取引で取得していると考えられます(立会外取引でないとストップ高になってしまう銘柄がある)。

そもそも、ETFは、その対象となる株式バスケットと交換することで設定されます。

例えば、TOPIX連動型のETFであれば、運用会社がTOPIXを構成する株式を集めて、その集めた株式バスケットと交換することでTOPIX連動型ETFが設定され、証券会社に流通することになります。

日銀がETFを買入する上で、証券会社がどのようにして株式を買い入れているのかについては公表されておらず、先物を買ってEFP取引で現物株と交換してETFにしている、現物株を買ってバスケットを用意しているなどの説が有力です。

 

日銀のETF買いの出口戦略と問題点について

異次元金融緩和の一環として2013年4月から始まった日銀のETF買いは、2021年4月以降はペースが急激に鈍化したものの、2023年8月時点でのETF残高は37.1兆円に達しています。

日銀が金融緩和の出口戦略に向かう中で、この巨大なETFをどのようにして処分していくのかは課題となりそうです。

日銀のETF買いの出口戦略とその問題点について考えていきましょう。

 

日銀が出口戦略でETF売却すると巨大な売り圧力となる

仮に今後、日銀が金融緩和の出口戦略として、保有するETFを売却していくことになれば、トータルで37兆円以上の巨大な売り圧力となります。

これは、日本の株式市場にとって大きな影響を与えることになりかねません。

今後、日銀がETFを手放すことになるとしても、株式市場に影響を与えない方法が取られるものと思われます。

一つの案としては、定額給付金のような形で、国民一人一人に日銀が保有するETFを分配するというものがあります。

日銀が保有する37.1兆円のETFを1億2000万人に分配すると、一人当たり約30.9万円となります。

ETFの保有者が日銀から国民に変わることになるだけで、すぐには売り圧力にはなりません。

また、岸田政権が掲げる「金融所得倍増論」にも繋がりそうです。

ただ問題となるのが、国民一人一人にETFを分配する方法がないことです。

国民の多くが保有する銀行口座に振り込む定額給付金ですらも莫大な時間と費用が掛かりました。

ちなみに、2023年3月時点でのNISA口座開設数は1,237万口座(一般NISA698万口座、つみたてNISA540万口座)となっています。
※参考:日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果(2023年3月31日現在)について」

NISAですらも国民の10人に1人しか開設していない状況を考えると、日銀が保有するETFを国民一人一人に分配することは現実的ではなさそうです。

 

日銀の植田総裁は「出口局面でETF保有続けることも選択肢」と述べる

日銀の植田和男総裁は2023年6月9日、衆院財務金融委員会で、金融緩和の出口戦略に向かう局面で、ETFを持ち続けることも「1つの選択肢だと考えている」と述べました。
※参考:REUTERS「緩和の出口局面でETFの保有続けることも選択肢=植田日銀総裁」

日銀のETF処分の難しさを考えると、これが最も現実的な案ではないかと思います。

 

日銀が保有するETFの含み益と分配金は?

日銀の2023年3月期決算では、日銀の保有ETFは2023年3月末時点で37兆1,160億円、時価ベースでは53兆1,517億円となっており、16兆356億円の含み益となっています。

また、保有ETFからの分配金は1兆1,044億円に達しています。
※参考:日本銀行「第138回事業年度(令和4年度)決算等について」

日銀は、2021年4月以降、ほぼETF買いをしなくなったため、今後も簿価ベースで約37兆円という水準は変わらないものと見られます。

また、日本株は2023年4月以降に大きく上昇したことを受けて、日銀のETF含み益は20兆円に到達したと報じられました。
※参考:日本経済新聞「株高で含み20兆円、日銀のETF それでも売らないワケ」

2023年3月末時点では、時価ベースで53兆1,517億円に対して、分配金は1兆1,044億円のため、日銀のETF分配金利回りは2.07%となっています。

これは、ほぼTOPIX連動型ETFと同水準です。

日銀が保有するETFの損益分岐点は、日経平均株価では2万円程度、TOPIXでは1,400ポイント前後と推定されています。

2023年8月7日時点では、日経平均株価は32,254円、TOPIXは2,283ポイントとなっており、リーマンショック級の暴落が来ない限りは含み損に転落することはないでしょう。

2020年3月のコロナショック時には、日銀が保有するETFの損益分岐点から-30%以上下落すると、日銀が債務超過に陥るとの懸念がありました。

ただ、2021年4月以降、日銀はETF買いをしなくなっており、株高によって大きな含み益となっていることから、この懸念はほぼなくなったと見てよいかと思います。

日銀が積極的にETF買いしていた2021年3月までは、日銀が保有するETFの平均取得単価も上がり続けていましたが、平均取得単価は横ばいで、値上がり益や分配金を貰い続けているという、長期・積立・分散投資としては非常に理想的な形です。

 

日銀のETF貸付制度とは?

日銀は、2020年4月1日から、ETF貸付制度を導入しています。
※参考:日本銀行「2019年12月19日 (参考)ETF貸付制度の導入について」

ETF貸付制度は、ETF市場の流動性の向上を図る観点から、日銀が保有するETFを市場参加者に一時的に貸し付けることを可能とする制度です。

貸付対象銘柄は、日銀が保有するETF全銘柄のうち日銀が適当と認めたものとし、貸付期間は1年以内としています。

日銀は、ETFの貸付状況についてホームページ上で公表しています。
※参考:日本銀行「指数連動型上場投資信託受益権(ETF)および不動産投資法人投資口(J-REIT)の買入結果ならびにETFの貸付結果」

日銀のETF貸付についてグラフで見てみると次の通りです。

日銀のETF貸付は、2020年10月から2021年3月までは毎月1,500~2,500億円程度行われていましたが、2021年4月以降は激減していることが分かります。

2021年4月以降はETF買入も激減しましたが、ETF貸付も激減したということです。

 

日銀のJ-REIT買入について

ETFに比べるとあまり話題になりませんが、日銀はJ-REIT(不動産投資法人)の買入れも行っています。

なお、あくまで個別REITであり、REIT型ETFではありません。

日銀のJ-REIT買いについては、日銀のETF買いと並んでホームページに記載されています。
※参考:日本銀行「指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領」

J-REITの買入対象としては、「原則として、金融商品取引所において売買の成立した日数が年間200日以上あり、かつ当該金融商品取引所で行われた年間の売買の累計額が200億円以上であること」とされており、つまり一定の流動性がある銘柄ということです。

J-REITの銘柄別買入額は、「当該銘柄の発行済投資口の総数の10%以内であって、本行による買入れが銘柄毎の市中流通残高に概ね比例して行われるよう本行が別に定める上限とする」となっています。

2013年の異次元金融緩和以降、日銀がJ-REITを年間でどれだけ買入してきたかについて、これまでのREIT残高とあわせて見てみると次のようになります。

日銀のJ-REIT買入額(億円) 日銀のJ-REIT残高(億円)
2013年 299 299
2014年 372 671
2015年 921 1,592
2016年 887 2,479
2017年 898 3,377
2018年 564 3,941
2019年 528 4,469
2020年 1,147 5,616
2021年 60 5,676
2022年 36 5,712
2023年 0 5,712

日本銀行「指数連動型上場投資信託受益権(ETF)および不動産投資法人投資口(J-REIT)の買入結果ならびにETFの貸付結果」より当サイト作成。
※2023年度は2023年8月4日分までの実績。

日銀のJ-REIT買入について、グラフで見てみると次の通りです。

ETF買いに比べると、J-REIT買いは50分の1から100分の1程度となっており、ETFに比べるとインパクトはほとんどないと言えます。

また、日銀のETF買いやETF貸付と同様に、J-REITについても2021年4月以降は買入が激減していることが分かります。

日銀のJ-REIT残高は次の通りです。

2013年以降の、日銀のJ-REIT残高は累計5,712億円となっており、約37兆円のETFに比べると1.54%程度に過ぎません。

 

まとめ

この記事では、日銀のETF買いの歴史や買入・残高推移、日銀がETF買いしている銘柄、日銀の出口戦略などについて解説してきました。

日銀が保有しているETFは約37兆円に達していますが、2021年4月以降は積極的なETF買いは行われていない状況です。

2023年8月時点では、TOPIX連動型ETFと設備・人材投資ETFが買い入れ対象となっていますが、ほとんど日銀がETF買いしていないため、実質的に対象銘柄はない状況です。

日銀が保有しているETFは大きな含み益となっており、分配金も年間1兆円以上出ているため、コロナショックの頃に懸念されたような、ETF下落による日銀の債務超過については心配する必要はなくなったと言えます。

今後、植田新総裁のもとで金融緩和の出口戦略が注目されますが、現実的に考えると、日銀はETFを保有し続ける選択肢が有力ではないかと思われます。

 

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